復讐-1
眩しい太陽。強い陽射し。蒼く輝くどこまでも広がる海。そうここは沖縄。
燐は夏休みを利用して友人の
沖縄に来て2日経った日のこと。
その日はバナナボートに乗るために船着き場で並んでいると、すぐ後ろに居る5人組グループが騒いでいた。
仲間の1人を4人がかりで船着き場から海を突き落とそうと躍起になって大騒ぎしていた。
しかも、最悪な事にスタッフも見て見ぬふりして暴れ回るので前に並ぶ燐達、後ろに並ぶ客にぶつかったりしても気にせずふざけ続ける。
暫くすると仲間の1人が海に落ち男達は少し静かになった。
しかし、平和というものは続かないものである。
「君達、どこから来たの? 俺、秋田」
その声で振り向くと浅黒い肌をした茶髪の男が満面の笑みで燐とリリを見てくる。
「は?」燐はメンチを切りながら声を掛けてきた男を睨む。
「秋田じゃねぇだろ。東京だから、日本の首都、東京」今度は青髪の男が茶髪の男の発言にツッコミを入れる。
燐とリリは心の中で「無視、無視」と連呼し相手にしない。そう決め無視することにした。
それから5人組は手を変え、品を変え燐達にしつこく絡み騒ぎ立て列からはみ出ては戻り飲み終えたペットボトルや缶を海に投げ捨てる。
「ねぇねぇ」まだ話しかけてくるので燐はそろそろ鉄拳を叩きこんでやろうかそう思っていると「いい加減にしないか!!」と後ろから若者達を注意する声がする。
振り向くと昭和の頑固親父みたいな身長の高いワイルドという言葉が似合う老人が注意した。
「うるせぇな! ジジィ!!」茶髪が老人を殴りつけるが老人は掌で受け止め茶髪の男の腕を回し身動きを取れなくしてから海に突き落とす。
「てめぇ!! 何すんだ!!!」
青髪が激昂しながら敵討ちと言わんばかりに蹴りを浴びせる。
だが、老人は青髪の男の足を掴んだまま振り回してこれまた海に落とす。
「コ、コノヤロォォォォォ!!!」
残りの3人はその老人に突っかかるがことごとく返り討ちに遭い全員、海に投げ落とされる。
「ありがとうございました」燐がお礼を言うと「ハハッハハッ、気にしないで」と高笑いしながら照れ笑う。
老人が照れているのを見て、『可愛い~』と女子高生2人は声を上げる。
「いやぁ~」後頭部に手を当て、顔を真っ赤にする老人。
「次のグループの方!!」スタッフにそう声掛けされ、「さぁ、行こう!!!」老人は声を高らかに上げバナナボートに燐とリリを誘う。
バナナボートを楽しんだ燐とリリは再度、老人にお礼を言って別れた。
2人はホテルに帰る為、ホテル近くのビーチを歩く。
「にしても、変な奴らに絡まれて大変だったね」とリリが言う。
「マジ、それな」燐がそう答えると見覚えのある男とすれ違ったような気がした。
燐はすぐ様、振り返るとその男の姿はなかった。
「どうしたの?」と聞いてくるリリに「なんでもない。行こ」と返事をしてホテルに向かって再度歩き出す。
ホテルのロビーに入ると先程の例の5人組がホテルの従業員と何やら揉めていた。
「だから、いいじゃん!!」と茶髪の男が食って掛かる。
「他のお客様の迷惑になりますので」
「お客様は神様だろ」という青髪に対して「そうだ」「そうだ」と声を上げる他の仲間達。
燐は軽蔑の目を向け乍ら、フロントで鍵を受けとり自分達の宿泊する部屋に向かった。
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