第124話 廃墟の謎Ⅰ

「ヤタイズナ、先程は見事じゃったぞ! 流石は儂の跡を継ぎ、魔王になっただけの事はあるわ!」

「ありがとうミミズさん、所で魔海王は大丈夫かな? 大分傷ついていたけど……」

「心配には及ばないわ」


背後から魔海王の声が聞こえ、振り返るとそこには……



「スーパー☆歌姫レヴィア・ターンにとって、あの程度のダメージなんてどうってことないのよ☆」


人間態で決めポーズを取っている魔海王が居た。


……何故か全裸で。


「あの……何で全裸何ですか?」


私は目を逸らしながら魔海王に質問した。


「服なら元に戻る時に破れてもう着れなくなっちゃったわよ、て言うかスカートが焦げた時点でもう着る気なくなったし、全く……新しい服をガーベラの所の仕立て屋に頼んで作って貰わないとね、……ところで何で私から目を逸らしてんのよ」

「え、いや、女性の裸を見るのは失礼だし……」


いくら元の姿がアレとは言え、今は人の姿をしている。


女性の裸体をじろじろ見るのは流石に失礼だ。


私がそう思っていると。


「何よ! 私の裸を見るのは嫌だって言うの?」

「え!? いやだから失礼かなと思って……」

「あんた何馬鹿な事言ってんの? この私、スーパー☆歌姫レヴィア・ターンは全ての者を魅了する至高の存在なのよ! そんなキュートでラブリーな私の裸体なんて滅多に見れない激レアなのよ! そんな私の裸体を見ないなんて私に対する侮辱よ! さぁ目を見開いてよーく見なさい! そして魂に刻み付けなさい! スーパー☆歌姫レヴィア・ターンの美しき姿を!」


魔海王はどや顔で決めポーズを取った。


「……ヤタイズナ、こ奴の事は放っておけ、今は魔竜王の事じゃろう」

「わ、分かったよミミズさん」

「あっちょっと待ちなさいよ!」


私達は気を失って倒れてい魔竜王の前に移動した。


「ベル、魔竜王を癒してやってくれ」

(分かりました、《癒しの鈴音》)


ベルの癒しの鈴音によって、魔竜王の身体を癒していく。





―数十分後、魔竜王の体の傷はほとんど消えた。


「ありがとうベル、しばらく休んでいてくれ」

(分かりました)

「これだけ回復させれば大丈夫じゃろう、おーい魔竜王ー!」

「……」


ミミズさんが魔竜王に呼びかけるが、反応が無い。


「おい魔竜王! 聞こえんのか!」

「ぐぅ~~~~……」


ミミズさんの呼びかけに対し、魔竜王は大きな寝息を立てた。


「ちっ、仕方ないのう……魔海王」

「ん? 何よ?」

「こやつを叩き起こしてくれんか?」

「仕っ方無いわねぇ……」


魔海王が魔竜王の頭までジャンプした。


「さっさと起きなさいこの馬鹿兄貴ぃっ!」


そのまま凄い勢いで魔竜王の頭をぶん殴った!


「……痛い……ふぁ~~……」


魔海王のげんこつが効いたらしく、魔竜王が目を開け、大きくあくびをした。


「やっと起きたわね馬鹿兄貴」

「ん~? あ~レヴィア~、久しぶり~元気だった~?」


魔竜王は魔海王を見るとにへらと笑って手を振った。


「久しぶりね馬鹿兄貴、あんたは相変わらずのほほんとしているわね」

「そう~? それにしても何でレヴィアがここに居るの?」

「それは儂が説明するぞ、久しぶりじゃな魔竜王、魔海王と違い変わってないようでなによりじゃ」

「ん~?」


魔竜王がミミズさんを凝視する。


「ひょっとして魔蟲王ー?」

「そうじゃ、まぁもう魔蟲王でないがのう」

「んー……どういう事?」

「うむ、話せば長くなるのじゃがのう、実は……」

「ぐぅぅぅー……」


ミミズさんが話そうとした瞬間、魔竜王が眠りについた。


「っておいこらぁ!? 何儂が話し始めた瞬間に眠りについとんじゃお主は!?」

「んー? だってぇ……魔蟲王の話ってつまらな過ぎるしよく分からないから、すぐ眠くなっちゃうんだよー」

「つまらんじゃとぉ!? と言うかまだ「実は……」しか言うとらんぞ!」

「ふぁ~、とりあえずもうひと眠りするから~……お休みー……」

「寝るなぁ! 儂の話を最後まで聴けぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」


ミミズさんはちょくちょく寝ようとする魔竜王を起こしながら、これまでの事を何とか最後まで話した。

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