有名-16

 翌日、長四郎も参加しての澤村美雪襲撃犯捕獲作戦を決行する事となった。

 逮捕した白パーカーの協力を得て、澤村美雪の1日スケジュールを残りの仲間に伝えさせると共に襲撃地点まで指定した。仲間達はすんなりと了承し、襲撃地点での行動の緻密な打ち合わせまで行う所まで成功した。

 後は、それが計画通りに実行されるかどうかにかかっていた。

 襲撃地点は美雪が撮影する再現ドラマの収録現場の公園かつ美雪専用の休憩所であった。

「澤村美雪さん、休憩入りまぁ~す!!」

 番組スタッフがそう宣言すると、美雪はまだ作業するスタッフ達にペコペコと頭を下げて休憩所へと入る。

 それを物陰から伺う男が5人いた。

「どうする?」隣にいる緑パーカーに相談する桃パーカー。

「どうするって。俺に言われてもなぁ~」

 緑パーカーはその隣にいる青パーカーを見る。

「そんな目で俺を見るなよ。おい、行くのか? この前みたいに返り討ちに会わないか?」

 青パーカーの隣にいる黄パーカーに話し掛けるが返答は返ってこない。

「おい、聞いているのか?」

「ああ、悪い」我に返った黄パーカーに「どうする?」と紫パーカーが尋ねる。

「行くしかないだろ。後が怖いしな」

 黄パーカーがそう言うと残りの4人も覚悟を決めたような顔つきになり、テントに向けて歩き始めた。

 物音を立てないように、テントに近づいていくパーカー達。

 テントの中から笑い声が聞こえてきた。

 5人はテントの四方を囲むようにし、逃げ場を無くしてから同時にテントに入る。

 だがそこに居たのは、仮面ライダーのお面をつけた長四郎と燐であった。

「行くぞ。一文字」長四郎が構えながら隣に並ぶに燐言うと、燐もまた「ああ、行くぞ。熱海」と答えた。

「ちょっと、タイム」

 Tの字を作りパーカー5人組にタイムをかける。

「ラモちゃん。そこは「行くぞ。本郷」でしょ。何で、本名言うかなぁ~」不満げな長四郎。

「それ言う? 私、仮面ライダー見たことないのに付き合ってあげてるんだから感謝しなさいよ」

「かぁ~やるからには少し勉強してこいよ」

「゛ア゛ア゛ン!!!」

 燐と長四郎は互いを睨み合う。

「おい、バカ2人。澤村美雪はどこなんだよ」と青パーカーが言った瞬間、青パーカーの身体はテントから吹き飛ばされた。

「あ、大丈夫か!!」

 桃パーカーが外に出た青パーカーを気遣うと同時に燐に蹴り飛ばされ、テントの外に追い出される。

「てめぇ!!」緑パーカーが燐を背後から殴りかかろうとするのを長四郎は止めて緑パーカーを殴り飛ばしテントから追い出す。

「この野郎!!!」

 今度は、長四郎紫パーカーが長四郎を攻撃しようと拳を振り下ろすのだが、当たる寸前で燐のキックが横からお見舞いされる。

「くっ!!」

 黄パーカーは、分が悪いと思ったのか。前回同様に1人逃げ出した。

 テントを出てすぐ目の前に、仮面ライダーV3のお面をつけた絢巡査長が立ちはだかっていた。

「どけ!!」

 メリケンサックを握りしめた拳を絢巡査長の顔に叩きつけようとするが、サラリと避けられ綺麗な背負い投げを決められる。

 コンクリートの地面に叩きつけられた黄パーカーは、受け身を取れず身体を強打しのたうち回る。

「これで全員ね」

 絢巡査長は有無を言わさず、黄パーカーに手錠を掛けた。

 他の4人も他の警察官達に御用となったのであった。

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