希望-8
制服警察官に今までの事情を話した長四郎と燐は、後始末を制服警察官に任せSUITOの捜索を再度開始した。
「良かったの? 任せて」
「良かった。良かった。そんな事より次の物を探すぞぉ~」
長四郎は燐の問いを軽くあしらい、歩を進める。
そして、次に目を付けたのは客が多い某大手チェーンのハンバーガーショップであった。
「ラモちゃん。これで適当なセットを買ってきておいて。店内でのお召し上がりで宜しく」
長四郎は燐に2千円渡し、1人先に店内へと入って行った。
燐もそれに続き入店した。
長四郎は席を探すふりをしながら、落し物が無いかを確認する。
すると、角のソファー席に不審な紙袋が置かれていた。
その近くに座る客もまた「自分の物ではありませんよ」アピールして食事をしていた。
長四郎はその近くに座ろうと周りの席で空いている席を探すのだが、全て満席でどうしたものかと考えていると、セットメニューが載った盆を持った燐が来た。
「席、無いの?」
「ああ」
そんな会話をしていると、角の席に座っていた客が「自分、もう行きますんで良かったら」そう言って立ち上がると、目の前の1人掛け席に置いてある荷物を取り、席を長四郎達に譲った。
「あの忘れ」燐がそう言いかけた時、長四郎が軽く咳ばらいをし席に着く。
燐も咳ばらいの意味を察し、黙って1人掛けの椅子に座る。
「どう?」
袋の中身をさり気なく覗く長四郎は、黙ったままOKサインで返事をする。
そうして、2人は黙ったまま食事をして店内を後にした。
「ラモちゃん。絢ちゃんに連絡してくれ」
「もうしてる」燐はそう答えながら、絢巡査長にメッセージを送信する。
一方の絢巡査長はというと、第1ターミナルでSUITOの捜索にあたっていたのだが、簡単に見つかるはずもなく苦慮していた。
そんな時、燐からメッセージが届いた。
「第2ターミナルで、2個目を発見しました」の文と共に、SUITOが入った紙袋の写真が添付されていた。
共に捜索にあたっていた一川警部に、メッセージを見せる。
「第2ターミナル? ここだけやないと?」
「そうみたいです。大人しく去って行ったと思ったら、こんな事していたとは・・・・・・」
呆れたといった感じで発言する絢巡査長。
「いや、呆れとる場合じゃないよ。絢ちゃん」
「そうですね。どうします?」
「う~ん、絢ちゃんは第2ターミナルに行って。あたしは、ここで捜索を続けるけん」
「はい。分かりました」
「サクルなんちゃらが監視しているかもしれんけん。気を付けて」
「はいっ!」
絢巡査長は元気よく返事をして、長四郎と燐が居る第2ターミナルへと向かった。
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