第123話 魔竜王vs魔海王
『《魔海の水槍》!』
魔海王の周囲に水の塊が現れ、槍の形に変わっていく。
そして無数の水の槍が魔竜王目掛けて飛んで行く!
『グオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』
魔竜王は連続で火球を吐き、水の槍を撃ち消し、そのまま魔海王を攻撃する!
『《水の盾》!』
魔海王の前に巨大な水の壁が出現し、火炎を防いだ。
『グオオオオオオオオオオオオオオ!!!』
魔竜王は口を大きく開けると、先程の火炎よりも数倍大きい火球を吐き出した!
『《魔海の水砲》!』
魔海王は巨大な水の球を作り出し、巨大火球目掛けて放つ!
火球と水球がぶつかり合い、相殺され、辺り一面に蒸気が舞う。
『グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!』
魔竜王が咆哮する。
『シャアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』
それに対抗するように、魔海王も咆哮した。
「これが、魔王同士の戦い……何て迫力だ……」
私達は魔竜王と魔海王の戦いを離れた場所から見ていた。
「この程度で驚くでない、魔海王も魔竜王もまだ全力ではない、こんな戦いはあ奴らにとって遊びのようなものじゃ」
これでまだ全力じゃない……!?
あの二体が本気で戦えば、一体どうなってしまうのだろうか……
そう私が思っていると、魔竜王が動き出した。
『グオオオオオオオオオオ!』
魔竜王が翼を広げ飛翔、魔海王目掛けて突進し、巨大な爪で攻撃する!
『《水の盾》!』
魔海王の前に水の盾が出現し、攻撃を防いだ。
『《魔海の水柱》!』
地面から水が噴き出し、魔竜王の身体に直撃した!
『グオオオオオオオオオオ!?』
水の柱を喰らった魔竜王は態勢を崩し地面に倒れ、魔海王は倒れた魔竜王の身体に巻き付き、締め上げていく。
『グオオオ! グオオオオオオオオオオ!』
魔竜王は自身に巻き付いた魔海王を引き剥がそうと暴れている。
『フン、いくらアンタでもこの態勢から私を引き剥がすのは無理よ!』
魔海王は口を大きく開き、そのまま魔竜王の首筋に噛み付いた!
『グオオオオオオオオオオ!?』
『このまま絞め落としてやるわ!』
魔海王は一気に魔竜王の身体を締め上げていく。
『グ、グオオオオオオオオオオ!』
魔竜王は火炎を吐くが、自らの身体に巻き付いている魔海王に当てられない。
『これで終わりよ、観念なさい……!』
『グオオオオオオォォォ……』
魔竜王が苦しそうに呻いていた。
勝敗が決すると思ったその時、魔竜王の頭から紫色の電気が発生した!
『……! グオオオオオオオオオオ!!!』
『なっ!?』
突如魔竜王が叫び、両腕で魔海王を掴み、身体から引き剥がした!
『嘘でしょ!? 私を引き剥がすなんて……!?』
『グオオオオオオオオオオッ!!』
魔竜王は掴んだ魔海王をそのまま地面へと叩き付けた!
『ぐあああっ!?』
『グオオオオオオオオオオ!』
魔竜王は地面に叩き付けた魔海王に向けて火炎を吐いた!
『くぅぅぅぅ……! 熱いじゃ……ないのよ!』
『グゥオオッ!?』
魔海王は尻尾で魔竜王の顎を引っ叩いた!
『オオオ……』
魔海王の反撃を喰らった魔竜王は後ろに後退し、そのまま地面に音を立てて倒れた。
『ふぅっ……やっと大人しくなったわね……』
魔海王がそう呟いたその時、再び魔竜王の頭に紫色の電気が発生する。
『……グオオオオオオオオオオ!!』
すると魔竜王が目を開き、倒れた状態から魔海王に火炎を吐いた!
『っ!? 《水の盾》!』
魔海王は咄嗟に水の盾を出し、火炎を防いだ。
『グオオオオオオオオオオ!!!』
『しまっ……!?』
水の盾が消えた瞬間、魔竜王が魔海王に近づき、右腕の爪で攻撃!
魔海王は回避しようとしたが、左のヒレが切り裂かれた!
『ああああああああああああああああ!?』
魔海王が悲鳴を上げ、ヒレの一部が地面に落ちた。
『い、痛いじゃないのよ……この馬鹿兄貴がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』
『グオオオオ!?』
魔海王が魔竜王の首に噛み付き、そのまま魔竜王を持ちあげ、地面に叩き付けた!
