将軍-12
翌日、命捜班・第一班の部屋に長四郎、燐、一川警部、絢巡査長、佐藤田警部補、遊原巡査、明野巡査の七人で捜査会議が始められていた。
「では、最初に長さんの推理から披露してもらいましょう」
一川警部のこの挨拶から捜査会議は始まった。
「最初に一番気になっているゲネラールの正体からお話します」
長四郎がそう言うと同時に一川警部の拍手が始まり、その場に居た全員も釣られて拍手し始め拍手が止んだと同時に話始めた。
「ゲネラールの正体は、一番最初の被害者である更利満であるというのが私の推理です」
「はい。質問良いでしょうか?」燐が挙手して質問する。
「どうぞ」
「殺されているのは誰なの?」
「さぁ、誰なんでしょうか? 私も皆目見当がつきません」
「ダメじゃん」
「ま、小娘の言う事はほっといて。続けます。そんで、更利満がなんで俺に挑戦してくるかはこれから調べたいと思います」
「ねぇ、更利満が生きている根拠は?」
「それはあたしから」一川警部が立ち上がり、長四郎は椅子に腰を降ろす。
「昨晩、関東監察医務院に行きまして、遺体と更利満の部屋から押収した髪の毛とDNA鑑定したところ合致しました」
「え? どういう事。こいつの推理が成立しないじゃん」
「そこが更利の狙いさ。遺体をここまでして身元が分からないようにして調べ上げた結果、更利満本人であることが証明されれば探偵さんの面目は丸潰れ。それが奴の狙いさ」
佐藤田警部補の推理に燐は成程ねといった顔をして納得した。
「一川さん。この事を捜査本部には報告したんですか?」
「勿論ばい。泉ちゃん」
「じゃ、次は俺の番だな」佐藤田警部補はそう言って立ち、単独で捜査していた内容を語り始めた。
「え~ まず最初に内の遊原と明野そして、ラモちゃんが見つけてきたドッグタグからちょいと知り合いの自衛官に話を持っていたところ彼の自衛隊所属の過去が分かりました。そんで、探偵さんの依頼で被害者の経歴を洗って欲しいとの依頼を答える為に捜査しておりました」
「班長、見かけないと思っていたらそんな事してたんですか?」
遊原巡査は今までその姿を見せなかった自分の上司を不服そうな目で見る。
「まぁ、そういうなや遊原。面白い話聞かせてやるから」と前置いてこれまで殺された被害者は皆、前職が自衛官であった事が分かった」
「ウッソぉ~」一番良い反応を見せる明野巡査。
「良いリアクションありがとう。それでな、彼らは皆、予備役の自衛官だった」
「予備役?」首を傾げる燐に「有事の際には、自衛官として招集される人たちの事だよ。女子高生」と長四郎が説明した。
「じゃ、続けるね。そして、被害者の全てが過去の経歴を偽っていた」
「更利と同じですね」
「絢ちゃん。良いことを言ってくれた。そう、更利と同じなんだよ。そこが味噌なんだ。そういう身分を偽る自衛官を殺す事で奴には何かを達したい目的があるんじゃないのか? 俺はそう思っているんだけど、それが何か掴めてないから、困っているの」
佐藤田警部補は参ったなこりゃみたいな顔で、椅子に座る。
「佐藤田さん。更利の会社はどうなんです?」
長四郎が質問すると、すっかり忘れていたと言わんばかりに額をぴしゃっと叩く佐藤田警部補。
「それなんだけどね。どうも、右翼団体に献金しているみたいなんだよね」
「ほぉ~ でも、自衛官が潜り込む理由はなさそうですけどね」
「そうなんだよ。だからさ、今、調べてもらっているの」
「誰に?」燐が聞くと「秘密」と言って佐藤田警部補はニヤッと笑う。
「それはさておき、これからどうすんですか?」絢巡査長が捜査方針を長四郎に質問した。
「更利を追うよ。奴の挑戦を受けている事を大々的に発表しても良いかな? どうです? 一川さん」一川警部にお伺いを立てると「失敗は許されけんけど、いっちょ長さんに賭けてみますか!」
こうして、長四郎の建てた作戦でゲネラールを追い詰める事になった。
その手始めとして、捜査本部長の光浦にこの事を了承を得る為、作戦の立案者である長四郎を連れ絢巡査長、遊原巡査、明野巡査、燐の五人で捜査本部を訪れた説明を行った。
「ダメだな。まず、更利が別の人間であることが証明されていない。それに、素人に何ができるって言うんだ」作戦説明をした長四郎を鼻で笑う光浦。
「じゃあ、あんたはこの探偵より良い作戦が建てられるの?」
燐が珍しく長四郎を庇った。その光景を見て、絢巡査長は雪でも降るんじゃないのかそう思った。
「無論できるとも」
「じゃあ、見せてもらおうじゃない。あんたの作戦ってのを」
燐と光浦に激しい火花のぶつかり合うのをひしひしと感じる長四郎であった。
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