結社-4
長四郎は燐を連れ立って、澤が所属する警察署を訪れた。
受付の制服警官に澤を呼んでもらうが、澤は捜査のため不在とのことだったので即座に話を聞くのを諦め殺された調査対象について再度、身辺調査を行う事にした。
「殺された人は、浮気してたの?」
いきなり、燐に質問された長四郎は「ああ」と空返事だけする。
「浮気してたんだ。最低な奴ね。浮気はする。麻薬はばら撒く組織に属している。ほんと、嫌な奴」
「そだねー」
長四郎は心ここにあらずと言った感じで、何か考え事をしているようだった。
その間、ずっと一人ぶつぶつと文句を言い続ける燐。
「ねぇ、私の話聞いている?」
「ああ、聞いてるよ」
「絶対、嘘。聞いてない」
「聞いてますよ。ラモちゃんが描く幻想の彼氏が浮気したって話でしょ」
長四郎が言うと同時に燐の蹴りが、長四郎の尻にヒットする。
「クゥ〜」痛みに耐える長四郎に「ざまぁみな」と捨て台詞を吐き一人補を進める。
そして、長四郎は調査を依頼した被害者の妻・
桑子は葬儀会場で、塚児の通夜の準備をしていた。
長四郎と燐は葬儀場の来客間で話す事になった。
旦那の塚児が死んで憔悴している様子は一切なく、寧ろ呆気カランとしていた。
「すいません。お忙しい時に」
「気にしないでください。探偵さん。こちらこそ、事件に巻き込んでしまって申し訳ありません」
「そんなことは」と言いつつも、長四郎も桑子の言う通りだと思う。
桑子は不思議そうに燐を見つめる。
「ああ、彼女は」
「私はこのヘボ探偵の助手で、羅猛燐って言います」
「助手さんでしたか」桑子も納得した様子を見せる。
「申し訳ありません。浮気相手の正体はまだ掴めていません」
「もう良いんですよ。終わったことですし」
「そうですか」
燐は桑子の気持ちがなんとなく分かる気がした。
「では、浮気調査は終了という形で宜しいでしょうか?」
「はい」長四郎の問いに即答する桑子。
「分かりました。では、調査終了します」
「よろしくお願いします。報酬は振り込んでおきますので」
「はい。後日、明細お送りしますんで、確認してください」
「お願いします」
「では、失礼します」
長四郎は桑子に一礼し、葬儀場を出る。
少し離れたところで、長四郎が口を開いた。
「あの奥さん、何か知ってそうだよな」
「え? なんで、そうなるの。旦那が死んで清々したみたいな感じだったじゃん」
「そこが気になるんだよ。俺に依頼を持ち込んできた時もさ」
長四郎は桑子が事務所に来た時のことを話し始めた。
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