『オ、オオオオオオオ……』
地面に叩き付けられた魔竜王は弱弱しい声を上げた。
『フン! さっきのお返しよ!』
今度こそ決着が着いたと思った瞬間、また魔竜王の頭から紫色の電気が発生する!
『……グオオオオオオオオオオ!』
魔竜王が目を開き、再び起き上がった!
『まだ起き上がるのね……良いわよ、いくらでもブッ倒してやるわよ、馬鹿兄貴ぃぃぃぃっ!!!』
『グオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!!』
魔竜王と魔海王が再び激突し、激しいせめぎ合いを行っている。
「あーあ、魔海王の奴に完璧にキレてるのう……」
「ミミズさん、今の電気って……」
「うむ、魔海王が言っていた、魔竜王の額に引っ付いた何かの仕業であろうな……」
やはりそうか……魔竜王が倒れた時に発生した電気……あの電気を発生させている何かが魔竜王を操っていると見て間違いないだろう。
でなければ、実の妹に攻撃するわけが無いはずだ。
「ミミズさん、魔海王に魔竜王の額を攻撃するように伝えよう!」
「いや、それは無理じゃろう……今の魔海王に儂らの言葉が通じるかのう……」
「と言う事は……私達が何とかして魔竜王の暴走を止めるしかないってことか」
「うむ、それしかあるまい! さぁ行くのじゃヤタイズナ! 儂はバノンと共に安全な場所に避難しておくからのう」
「分かった、スティンガー、ベル、レギオン達はミミズさん達を守っていてくれ、それとこいつの事も頼む」
(わかったー!)
(分かりました)
(了解であります!総員、行動開始であります!)
『ギチチチチチィィィィィィィ!!』
アント達にシルバードラゴンフライを預け、ミミズさんとバノンがスティンガー達に護衛されながら、後ろに避難する。
「よし! 皆行くぞ!」
(分かりました!)
(了解ですわ!)
(合点承知の助でさぁ!)
私達は魔竜王と魔海王の元へ一直線に飛ぶ!
魔海王と魔竜王はお互いの首に噛み付き合っている。
その隙に私は魔竜王に近づき、魔竜王の額を見ると、青色の小さい蜘蛛のようなものが見えた。
「アレが魔竜王を操っているモノの正体か……《炎の角》、《斬撃》!」
私は炎の斬撃を青蜘蛛目掛けて撃ち放つが、魔竜王が右手で額を塞ぎ、炎の斬撃から青蜘蛛を守った!
『グオオオオオオオオオオ!』
魔竜王が魔海王の首から口を離し、私目掛けて火炎を吐いた!
「くそっ! 《斬撃》、《操炎》!」
私は火炎を避け、操炎で斬撃を分裂させ、魔竜王の額を攻撃する!
『グオオオオオオオオオオ!』
『きゃあああああああああっ!?』
「何っ!?」
魔竜王は首に噛み付いている魔海王を無理矢理引き剥がし、私目掛けて投げつけてきた!
無数の斬撃は全て魔海王の身体に命中し、そのまま魔海王が私の方へ向かって飛んでくる!
「ちぃっ!」
私は飛んできた魔海王をギリギリ回避し、魔海王はそのまま地面に落下した。
(喰らいなさい、《花の鎌》!)
(《風の翅》! ええーい!)
カトレアとパピリオが花の鎌と風の翅で攻撃するが、魔竜王には効いていないようだ。
『グオオオオオオオオオオ!』
(危ないですわ!)
(きゃあああああああ!?)
パピリオとカトレアが火炎から逃げる。
(さっき手に入れた新しい力を見せてやるぜ! 《水鉄砲》!)
カヴキの口吻の先に大きな水の球が現れ、魔竜王の額目掛けて撃ち放たれた!
しかしまたも魔竜王が右手で額を覆い水鉄砲が防がれてしまう。
そしてカヴキ目掛けて火炎を吐いた!
(ちくしょうめェ!)
カヴキは何とか火炎を回避した。
くそっ、どの攻撃も決定打になりえどうすれば……
『痛ったぁぁぁぁぁぁ……あの馬鹿兄貴がぁ……』
地面に倒れていた魔海王が起き上がった。
「魔海王、聞いてくれ! 魔竜王の暴走を止めるには魔竜王の額の青い蜘蛛を何とかすれば……」
『もう許さない! 絶対にぶちのめして地べたに這いつくばらせてやるわ!』
駄目だ、聞く耳を持ってすらくれない、完全に魔竜王しか見えていないようだ。
私がそう考えていると魔海王が真上に口を開けた。
すると魔海王の真上に大量の水が集まり、超巨大な渦潮が作られた。
『この技で、アンタをぶっ潰す!』
魔竜王の額の青蜘蛛から紫色の電気が大量に発生する!
