番外編~羅猛燐の事件簿 EP.1.03~
次の休み時間に燐達は調査を開始した。
手始めに、人形の価値を知っていそうな人物をマークすることにした。
とはいえ、燐、リリにはそのような心当たりはないので全て白子の情報を基に調査する。
「あの子が一番怪しいと思うの」
白子が言うその人物は隣のクラスのギャル・
「どうして、怪しいの?」
燐の問いに白子は「だって、あの髪色だよ」と自信満々に答えた。
確かに、五十嵐芽以の髪色は金髪ではあった。
だからといって、疑う理由にはならないので燐は冷静に白子に告げた。
「それだけで犯人を疑う理由にはならないから。次いこう。次」
そして、次の容疑者候補はそのまた隣のクラスの女子生徒・
先程の五十嵐芽以と違い、特に変わったような見た目はしていなかった。
「あの人はどこが怪しいの?」
「なんか、澄ましていている感じがしない?」
確かに机に一人でポツンと座ってはいるのだが、その凛とした美しさで異彩を放っていた。
「澄ましているという意見は、否定しないけど。彼女は何、人形の価値を知っていそうなの?」
「分からない。でも、ああいう女って裏では何をやっているか分からないでしょ。だから、怪しい人物としてマークしているの」
「そ、そうなんだ」
燐は白子の言う人物の中には、犯人は居ないと感じていた。
「白子さん。今、良い?」
流暢な日本語で声を掛けてきたのは、男子留学生のダニエル・ハンサムであった。
「あ、ダニエル。大丈夫だけど」そう答え詩島明日那からダニエルに視線を移す白子。
「実はさ、25日のクリスマスなんだけど」
「ああ、○○―〇ランドに行くんだよね?」白子は淡泊に答える。
「うん、そうなんだけど・・・・・・」
どこか歯切れの悪いダニエルの話を聞きながら、燐はダニエルが白子に好を寄せている事が分かった。
「大丈夫だよ。その日はちゃんと予定空けているから」
「それを聞いて安心したよ。それより、何しているの?」
「今、私の人形を盗んだ犯人の張り込みをしているの」
白子がそう答えるとダニエルの表情が少し曇ったのを燐は見逃さなかった。
「ああ、そうなんだ。頑張ってね」
ダニエルはそう白子に告げ、足早に去っていった。
燐はこの瞬間、ダニエルの一連の動作を見て犯人ではないかと直感的に思った。
「ねぇ、ダニエル君って彼氏なの?」
「違うよ。ダニエルとはマブダチなの。同じ趣味で意気投合した仲なんだ」
「ふ~ん。じゃあ、ダニエル君も人形の価値を知っている感じなの」
「うん。だけど、ダニエルは犯人じゃないよ。だって、マブダチがそんな事するわけないじゃん」
燐はダニエルはマブダチじゃなくて恋人になりたいんだと思うよと口に出しそうになったが、寸での所で止められた。
「ああ、そうなんだ」と答えるものの燐はダニエルをマークする事を決めた。
「あ、動いた」
白子の言葉通り、詩島明日那が立ち上がり教室を出た。
2人はバレないように後をつけると、詩島明日那は女子トイレの中に入っていった。
「なぁ~んだ。トイレじゃない。戻ろう、そろそろ授業が始まるから」
燐の提案に「分かった。絶対次の休み時間には化けの皮を剝いでやるんだから」と白子は息を巻くのであった。
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