展示-12
一川警部と絢巡査長は、警備会社の社員から防犯カメラについてのレクチャーを受ける為、博物館の会議室へと来ていた。
「防犯カメラ映像の細工についての問い合わせでしたが、それは可能です」
警備会社のセキュリティー担当社員からまさかの発言を受け、驚愕する一川警部と絢巡査長は話に耳を傾ける。
「というのも、ここのセキュリティシステムは古いんですよ。20年前に設置されたものですから」
「20年前ですか。あのこういった施設では最新のセキュリティシステムが導入されているものではないのですか?」
「そうなんですよ。今の館長になる前に最新システムの更新をする予定だったんですけど。更新のタイミングで中止になりまして」
「そうですか・・・・・・」
絢巡査長はそう返事しながら、この件が意外にも事件に繋がっているかもしれないと思った。
「あの、システム改修に掛かる費用って如何程のものですか?」
ここで一川警部が口を開いた。
「そうですね。自分も当時の事は上席の者から聞いたものですから金額は何とも。現在のシステムだと大まかな値段は分かるんですけど」
「現在の値段で構わないので、教えて頂けませんか?」
「はぁ。大まかな値段ではなりますが、ざっと9千万円といった所ですかね」
「9千万ですか。結構な額ですね」
「はい。これでも金額は昔より抑えているんですけどね」
「そうなんですね」
「ええ」
「すいませんが、上司さんの方に何故、システム更新が中止になったのか。聞いて頂けませんか?」
「分かりました。少々お待ちください」
絢巡査長の依頼を引き受けたセキュリティ担当の社員は席を外した。
「一川さん、長さんに報告しましょうか?」
スマホを取り出し、メッセージアプリを開く。
「絢ちゃん、後にしよう。というより、この件についてもう少し掘ってみよう。どぉ~も、気になるったい」
「はい。あの、ここの決算書入手しますか?」
「絢ちゃん。それは名案やね。頼むばい」
「はい」
絢巡査長もまた、その場から席を外し、決算書を取りに行った。
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