番外編〜一川雅人の危機〜
番外編~一川雅人の危機~
カチッ、チラチラッ
蛍光灯に明かりが灯る。
「起きろ」
黒ずくめの男がスキンヘッドの頭を叩く。
「うん?」
頭に衝撃が走り、目が覚めた
手足は縛られ拘束されていた。
「こ、これは参ったね」
「余裕なんだな」
「そんな訳ないやろ。心臓バクバクやけん」
「そうか」
黒ずくめの男は真向かいに置いてあるパイプ椅子に腰を下ろし、話しかける。
「俺が誰だか、分かるか?」
「顔が見えん奴なんて、分からんばい」
「そうだよ、なっ!!」
一川警部の顔面を殴りつける。
鈍い音が響き渡る。
「痛かぁ~」
口の中を切ったらしく、口から血が滴り落ちる。
「俺が受けた痛みはこんなもんじゃないけどな」
「そう」一川警部は相手を睨みつける。
「なんだ? その顔は!!」
男は一川警部の顔や腹を殴りまくる。
鳩尾に入ったパンチを受け「お~今のは効いたわ~」と感想を述べる一川警部。
「懲りない奴だな!!」
綺麗なフックパンチが、一川警部の顔面を襲った。
「うおっ!!」
床に一川警部の血が付着する。
「まぁ、ここまでにしよう。あんたをここで殺しても良いがそれじゃ、俺の気が収まらないのでね」
男は血塗られた拳を近くに置いていたタオルで拭く。
「もう少し若けりゃ、これぐらいの拷問に耐えられるんやけど」
「おいおい。そんな情けない言葉は聞きたくなかったぞ。
「久しぶりに本名で呼ばれたな」
「そうかい」
男はそう言いながら何かのスイッチを入れる。
「なんね、それ」
「これから始まる楽しいゲームさ」
「ゲーム?」
「あんたを簡単に殺せることは出来る。けどな、あんたを楽には死なせないぞ。地獄の苦しみを味わせてやる」
「それは、それは」
「ムカつくな」男は一川警部の腹に蹴りを浴びせる。
「今のも効いたぁ~」
「嬉しいな。そう喜んでいただけると」
「あたしは、ドSやけん。Mの気持ちは分らんと」
「減らず口が止まらないなぁ~」
一川警部の腹目掛けて拳を叩きこむ。
「グボッ」
「いい声で鳴くな」
「趣味悪いね。あんた」
「よく言われるよ」
「そろそろ目的を教えてくれんね」
「そうだな」と言いながら被せていた布を取ると、そこにはタイマーが起動している爆弾のような物が置かれていた。
「何? あたしを」ぶっ飛ばすぞぉ~」ってか」
「ご名答。こういう時の勘が良いんだな」
「よぉ、言われとうと」
「それは良かった。では、ゲームスタート」
男は一川警部を残して、その場を去っていった。
そして、タイマー残り時間は72時間と58分を示すのだった。
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