番外編~羅猛燐の昼休憩~

番外編~羅猛燐の昼休憩~

1ヶ月前

 羅猛らもう りんは友人の海部うみべ リリと共に昼食を食べていた。

 今日のメニューは、ライス、餃子一人前ハーフサイズ、ラーメン(醬油)のラーメン定食だ。

 勿論、ライスは大盛りである。

 ズズズズッと美味しいそうに麺をすする燐に対して、リリはというとラーメンに目は向かずスマホに集中していた。

「ねぇ、さっきから何見てるの?」

「言ってなかったけ? 私、彼氏できるかもしれないの」

「彼氏!?」

 燐が素っ頓狂な声をあげるので、周りの生徒達の視線が一気に集まる。

「何でもありませんから。はははっ」燐が愛想笑いを浮かべながら誤魔化すと、生徒達は自分の食事に戻る。

「私に彼氏ができたらご不満な訳?」

「いや、そういう訳じゃないけど」

 燐はそう答えると餃子と白米を口に入れる。

「どんな人か、見る?」

 ここで断ったら後々、面倒くさいことになりそうなので「見る」と興味がありますよと言う素振りを見せる。

 リリは分かりやすい笑顔で、燐に彼氏候補の男の写真を見せてきた。

 男の風貌は、今風の塩顔イケメンといった感じで写真も加工されたのがあまり感じられない仕様のものであった。

「結構、イケメンじゃん」

「結構? かなりでしょ」

「そうですね。で、どこで知り合ったの?」

「ヘロンのトークルーム」

 ヘロンのトークルームとは、無料通話アプリ「ヘロン」のアプリ内にある不特定多数の人間と共通の話題を無料で会話できるサービスのことである。

「ヘロンのトークルームって、なんて今風な」

「でしょ。オフ会で会ったんだけど、めっちゃ口説かれてさ」

「顔が良いからOKしたって訳?」燐は呆れ口調で言うと「いや、OKしてないし。でも、話も面白いから良いかなぁ~なんて」リリは幸せ一杯だと言わんばかりな顔で答える。

 だが、この時燐は知る由もなかった。

 あのような事件になるとは・・・・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る