Ep.5~眠る埋蔵金を探せ~
「ね、これからどうするよ」
燐は言いだしっぺの徳田にこれからの埋蔵金捜索について質問したその時、「君たち、ちょっと邪魔!!」そう言いながら慌てた刑事が三人を押し退ける。
「この年末に銀行強盗かよ
「愚痴る前に現場に急ぐぞ!!」
そんな会話をする刑事達を見送った後に、徳田が口を開いた。
「そうですね。あの刑事さんの言う通り、皇居の周りで探すのは得策ではないかもしれません。今日は一旦出直しましょう」
「OK! ちゃんと、良い作戦、考えてよね!!」
リリはそう言って発破をかけるように徳田の背中をポンッと叩いた。
翌日、三人はリリの家の近所にある喫茶店に集合した。
「おはよう」最後に来た燐が先に来ていた二人に挨拶する。
「おはよう」
「おはようございます」
「マスター。私、珈琲、ホットね」そう注文しながら、燐はリリの隣に座った。
「もう本題に入っても宜しいでしょうか?」
「うん。良いよ」
徳田が建てた作戦を聞こうと女子二人は背筋を伸ばして耳を傾けると隣の席から「例の徳川の埋蔵金の在りか分かったんだってな」という話し声が聞こえた。
三人はギョッとした顔で互いを見つめ合い、隣の席に居る客を横目でチラッと見る。
そこに座っていたのは、上下黒のスーツに身を包んだ如何にも怪しい組織のメンバーみたいな二人組の男であった。徳田はリュックから、ノートを取り出しそこに“世間話をするふりをして、隣の席の話に聞き耳を立てましょう”と書いて燐とリリに見せた。
二人は返事する事は無く、OKサインで了承した旨を伝えすぐに行動に移った。
「それでさ、燐がね。彼氏と別れたいって言うんだよね」
最初にリリから話を切り出し、合わせて隣の話に聞き耳を立てる。
「埋蔵金は東村山のゴミ集積場にあります」
「間違いないんだな?」
「はい。間違いありません。自身の目で確かめましたから」
「そうか。では、早めの回収が望ましいな。今晩でどうだ?」
「良いかと思います」
「では、今晩11時に」
「はい。伝えておきます」
報告していた男は、席から立って男はそのまま店を出ていった。
「どうしようか?」下らない恋愛話をする傍ら、ノートにリリが書いた。
「徳川の埋蔵金って、東村山にあるの?」燐が次に書いて徳田に伺う。
「そんな訳ありません」とノートに書き込む徳田に続いて燐が筆を取る。
「でも、先に奴らが見つけ、仲間割れを起こして東村山に持ちこまれて取り返しついで今日、分配するとしたら?」
燐の推理を見て、はっとした顔をするリリと徳田。
そのタイミングで隣に座る男が席を立ち、店を出ようとする。
燐は慌ててノートに書き込む。
「追おう。奴らから埋蔵金を取り返すんだ」
リリと徳田はOKサインで了承をした旨を伝え、尾行が開始された。
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