希望-4
「あんた、誰?」
長四郎の問いに2人の内の1人が口を開いた。
「俺は、公安の
紹介された旭は長四郎と燐、絢巡査長に軽く会釈した。
「公安の人。じゃあ、さっき殺されたのも公安の人だったという訳か」
「その通り。奴は組織に潜入調査していた」
「組織って?」燐の質問に旭が答える。
「サクル・オリオ・クラウです」
「サクル・オリオ・クラウ?」
聞きなれない言葉に眉をひそめる燐に「サクルはアラビア語で鷹、オリオはポルトガル語で目、最後のクラウは中国語で目だ」例のバッジを見せながら長四郎が教えた。
「このバッジ通りだ!」
「そうね」
嬉しそうな燐とは対照的に冷ややかな態度の絢巡査長。
「それで、どうして公安さんがここへ?」
「勿論、事件を未然に防ぐために臨場した。それじゃ不満か?」
高倉のその言葉に、「とんでもない」と言って首を横に振って否定する長四郎。
「あの、これが何か知っているわけですよね?」
絢巡査長が銀色の円柱を指差しながら尋ねる。
「それはウイルス兵器だ。時限式で起動する」
「てことは、時間が来たらウイルスがばら撒かれるって事?」
「その通りだよ。お嬢さん。だから、厄介なんだ」
高倉は顔をしかめながら、円柱をポンポンと叩く。
「それで、サクル・オリオ・クラウの要求は?」
「日本政府が20億の金を約12時間後に、奴らに支払うことだ」
「そんな大金、何に使うんだろう?」
燐の疑問に誰も答えることはなく、話は進められる。
「日本政府はびた一文払う気もないから、現場でなんとかしろって言われているの?」
長四郎の問いに、「どうして、それを知っている」と言わんばかりの顔をする高倉と旭。
「図星と見たな。それで、このウイルスはどんな特性があるんだ?」
「いや、そんな事より動機の解明の方が先じゃない?」
燐が長四郎にそう意見すると、長四郎は鼻で笑った。
「ラモちゃん。お金を要求しているってことは、組織の活動費に充てるために決まっているでしょう」
「そうとも限らないよ。何か目的をもって活動しているはずだから、恵まれない子供達や環境保護活動への募金かもしれないじゃん!!」
胸を張って言う燐に長四郎は「それも活動費の内だろう」と反論したかったがグッと堪え話を続ける。
「貴方様の仰る通りです。話は戻るが、このウイルスはどのような特性が?」
「それは、俺達も知らないんだ」悔しそうに高倉は答えた。
「知らない? それは参ったな」腕を組んで天井を見上げる長四郎。
その時、絢巡査長のインカムに連絡が入った。
「長さん、これを設置していた男を駅のホームで捕まえたそうです。今、駅員室にいるそうです」
「じゃあ、そいつから話を聞こうか」
長四郎達は駅員室へと移動した。
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