第33話 黒い悪魔と天敵再びⅡ

ランド大樹海とアメリア王国の間に存在する大草原…そこは素晴らしい場所だ。


見渡す限りの一面の緑、真っ青な空、心地よいそよ風。


この草原にいるだけでとても清々しい気分になる本当に素晴らしい場所だ。


…ただし。



「ギチギチギチギチギチギチギチィィィィィィ!!」



巨大トノサマバッタ達に襲われていなければの話ですけどねぇ!


「ヤタイズナ! このままでは追いつかれるぞもっと早く飛べんのか!」

「無茶言うなよ! これ以上早く飛べないよ!」


私達は空を飛んでトノサマバッタ達から逃げているがスピードはトノサマバッタ達の方が上だ。


このままでは追いつかれてしまう。


「ガタク、後ろに鎌鼬だ!」

「承知で御座る! 《鎌鼬》!」


ガタクがトノサマバッタ達に鎌鼬を打ち込む。


「ギチギィィ!?」

「ギチ!?」


鎌鼬が命中し、数匹が地面に落下した。


「よしそのまま鎌鼬を撃ち続けろ!」

「承知で御座る!」


ガタクが鎌鼬を撃ち続ける! 


しかしトノサマバッタの数が多すぎてキリがない!


「ギチギチギチ!」

「くそっ! 仕方ない…」


私は逃げるのを止め、トノサマバッタ達の方を向く。


「《炎の角》!」


私は炎の角を使いトノサマバッタ達に突進した。


するとトノサマバッタ達は危険を察したのか、私を避けガタク達に向かった!


「ガタク!」

「《鎌鼬》!」


ガタクが鎌鼬でトノサマバッタ達を攻撃する! しかしトノサマバッタ達は鎌鼬を避けガタク達に接近する!


「ちぃ! ならば《斬撃》! で御座る!」


ガタクの斬撃が命中し数匹が落下する。

しかしトノサマバッタ達は勢いを止めず突っ込んでいく!


「くぅぅっ!」


ガタクが体を捻りトノサマバッタ達の突進をかわす!


「うおおお!?」


しかしその動きに耐えられずバノンがガタクから手を離してしまい空に投げ出された!


「バノン!」


私は投げ出されたバノンを角で受け止める。


「大丈夫か?」

「ああ…何とかな…! 後ろから来たぞ!」

「ギチギチギチ!」


トノサマバッタ達が私に突っ込んできた! 


また炎の角で追い払いたいが今使えばバノンが黒こげになってしまう!


「バノン、ミミズさん! しっかり掴まっていてくれ!」

「お、おい何する気…だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

「ぬぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」


私は地面に向かって一気に急降下した!


「ギチギチギチギチ!」


トノサマバッタ達は私を追いかける。


「ヤタイズナ! な、何を気なのじゃ!?」

「うおおおおおおおおお!? し、死ぬぅぅぅぅぅぅぅ!」


私は急降下し続ける。


「おい! このままだと地面に激突してしまうぞ!?」

「大丈夫、私に任せて! おらぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


地面に激突するかしないかのギリギリのタイミングで私は身体を上に曲げ、一気に急上昇した!


「ギチ!?」

「ギチャアアア!?」

「ギチチャア!?」


私を追って来ていたトノサマバッタ達は物凄い勢いで地面に激突していく。


「よし、上手くいった!」

「や、ヤタイズナよ…今度から何かやるときは言ってくれんかのう…」

「し、死ぬかと思った…」

「ごめん、今度から言うよ、とりあえずミミズさん達はここで降りてくれ」

「今度はどうする気じゃ?」

「私があいつらの相手をするからミミズさん達は地面に穴を掘ってそこに隠れていてくれ」

「分かった、では早速始めるとするかのう!」


私から降りたミミズさんがものすごい勢いで穴を掘り始めた。


「よし、じゃあいくか!」


私はトノサマバッタ達に向かって飛んでいく!


