Ep.3~眠る埋蔵金を探せ~
翌日、燐は早朝5時から埋蔵金の捜索を開始した。
「寒っ!!」
駅の地下通路から地上へ出てきた燐の第一声はそれであった。
「我慢、我慢よ。燐」そう言いながら、手持ちホッカイロを擦り暖を取るリリ。
「じゃ、行きますよ。お二人さん」徳田の号令に女子二人は「へい! お頭!!」と返事をするのだった。
三人は今、永田町に居た。
「永田町にあるって事は、政府が管理とかしているんじゃない?」
「羅猛さん。よく考えてから物は言ってください。あの巻物は間違いなく江戸時代末期、明治維新の際に作られたものです。ですから、今の永田町付近に埋没されたのは、間違いないんです! 見つけたとしたら都市伝説になんかなりませんよ」
「はぁ~い。すいませんでしたぁ~」
「空気悪いなぁ~」
リリは燐と徳田の間に流れる険悪なムードを紛らわそうと適当な事を言って誤魔化す。
「悪かったね!」
燐のその一言にカチンときたが、ここで仲間割れを起こして一人三億がパーになるのは馬鹿馬鹿しいのでリリは追撃の言葉をグッと押しとどめた。
「二人共、言い合いしていないで。取り敢えず、ここら辺から捜索しますよ」
三人は皇居前で分かれ、一人は金属探知機、一人はダウジング、一人はその視覚で捜索を開始した。
「こんなんで、本当に見つかるのかな?」
燐は不安になりながら、ダウジングをかざしながら歩いているとダウジングが反応を示した。しかも、面白い事に自分の身体の方を指す。
「え? 私!?」
そんな訳ないと思いつつ、後ろを振り返ると制服警官が立っていた。
「君、ここで何してるの?」
「えっとぉ~ ダウジングって、どこまで物を探せるのか? 的な。なんつって」
燐は愛想笑いを浮かべ、ダッシュで逃げる。
「待ちなさい!」制服警官も後を追いかけてくる。
「待ちなさいって言って、待つ奴があるかよ。バァ~カ!!」
燐は追いかけてくる警官に挑発しながら逃げ、リリに連絡を取ろうとスマホをポシェットから取り出す。
「止まりなさい!!」
「止まらんよ。頼むから出てよね!!」
通話ボタンを押しスマホを耳に当ながら、走り続けていると電話に出た。
「はい。もしもし」
ここで電話に出た相手の声がリリではない事を悟れれば良かった。だが、警官に追われている状況でそれを判断できる訳がなかった。
「あ、リリ! 今、警官に追われているんだけど、そっちは大丈夫!?」
「大丈夫じゃないよ。君、彼女の友達?」
この一言で、燐は観念し追っかけてきた警官に御用となった。
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