第122話 暴竜警報Ⅱ

ミミズさん達と合流した私は、火口に向けて一直線に進み続け、遂に火口付近へと到着した。


「よし、着いたぞ!」

「色々と邪魔はあったが、ようやく来れたのう」


 私は火口で暴れている魔竜王の姿を改めて確認する。


 体長は以前のミミズさんや魔獣王と同じで10メートル程だ。

 姿は典型的な西洋竜で、全身が黄金の鱗に覆われており、その姿は美しくも恐ろしい。


 鑑定を使用して魔竜王のステータスを確認した。











 ステータス

 名前:ゴルド・ネール

 種族:ファヴニル

 レベル:500/500

 ランク:S

 称号:魔竜王、竜の召喚士、怠惰

 属性:竜

 スキル:早寝、火炎、火球

 エクストラスキル:魔竜の剛爪、魔竜の鱗、魔竜の咆哮、火属性耐性Ex

 ユニークスキル:竜召喚、魔竜の息吹












 ゴルド・ネール……それが魔竜王の名前か。

 そして種族はファヴニル……確か北欧神話やゲルマン神話などに出てくる竜に変身するドワーフの名前だったはずだ。


 しかし怠惰に早寝か……ミミズさんが言っていた怠惰な奴と言うのは本当だったんだな……


 まぁその辺の事は後にして、今は魔竜王の暴走を止める事に専念しよう。

 私がそう考えたその時、突如巨大な水の塊が魔竜王目掛けて飛んで行った!


「何だ!?」

「あれはさっき俺達の上から降って来た……」


 巨大な水の塊はそのまま魔竜王の身体に直撃した!


『グオオオオオオオオオオオオオオオオ!?』


 魔竜王は叫び声を上げ苦しんだが、すぐに態勢を整え、水の塊が飛んできた方向に火炎を吐いた!

 その火炎を避けるように、空高く跳ぶ人影が見えた。


「ミミズさん、あれって……」

「うむ、魔海王の奴じゃ! おーい魔海王ー!」


 ミミズさんの声が聞こえたのか、魔海王は地面に着地した後、私達の元に跳んできた。


「何よアンタ達、ようやく来たの?」

「お主が勝手な事せずに協力してくれればもっと早く来れたんじゃけどな!」

「まぁまぁ……所で魔海王、魔竜王が暴走している理由を知りませんか?」

「理由? ……そう言えばあいつを縛る鎖を壊した後に、あいつの頭の上に転移魔法の亀裂が現れたのよ」

「転移魔法!?」

「それでその亀裂から何か小さいのが魔竜王の額にくっついたと思ったら急にあいつが暴れ出して私に火を吐いてきたのよ! この私に火を吐くとかマジ許せないわ!」


 魔竜王に火炎を吐かれたことが相当気に食わなかったらしく、魔海王が物凄く怒っていた。

 しかし転移魔法か……


 私は前にアルトランド王国に現れた六色魔将、青のブロストの事を思い出す。

 恐らくだが、今回もブロストが何かを企んでいるのだろう……


「……所で魔海王、お主の服の後ろ側、焦げとるぞ?」

「は? 何言ってんのよ、あいつの火炎は全部避け、て……」


 魔海王が後ろを向き、自分の服を確認して硬直した。

 後ろ側のスカートの一部が黒焦げになっていたのだ。


「きゃああああああああああああ!? 私の服がぁぁぁぁぁぁぁっ!?」


 自分の服の惨状を見て、魔海王が悲鳴を上げた。


「ど、どうして!?」

「多分避ける時にその部分に炎がかすったんじゃねぇか?」

「多分そうじゃろうな」

「……」


 魔海王が黙り、俯いた。


 よほどショックだったのか?

 私がそう思っていると。


「……許さない」

「え?」

「許さない! この服お気に入りの服だったのに、こんな風にして……絶対に許さないわ!」


 魔海王から尋常じゃない殺気が放たれる。


「……《変化(人)》解除!」


 その言葉を言い終わると同時に、魔海王の首が伸びた。


「っ!?」


 私はその光景を見て驚き言葉を失った。


 魔海王の首はろくろ首のごとく伸びて行き、同時に尻尾も伸び始めた。

 更に全身に水色の鱗が生え始め、指の間には水かきが生え、身体はどんどんと巨大化していった。


「いかん! 皆離れるのじゃ! 巻き込まれるぞ!」


 ミミズさんの言葉を聞き、私達は魔海王から離れる。

 その間も魔海王は身体はどんどんと伸びていく。


「み、ミミズさん、これが……」

「うむ、これこそが魔海王の真の姿じゃ!」


 魔海王は体長は10メートルはある巨大な竜の姿へと変化した。

 その姿はヒレの着いた巨大な海蛇と言ってもいい姿であった。


 成程……ミミズさんがウミヘビと言っていたのも分かる。


 魔海王は口を大きく開くと、口の中に巨大な水の塊が現れ、そのまま魔竜王目掛けて撃ち出した!


『グオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』


 対して魔竜王は魔海王目掛けて火球を吐き出した!

 水の塊と火球がぶつかり合い、辺り一面に蒸気が発生する。


『この姿に戻ったからには容赦しないわよ……覚悟しなこの馬鹿兄貴ィ!』

『グオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!』



 ……ん? 馬鹿『兄貴』!?


「ミミズさん、いま魔海王が魔竜王の事兄貴って……」

「ん? ああ……あの時言えなかったが、魔海王と魔竜王は兄妹なのじゃ」

「……本当、なんでこう大事な事をちゃんと言わないんだよ……」


 私がミミズさんに呆れる中、魔竜王と魔海王による史上最大の兄妹喧嘩が始まった。








「第70回次回予告の道ー!」

「と言うわけで70回を迎えたこのコーナー!」

「魔海王と魔竜王が兄妹だったとは……」

「ふふん、驚いているようじゃのう」

「まぁミミズさんがちゃんと言っていればまだ驚きは少なかったと思うけどね」

「言い忘れて悪かったのう、さて早速じゃが次回予告を始めるかのう!」

「ドラン火山で始まった魔竜王と魔海王の兄妹喧嘩! 一体どうなってしまうのか? そして私達は魔竜王の暴走を止められるのか? それでは次回『魔竜王vs魔海王』!」

「「それでは、次回をお楽しみに!!」」


 ・注意、このコーナーは作者の思い付きで書いているので次回タイトルが変更される可能性があるのでご注意下さい。

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