地面に激突した先頭のトノサマバッタは全滅したみたいだが後続のトノサマバッタ達は無傷のようだ。


恐らく先頭のトノサマバッタ達がクッションとなり無事だったのだろう。


「ギチギチギチ!」


私は向かって来るトノサマバッタの一匹に鑑定を使いステータスを確認した。














ステータス

 名前:無し

 種族:ブラックローカスト

 レベル:10/30

 ランク:C-

称号:無し

 属性:風

 スキル:貪食

 











C-か…今の私ならC-の魔物に苦戦することはほぼないだろう。


しかし奴らは数が多い。だいぶ減ってはいるがまだ見る限りざっと500匹はいる。


大きさも普通のトノサマバッタとは比べものにならない、見た感じ30センチぐらいだ。


あんなのに群がられたら一瞬で食い尽くされてしまうだろう…だがやるしかあるまい!


「行くぞ! 《炎の角》!」


私は炎の角を使いローカスト達に突進する!


「くらえ!」

「ギチギチギィ!?」


私はローカスト達を炎の角で攻撃する! 


炎の角にかすったローカストが燃えて地面に落ちる。


「ギチギチギチ!」


ローカスト達が私から逃げ、空中のガタクに向かった。


「くそっ、待て!」


私はローカスト達を追いかける。


しかしやはりスピードはローカスト達の方が速い。


「ガタク! そっちに行ったぞ!」

「面倒で御座るな! 《鎌鼬》!」


ガタクが向かって来たローカスト達に鎌鼬を撃ち込む! 


しかしローカスト達の勢いは止まらない!


「おのれならば《斬撃》!」

「ギチギィ!?」


斬撃が命中し数匹が落下していくがまだローカストの勢いは止まらずガタクに突っ込む!


「いかん! 殿っ!」

(うわあああっ!?)


ガタクがスティンガーを私に向けて投げた。


私はスティンガーをキャッチする。


その瞬間、ガタクがローカスト達に飲み込まれた!


「ぐおおおおおおお!?」

「ガタク!」


ローカスト達がガタクに殺到している! このままではガタクが危ない! 私はガタクを助けるためにローカスト達に向かう!


「どけっ! 《炎の角》!」

「ギチチギチ!?」


私は炎の角を使いローカスト達を追い払う。


「ガタク、大丈夫か」

「はい…少し体を齧られただけで御座る、まだやれるで御座る!」

「そうか…ガタク、一旦ミミズさん達の元に向かってスティンガーを置いて来い」

(ごしゅじん! ぼくもたたかうよー!)

「駄目だ、スティンガーと奴らでは相性が悪い、今回はミミズさん達と一緒に居るんだ」

(わかったー…)

「殿っ! 奴らが来たで御座る!」


ローカスト達が再び向かって来る!


「ガタク行け!」

「承知で御座る!」


ガタクがミミズさん達の元に向かう。


私はローカスト達の気を引くため炎の角を使わず突進した!











―一方、ミミズさん達は掘った穴に隠れて戦いを見守っていた。


「ふふふ…ここに居れば安全じゃ」

「あいつら大丈夫なのか?」

「安心せい…ヤタイズナならあの程度の敵一瞬で…」


ミミズさん達が話していると後ろの土壁に穴が開いた。


「な、何じゃ!?」


ミミズさんとバノンが後ろを見る、そこには…


「ジィ?」

「………」


そこにはオ・ケラがいた。 穴の中の時が止まった、主にミミズさんの時が。


そして。


「何でお前がここにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」

「ジィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!」


ミミズさんが恐怖の、オ・ケラが歓喜の叫びを上げた。
















「第5回次回予告の道―!」

「さぁ久々にこのコーナーが始まったぞ!」

「久々のオ・ケラの登場だね」

「おのれよりによって儂の出番が多い時に現れよって…」

「まぁそう言うタイトルだったんだから仕方ないよ…ん? あれって…」

「ジィィィィィィィィィィィ!」

「オ・ケラ!? 何でこのコーナーにいるのじゃ!?」

「ミミズさんを追って来たんじゃないの? 本編みたいに」

「このコーナーと本編は隔離されとるのに何でそこだけリンクするのじゃ! ぬおおっ!? 来るな―!」

「それでは次回『三つ巴の戦い』! お楽しみに」

「次回予告よりも儂を助けんかー!」



 ・注意、このコーナーは作者の思い付きで書いているので次回タイトルが変更される可能性がありますのでご注意下さい。

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