有名-14
長四郎と一川警部が向かった弁当屋は、美雪が襲撃された撮影スタジオに納品している弁当屋であった。
「長さん、この弁当屋さんに美雪ちゃん襲撃犯が居ると?」
「それを調べるんです!」
長四郎はそう言いながら、弁当工場に入っていく。
工場に入ると、片付けと翌日の準備をしていた。
「すいません。警察の者なんですけど。事務所はどこにあるとですか?」
一川警部は警察手帳を工員に提示しながら質問すると、無言で事務所のある方へと指を差して教える。
「ありがとうございます」
一川警部は礼を言い長四郎と共に教えられた事務所へと向かった。
「すいませぇ~ん」
長四郎が無人の事務所に声を掛けると、し~んっと静まり返ったままであった。
「あれ? すいませぇーん」
長四郎は再度、声を掛けるが反応はない。
「ダメですね。誰もいない」
「そうやね。今日は帰ろうか」
一川警部は腕時計で現時刻を確認し、事務所そして工場を後にした。
工場を出てすぐ敷地内に1台の車が入ってきた。
2人の男の視線は入ってきた車に向かっていた。
「一川さん」
「長さん」
男2人、互いの顔を見てニヤッと笑うと駐車された車の元へと向かい、長四郎は車から降りてきた白パーカーの男に声を掛ける。
「先程はどうも」
いきなり、声を掛けられた白パーカーは「アアっ!!!」と大声を出しその場に尻餅をつく。
「撮影スタジオで会いましたよね?」長四郎はニンマリ笑顔で聞く。
「そ、それは気のせいでしょう」
白パーカーは愛想笑いを浮かべ立ち上がると、足早に2人の元から去ろうとする。
が、一川警部は白パーカーの前に立ちはだかり行く手を塞ぐ。
「ちょっと、どいてくださいよ!!」
「そうはいかんとですよ」そう答える一川警部は、一歩もどこうとしない。
「あんたさぁ、あきらめが悪いよ」
「何っ!」白パーカーは背後に立つ長四郎を睨みつける。
「そんな睨んだってダメだよ。帰って来るなら着替えてこなくちゃ」
長四郎はそう言いながら白パーカーの腕を掴み、袖に付いた血を見せる。
「こ、これは鼻血を拭いた時に。別にミユキンを襲った時に付いたものじゃねぇーよ!!」
「一川さん」
「ああ、完璧に自供したね」
「してねぇーよ!!」
白パーカーは長四郎の手を振り払うと同時に、突き飛ばしてその場から逃げようとする。
だが、長四郎もただやられるだけではなかった。
白パーカーが長四郎の目の前を通り過ぎる瞬間、足をそっとだし逃げ出そうとする白パーカーをすっ転ばさせる。
「痛っ!!」
「長さん、ナイス!!」
一川警部はすかさず白パーカーを取り押さえる。
「暴行罪で現行犯逮捕!!」
白パーカーの手に手錠がかけた一川警部は、それを見守る長四郎に笑顔でサムズアップする。
そして、長四郎もサムズアップで返すのだった。
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