展示-10

「ねぇ、どうして凶器がここにあると思ったの?」

 燐は化石コーナーをきょろきょろと見回して、凶器の刀を探す長四郎にその真意を問う。

「何で? そんな事俺が知るか!」

「あんたねぇ~」

「ラモちゃん、どうどう」

 長四郎に掴みかかろうとする燐を宥める絢巡査長。

「あーもうっ! 絶対にこんな所にある訳ないし」

 燐が地団駄を踏んでいると、「あった!!」の声が化石コーナーに響き渡る。

「ウソぉ~ん」

 情けない声を出す長四郎の視線の先には、意気揚々と小躍りする一川警部の姿があった。

「なんか、おじさんの小躍りを見るのは辛いね」

「はい」

 絢巡査長の言葉に燐は頷いて返事するのだった。

 凶器の刀が見つかった場所は、ティーレックスの標本の足元の岩場に埋めるように隠してあった。

「よく見つけましたね」と感心する絢巡査長に「まぁ、長年、刑事を続けてきた賜物かなぁ~」一川警部は鼻高々に答えた。

 絢巡査長が感心する理由として、足元の岩場に隠してあったのだが、綺麗に埋められており遠目から発見するのは容易ではなかったからだ。

「この刀が凶器のようですね」

 鑑識捜査員が刃先に血が薄っすら付いた刀を4人に見せる。

「良かった」何故か、長四郎は胸をなでおろす。

「まさか、当てずっぽうで探させたの?」

「そ、そんな事は・・・・・・」

 長四郎は目を右往左往させながら、燐の質問に答える。

「絶対に噓だ」

 燐は訝しげに長四郎を見るのだった。

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