議員-11
長四郎は小岩を襲った人物が誰か考えている内に、寝落ちしてしまい事務所のソファーでスヤスヤと眠っていた。
「もう勘弁してください」
長四郎は夢の中で、燐から締め上げられ許しを乞うていた。
“ピキーンッ! ピキーンッ!! 目覚めるのだ。”
ショッカー首領の声に従うように長四郎は目を開けて、スマホを手に取り通話ボタンを押した。
「はい。もしもし」
「その声の感じだと寝てたみたいね」電話の相手は燐であった。
「寝てましたよ。なんせ、疲れているんですから」
「そう。疲れているとこ申し訳ないけど、新しい事件発生」
「え~ どこで?」
「北区の住宅街」
「で、誰が襲われたの?」
「
「ああ、そう」
長四郎は北区で起きたという点に違和感を覚えた。自分が推理していた六芒星から離れた場所で事件が起きたことにモヤモヤが止まらなかった。
「ねぇ、話聞いてる?」
「聞いてます。聞いてます。で、俺にどうしろっての?」
「一川さん達が来てほしいって」
「分かりました。今から行きますよ。そう伝えといて」
長四郎はそう言って通話を切り、事務所の目の前に止めてあるバイクGTS150にまたがり走り出す。
事件現場に着くと、鑑識作業を終えた鑑識捜査官達が撤収し始めた頃だった。
「おはようございます」
規制線の外で長四郎を待っていた一川警部に挨拶する長四郎。
「あ、おはよう。朝から悪いね」
「いいえ。気になりますから」
「そうよね。長さんの推理が外れ取ったもんね」
一川警部にそう言われ、長四郎は少しムッとしながら規制線を超えて事件現場に入っていく。
「襲われたの人は知っとうと?」
「ラモちゃんが教えてくれました。なんで、刑事さんみたいに詳しいのかねぇ~ あの女子高生は」
「長さん、ボヤかない。ボヤかない」
「そうですね。庭加雅也の秘書でしたっけ?」
「そう。秘書の
「やっぱり、警察もマークしている議員なんですか?」
「それについては絢ちゃんが調べとう」
「そうですか。結果待ちですね。で、被害者の容態は?」
「意識不明の重体。複数人で暴行されたみたいやね」
「下足痕で分かった感じですか?」
「そうばい」
「今までの犯行とは、違いますよね」
「小岩さんもここ最近になって、複数人から襲われたっていう証言し始めたったい」
「ほぉ~」
長四郎はそう返事しながら、こめかみをグリグリとさせ何かを思案する。
「おっ、事件解決に繋がりそうな予感!」
一川警部は必死で思考を巡らせる長四郎を見ながら、小躍りするのだった。
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