希望-2
燐の通報を受け現場に臨場した警視庁捜査一課命捜班の
「ね、言ったでしょ。長さんと関わると年末年始に事件に巻き込まれるって」
「私もびっくりです」
そんな会話をしていると「失礼な!」と声を上げながら、長四郎は2人に事件当時の説明を行った。
「ふ~ん。羽田空港。バイオテロねぇ~」一川警部は手を顎に当てしかめっ面になる。
「本当に被害者はそう言ったんですか?」絢巡査長の質問に「噓ついて何になるのよ」と長四郎もまたしかめっ面になる。
「それよりバイオテロの話が本当だったら、一大事じゃないですか」
燐の言葉に3人は勿論だと言わんばかりに頷く。
「こういう事案って、普通は公安とかが担当してもおかしくないですよね?」
「長さん。もしかして、被害者は公安の人間やなかろうか」
「奇遇ですね。俺もそれを考えてました。という事は、何かテロに繋がる証拠品等を持っているかも」長四郎はそう言い放つと被害者の側に寄って手掛かりになる物を捜索する。
鑑識の邪魔にならないよう被害者の身体にボディータッチをして手掛かりになるようなものを探していると、ジャケットの左ポケットに小粒の物が入っていることが確認できた。
近くの鑑識捜査官にその物を採取してもらうよう頼むと、すぐに採取した物を入れたチャック袋を長四郎に渡した。
「ありがとうございます」と礼を言い、その物を確かめる。
それは、鷹の目の中に骸骨が描かれている独特な紋章をしたバッジであった。
「なんか、どこかで見たことあるようなバッジやね」真っ先に口を開いたのは一川警部であった。
「そう言えばそうですね」
長四郎はそう言いながら記憶をたどるのだが思い出せないでいると、「そんな事はどうでも良くて羽田空港に行った方が良いんじゃない?」と燐が進言する。
「ラモちゃんの言う通りだと思います。我々だけでも空港に向かって空港警察と連携して未然に防いだ方が良いのではないですか? 一川警部」
「そうやね。じゃあ、行こうか」
「ああ、待ってください」長四郎が一川警部と絢巡査長を呼び止め「もしこれがブラフだったら、大問題ですよ」と忠告した。
「それもそうやね」
一川警部が納得していると「一川さん、それでも向かわないと。何かあってからじゃ遅いんですよ!!」絢巡査長に諭された一川警部。
「絢ちゃん、急ごう」
「はいっ!!」
命捜班の2人は急ぎ足で羽田空港に向かった。
「じゃあ、俺達は買い物の続きに行きますか」
長四郎は燐にそう告げ当初向かっていた方に歩きだすのだが、身体は反対の方に引きずられていく。
その理由は、燐に首根っこを掴まれ身体を引っ張られていたからだ。
「私達も空港に行くのよ」
燐はそう言い、長四郎を引き連れて一川警部達の後を追うのだった。
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