Ep.2~眠る埋蔵金を探せ~
徳田の思わぬ提案に燐は驚いた。
このご時世に埋蔵金を探すという時代錯誤な事をしようと提案され燐は正直言って断ろうと思っていた。
「埋蔵金っていうのは、徳川の?」燐が質問すると徳田は「うん」と答えた。
「でさ、なんでリリも埋蔵金を探すわけ?」
「金欠だからよ。元旦にお年玉が手に入るけど。私の計算じゃ、足りないんだよ」
「何、買う気なの?」
「そんなことは良いんだよ。それより、やるの? やらないの? どっち?」
凄んでくるリリに燐はたじろいでしまう。
「やるもやらないも、勝算はあるんでしょうね?」
「あるから燐を誘っているんじゃない」
「で、リリをそそのかしたあんた。あんたは、埋蔵金の何を知っているの?」
「やっと、そこを聞いてくれましたか。きっかけは、Kuunhubです」
「Kuunhub?」
「はい。動画サイトのKuunhubです。僕、都市伝説系の配信が好きで、その動画を見ていたら」
「埋蔵金の話が出てきたって言うわけね」
燐は続いて「あんた、バカぁ~」と言いたがったが我慢し、続きを言いたげな徳田に発言を譲った。
「そうです。徳川の埋蔵金特集の動画がありまして、そこで紹介されていたのがこれです」
徳田は動画で一番見せたい所で停止させて、燐に見せた。そこに映っていた物は、巻物の写真であった。
「この巻物なんですが、行方不明の代物なんですが」
「それがあんたの手の中にあると?」
「そうです。家の大掃除をしていたところ、これと同じものを見つけたんです」
「で、この巻物に埋蔵金の在りかが? んな訳あるか!!」
「それがそうでもないのよ」
そう言うリリにああ、こいつはマルチ商法にすんなりと引っかかってくれるタイプだししかも、勧誘までしてくる正直言って悪友だ。燐は言葉に出しそうになったが留めた。
「この巻物にはきちんと、埋蔵金の在りかが書かれているの」
「え~」
「え~ じゃないの。解析結果を聞いたら気が変わるから」
「ここに書かれている内容は、天皇に向けた書簡を装った暗号文だったんです」
「暗号文?」
「ええ、書体を読み解いていたら、ここに書かれている書体は草書体を用いた別の書体である事が分かりました。証拠をお見せしましょう。これです」
徳田が次に見せたのは、中国で使われている筆記体の写真であった。
「ここに書かれている感じの意味を照らし合わせて訳したところ」
「出たんだ。埋蔵金の在りかが」
「はいっ! そうなんです!!」嬉しそうに答える徳田。
「でもさ、あんたが考え付くって事は他の人も考え付いているんじゃない?」
「燐はきっと、そう言うと思った。安心して、私、調べたから。埋蔵金の在りかに人が調べた形跡はなかった」
「本当に?」
「本当よ。図書館、区役所、なんだったら、国土交通省にまで問い合わせしたんだから」
「ご立派な事で」
埋蔵金と言ってもたかが知れている燐はそう考えて、どう断ろうか。そろそろ答えを出さないといけないなと思っていた所にリリのこの言葉で気が変わった。
「一人、3億」
燐は3億円と言うものにすっかり心を奪われ、そのまま埋蔵金探しに参加する旨を二人に伝えた。
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