番外編~眠る埋蔵金を探せ~

Ep.1~眠る埋蔵金を探せ~

 この物語は、作者の見切り発車で書かれた作品である。

「ふざけんな!」

 羅猛らもう りんは目の前に座る同級生の徳田とくだ 耕助こうすけにコップに入った水をかけた。

 ドラマのような展開を間近で起きた事に周囲の客達は好奇の目で燐が居るテーブル席に目を向ける。

「何するんだよ」

 ワックスでセットした髪が台無しだと徳田は思いながら、テーブルに置いてあるナプキンで濡れた顔と髪を拭く。

「あんたが訳の分からない事を言うからよ」

 燐の言う訳の分からない事を説明する為に、話を3日前に戻そう。

 クリスマスが終わり、年越しに向けて動き始めた27日の事であった。

 その日、燐は冬休みを満喫していた。

 前日の夜は夜更かしをして昼に目を覚まし、昼から風呂に入って暖房をガンガンに効かせた部屋を薄着で闊歩してアイスを食べながらNetflixドラマを見る。

 そんな快適な冬休みを満喫していると、スマホに一件のメッセージが入る。

 “話があるんだけど。探偵さんも連れてきてほしい”

 メッセージを寄越したのは、燐の数少ない友人の海部うみべ リリであった。

 燐はメッセージに従い、集合場所である近所のファミレスへと向かった。

 店に入ると、リリが先に来ていた。その横には徳田耕助が座っていた。

「こっち、こっち」リリは燐を手招きして呼び寄せた。

「話したいことって、何?」

 燐は座ると同時に本題を切り出した。

「うん。その前にさ、探偵さんは?」

 リリはこの場に居ない私立探偵・熱海あたみ 長四郎ちょうしろうの所在を尋ねる。

「あいつは来ないよ。勿論、呼んだよ。呼んだんだけど、俺は仕事だからぁ~ って断りやがった。ごめん!!」燐は手を合わせて、謝罪する。

「仕方ない。じゃ、私らだけでやりますか!」

「何を?」

「説明しなさい」隣に座る徳田の背中をポンッと叩いた。

「はい。羅猛さん、埋蔵金欲しくありませんか?」

 その問いかけに、燐の顔はほくそ笑むのだった。

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