『グオオオオオオオオオオオオオオ!!!』
魔竜王が口を大きく開くと、超巨大火球が現れる!
こ、これはヤバい、急いで離れないと!
「皆、離れろぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
『喰らいなさい……《魔海の渦潮》!!』
魔海王が魔竜王目掛けて超巨大渦潮を放った!
『《魔竜の息吹》ィィィィィッ!!』
魔竜王も超巨大火球を魔海王に撃ち放つ!
超巨大渦潮と超巨大火球がぶつかり、混ざり合う。
そして一瞬の発光の後、大爆発が起きた!!
「うああああああああああああああ!?」
(きゃあああああああ!?)
(と、飛ばされますわぁぁっ!?)
(な、なんつう威力でい!?)
爆発によって生じた衝撃波によって、私達は吹き飛ばされた!
私は吹き飛ばされながらも地面にしがみつき、吹き飛ばされないように踏ん張った。
「ぬおおおおおおおお!? この衝撃……あ奴らあの技を使ったのかー!?」
「うおおおおおおおお!?」
(ふ、ふきとばされるー!?)
(凄い衝撃ですね……!)
(全員、吹き飛ばされないように掴まるであります!)
『ギチチチチチィィィィィィィ!!』
(す、凄いっす……!)
ミミズさん達も衝撃波に吹き飛ばされないように岩や地面にしがみついていた。
しばらく踏ん張り続けていると、衝撃波は収まり、辺りに土煙が舞う。
数十秒後、土煙が収まり、周りが見えるようになった。
『く、くぅぅぅぅぅぅ……!』
『グォォォォォォォ……!』
爆心地の近くにいた魔竜王と魔海王は地面に倒れ、うめき声を上げている。
どちらもダメージが大きいようで、身体を動かす事が出来ないようだ。
チャンスだ! 今なら額の青蜘蛛に攻撃できる!
私は翅を広げ、魔竜王目掛けて突進する!
「《炎の角》、《斬撃》、《操炎》!」
私は無数の炎の斬撃を魔竜王目掛けて撃ち放つ!
『グオオオオオオオオオオ!』
青蜘蛛が紫色の電気を再び発生させると、魔竜王が首を動かしこちらを向き、火炎を吐いて炎の斬撃をかき消した!
くそっ、なら直接、炎の角を喰らわせるまでだ!
私は魔竜王の額まで一直線に突き進む!
『グオオオオオオオオッ!』
魔竜王は私目掛けて連続で火球を吐いた!
私は無数の火球を避けながら、魔竜王の元に突き進み、遂に青蜘蛛の近くまでたどり着いた!
「《炎の角》ッ!!」
私は炎の角で青蜘蛛を真っ二つに焼き切った!
真っ二つになった青蜘蛛は魔竜王の額から外れ、地面に落下した。
『ぐ、グオオオオオオオオオオ……』
青蜘蛛が外れた魔竜王は気を失い、地面に倒れた。
「や、やったぞ……」
青蜘蛛を倒した私は、地面に着地し、安堵の息を吐いたその時、青蜘蛛が落下場所に亀裂が入った!
「! これは転移魔法!?」
真っ二つになった青蜘蛛は地面の亀裂に飲み込まれ、そのまま亀裂は閉じて消え去った。
やっぱり今回の事はブロストの企みだったか……しかし奴は何がしたかったんだ?
「おーい、ヤタイズナー!」
ミミズさん達が、私の元にやって来る。
とりあえず、奴の事は後にして、今はやらなければならない事をしよう。
私はミミズさん達の方に歩いて行った。
「第71回次回予告の道ー!」
「と言うわけで今回も始まったこのコーナー!」
「何とか魔竜王の暴走を止めることが出来たね……」
「うむ、一時はどうなる事かと思ったがのう……」
「さて次回は、正気に戻った魔竜王と話をするよ」
「うむ、あ奴は魔海王みたいに変わって無ければいいのじゃがな……」
「はははは……それでは次回『廃墟の謎』!」
「「それでは、次回をお楽しみに!!」」
・注意、このコーナーは作者の思い付きで書いているので次回タイトルが変更される可能性があるのでご注意下さい。
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