第125話 廃墟の謎Ⅱ

「成程ー、じゃあこっちのが今の魔蟲王で……元魔蟲王はミミズさんって名前になったんだねー」

「そう言う事じゃ」

「それにしても、僕がレヴィヤと戦ったねー……そう言えばそんな夢を見ていたような……まぁあんまし憶えてないし、いいか」

「いいかって、お主のう……」


ミミズさんが魔竜王に呆れてため息を吐いた。


「それじゃあ新しい魔蟲王に自己紹介するねー……ふはははははははははははははー!」


魔竜王は気が抜けるような笑い声を出した。


「僕こそが世界を……えっと……そうだ! 怠惰へと導く者! 魔竜王ゴルド・ネールである!」


……今、えっとって言った? 


多分だけど、口上忘れてた? 


私がそう思っていると、ミミズさんが怒り出した。


「おい魔竜王、なに気の抜けるような声で口上を言っとるのじゃ! もう少し気迫を込めぬか! と言うかお主今さっき自分の口上を忘れていたな!」

「だ、だって~、人前で口上を言うなんて凄く久しぶりだったから~……」

「たとえそうだとしても、口上は魔王にとって大事なモノなのじゃぞ! それを忘れるなど言語道断じゃ!」

「うう~、魔蟲王は相変わらずうるさいな~」

「何じゃとぉ!」

「ミミズさん落ち着いて……ところで魔竜王、一つ聞きたいんですけど、奴らに襲撃されるような理由があったりはしませんか?」

「理由ー? う~ん……あ! そう言えばこの火口の隅っこに何か建物があったんだけど、ひょっとしてそれかもしれないねー」

「建物?」

「うん、あっちの方にあるから行ってみれば?」


私達は魔竜王の指した方へと移動した。


すると火口の隅の方に、半分ほど地面に埋もれている廃墟を発見した。


「何でこんな所に廃墟が?」

「儂に聞くでない、とにかく行ってみようではないか」


私達は廃墟まで移動し、廃墟の中へと入った。


「ミミズさん、人の足跡が……」

「おそらく奴らの者じゃろうな」


やはり魔人達の目的はこの廃墟にあったようだ。


「足跡はこの奥に続いておるのう」

「行ってみよう」


足跡を辿って通路を進んで行くと、広い部屋に出た。


「どうやらここで道は終わりみたいだね……ん?」


部屋を見渡していると、一番奥に台座があった。


近づいて確認すると、中心部に窪みがあった。


「ミミズさん、これってさ……」

「うむ、魔海王の壁画にあった窪みに似ているのう」

「やっぱりそう思う?」


この窪みの大きさ、前にアルトランド王国で見た魔海王の壁画にあった窪みに酷似しているのだ。


と言う事はここにはアルトランド王国の壁画にはめ込まれていた石と同じ物がここにはめ込まれていたと言う事だ。


「これってさ、あの壁画にはめ込まれていた石は一つだけじゃなく、同じ物が幾つもあるって事?」

「おそらくのう、しかし魔人共はなぜここに石があるのをしっていたのかのう……む? 何じゃこれ? 台座にボタンが……」


そう言ってミミズさんは台座にあるボタンに触れた。


その瞬間、ガコン、と言う音が鳴り、台座が下降し始めた。


「な、何だ!?」

「何じゃ!?」


私達が驚いていると、部屋の中央の床が開き、新たな台座が現れた。


その台座には、白く光る石がはめ込まれていた。

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