監禁-16

 無事に倉庫に潜入する事が出来た齋藤刑事は、抜き足差し足忍び足で監視カメラに警戒しながら倉庫の通用口を探す。

 探し始めて3分後、通用口を見つけた齋藤刑事。

 周囲に防犯カメラがないかを見回して確認し、通用口に移動した。

 ドアノブを回すと、鍵はかかっておらず音をたてないようにドアを開けて中に入って行く。

 倉庫内は暗闇で視界が確保できないので、スマホのライトを点灯させ内部を探る。

「一川さぁ~ん」小声で呼びかけながら捜索をしていると一ヶ所だけ、ドアが開き明かりが漏れている部屋を見つけたので小走りで近づき中を覗く。

 そこには頭が輝いている人物が椅子に縛られていたので「一川さん!!」と大声を出して駆け寄る。

「違うっ! 一川さんじゃない!!」

 そうそこに居たのは、ただのマネキン人形であった。

 齋藤刑事は、すぐさま長四郎に電話した。

「長さん。どうやら、外れだったみたいです」

「ああ、そう。やっぱりな」と比較的落ち着いた様子で答える長四郎。

「やっぱりって、どういう事ですか?」

「気にするな。ありがとう」

「いえ」

 そこで通話は終了した。

「一川さんは一体どこに居るんだ!!」

 齋藤刑事はマネキンの頭を叩いて悔しがる。

「長さん、ダメだったんですか?」

「うん」

「参りましたね。残り二つ。どこなんだろぉ~」

 頭を抱える絢巡査長を他所に、長四郎は燐からの連絡を黙って待っていると燐から着信が入る。

「分かったわよ。場所が」燐は場所の住所を伝える。

「Thank you. ラモちゃん」

 通話を終了した長四郎は、絢巡査長にこう告げた。

「絢ちゃんは、病院に乗り込んで。俺は一川さんを助けに行くから」

「分かりました」

「じゃあ、これ。ラモちゃんが教えてくれた住所。齋藤刑事にも連絡しておいて」

「はい」

 絢巡査長の返事を聞く前に、一川警部の元へと向かって行った。


 一方、病院に居る二重は表裏と共に一川警部の映像を見ていた。

「にしても、良い光景ですね」

「はい。心がすっきりするのが分かります」

 ニコニコ笑顔で二重は答える。

「あの先生、他の患者さんもいらっしゃるので早くして頂けないでしょうか?」

 看護師にそう注意された二人は「すいません」と声を合わせて謝罪し、そこで診察が終了たので二重が診察室を出ようとドアを開けると目の前に絢巡査長が立っていた。

「あ、刑事さん」

 思わぬ人物の登場で顔を引きつらせる二重に対して、表裏は冷静な感じで絢巡査長を見つめている。

「どうも、今回は楽しいゲームをやらせて頂きありがとうございます」そう話しかけながら診察室へと入り、ドアを閉めた。

「ゲーム? 何のことですか?」

 絢巡査長の言葉に動揺しながら受け答えする二重に対して、表裏は落ち着き払って

絢巡査長に質問する。

「刑事さん、関係ない話でしたら、ここではなく待合室でお話して頂けませんでしょうか?」

「そうはいきません。貴方も共犯ですから」

「共犯? 仰っている意味がよく分かりませんが?」

「あなた達が私の上司を拉致監禁した犯人だという事です」

 絢巡査長は核心をついたことを言うのだが、表裏は動じない。

「二重さんは兎も角、何で私が一川さんを拉致しなくてはいけないんですか?」

「失礼ですが、どうして一川さんの名前を知っているんですか?」

「あ、いや先程来た探偵さんが言っていたので」

「そうですか。長さんは名前を出していなかったですけどね」

 絢巡査長はそう言いながら、長四郎が録音していた診察時の音声データを流し始める。

 その時の会話を知りたい方は、監禁-14を読んで下さい♡

 一通り、聞き終えたタイミングで絢巡査長は再び話し始めた。

「以上の通り、長さんは一川さんの名前は一回も出していませんよ」

「ぐっ!!」下唇を噛みぐうの音も出ないといった顔をする表裏。

「あーあ、バレちゃあしょうがないな」

 最初に開き直ったのは、びくついていた二重であった。

「やっと認めてくれたね」

「刑事さん、そんな余裕そうで大丈夫ですか?」二重は不敵な笑みを見せるので「どういう意味?」と絢巡査長は尋ねた。

「それはですね。こういう事だよ」

 二重はスマホを操作し、爆弾を起動させた。

「あーあ、綺麗に吹っ飛びましたねぇ~」表裏は勝ち誇ったような顔で、外に設置してある監視カメラの映像を絢巡査長に見せる。

「一川さん・・・・・・」

 絢巡査長はその場にへたり込んでしまうのであった。

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