会長-10

 長四郎達が警視庁に帰ると、燐がドヤ顔をして三人を出迎える。

「よっ!!!」

 燐は嬉しそうに声を掛ける。

「何がよっ!!! だよ。こっちは歩き疲れたってのに」

「ふふっ、探偵君。私が得た情報を知りたくないかい?」

「あー知りたい知りたい」

 長四郎だけ一人答えながら、三人は各々椅子に座る。

「何、扱い雑じゃない?」

「そんな事ないよぉ~」

 絢巡査長は天井を見ながら、空返事をする。

「ラモちゃん。早く話して。あたしら、疲れとうと」

「なんか、話す気なくなるんだけど・・・・・・」

「んな、良いから早く話せ。女子高生」

 長四郎にそう言われ、ムッとした表情を見せながら話し始めた。

「あの生徒会、結構ヤバいみたい」

「へ~」三人は声を揃えて返事する。

 燐は薄い反応の三人に怒りを覚えるのだが、取り敢えず怒りを抑え続ける。

「なんか、生徒会主催の格闘技ごっこ? 的なのをやっていたんだって」

「それで、被害者の栗手君の身体に打撲痕があったんだ」

 絢巡査長は溺死なはずなのに打撲痕があったことに対して、合点がいった反応をする。

「私もそう思ったんです」

「ラモちゃんの推理を当ててやろうか。その格闘技ごっこなるもので栗手君が殺されて、その死体を川に遺棄したってところでしょ?」

「ズバリ正解! だから、あの生徒会の人間をつついてみる必要があるんじゃない?」

 燐のこの提案に一川警部は「そうやね。犯人に繋がるかもわからんけんね。長さん、ラモちゃんと一緒に捜査してあげて」と指示する。

「え~」

「なんで、嫌がるわけ?」

 長四郎に詰め寄って問い詰める燐に「嫌がってるなんて滅相もない。お供させて頂きます」顔を引きつらせながら、長四郎は言う。

「それで、絢さん達は何か収穫あったんですか?」

「あったよ」

 絢巡査長は、燐に近所の釣り人から聞き出した情報を伝えた。

「なんか、他殺って思っても仕方ないのにどうして、事故で処理されたんだろ?」

 話を聞いた燐の第一声はそれだった。

「それについても調べて来たの。担当していた刑事に話を聞いたら、上からの圧力で捜査を中断させられて無理矢理事故で処理されたんだって」

「何、その話。絶対、金が動いている奴じゃん」一人、憤慨する燐。

「それも捜査しなきゃいかんと。あ~めんどくさかぁ~」

 一川警部は頭をペチペチと叩く。

「なぁ、ラモちゃん。蔵寺って奴の事について何か聞き出せた?」

 その長四郎の問いに燐は、「聞いてない」と即答した。

「聞いてないのか。ま、いっか」

 長四郎はそう言うと椅子から立ち上がりぶつぶつと呟きながら、命捜班の部屋を後にするのだった。

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