探偵は女子高生と共にやって来る。
飛鳥 進
第壱話-結成
結成-0
一人の女子高生が帰宅する為、自転車置き場へと向かっていた。
部活動室で部員の仲間達と自主勉強会を開いており、それが終わったのは22時半頃。
そこから駐輪場で30分程談笑し、解散した。
だが、その女子高生は忘れ物したことを思い出し学校に戻って、忘れ物を取り再び駐輪場へと歩いていると黒い何かが上から降ってきた。
最初はゴミ袋か何かだと思ったのだが、地面に接地した際に表現しがたい鈍い音が現場に響き渡った。
恐る恐る近づき落ちてきた物体を確認すると、身体の一部があらぬ方向に向いている男子生徒であった。
あまりの光景に絶句していると、男子生徒が飛び降りたであろう武道館の屋上から複数の男女の笑い声が聞こえてきた。
「マジで面白い。クセになるわ、これ」
そんな言葉に嫌悪感に堪え気を保ちながら、女子高生は警察に通報するのだった。
疲れた。
この俺、
今回の調査も普段通りに行くはずだった。
調査内容は、浮気調査なのだが都内のホテルの前で見張っとけば良いのかと思ったのだが、対象は静岡県熱海市に旅行に出かけ高級旅館へと入るわ。
そこまではまだ良かった。
高級旅館での調査に神経を使いまくった。
対象不倫相手の女が手ごわかった。
あれは、手練れだ。
不倫経験豊富といった感じで、こちら手の内がバレているのか。
危うくバレそうになること十数回。
そして、埼玉県春日部市から来たという5歳の男児に付きまとわれ、そのせいで余計にバレそうになった。
普段の調査より神経を使い果たし、温泉も楽しめずクタクタになり調査を終え今に至る。
探偵を始めた当初は、こんな探偵業務を生業にするはずではなかった。
自分で言うのもなんだが、10年程前までは全国津々浦々に高校生探偵として名を馳せていた。
それが今では、そこら辺に居るしがない私立探偵。
意外と、コナン君や金田一少年のような殺人事件の依頼は来ない。
昔は、チヤホヤされたのに・・・・・・
金田一少年は35歳の会社員になっても、事件解決しているというのに俺は・・・・・・
そんな事を思いながら、重たい脚を上げ古びたビルの階段を昇る。
建付けの悪いドアを開けると、くたびれたソファーに腰掛ける探偵事務所には似つかわしくない制服姿の女子高校生が座っていた。
「え、何?」
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