第126話 廃墟の謎Ⅲ

「み、ミミズさん、あれってもしかして……」

「うむ、恐らく奴らが狙っていた石じゃろうな……しかしどういう事じゃ? 石は奴らが持ち去ったのではないのか?」

「だよね……」


これはつまり……奴らが持ち去った物は偽物で、本物はここに隠されていた、と言う事なんだろう。


「……で、どうしようか? これ」

「どうするって……取るしかないじゃろう、ここに置いていたらまた奴らが来るかもしれんしのう」

「やっぱりそうだよね……よし」


石を取ることにした。



―バノンが。



「何で俺が取るんだよぉぉぉ!?」


私達は部屋の入り口に移動し、バノンを見守っている。


「仕方ないじゃろう、儂らじゃその窪みから石を取り出せんからのう」

「ヤタイズナか他の奴が台を壊して取ればいいだろ!?」

「罠が仕掛けられている可能性があるからね、無計画に壊すわけには行かないよ」

「石を取ったら作動する罠があったらどうすんだよ!?」

「安心しろ、その時は骨は拾ってやるわい」

「お前らなぁ……畜生、こうなったらやってやる!」


バノンは一気に台から石を取り出した!


……………


「ふう、どうやら罠は仕掛けてなかったみたいだね」

「そうじゃのう、ご苦労じゃったぞバノン」

「ほっ……冷や冷やしたぜ全く……」


バノンが戻って来て、私達に石を見せた。


「しかし不思議な石だね……何で光ってるんだろう?」

「さぁのう……しかし何じゃ、この石から微かに何か変な気を感じるような……」

「そう? ……私は何も感じないけど……」

「……まぁ良いか、バノンとりあえずこの石はお主が持っておけ」

「え゛、何で俺が……」

「お主なら懐に仕舞えるじゃろうが、儂らは服など来ていないからのう」

「確かにそうだね」


私達って人間で言えば全裸だからなぁ……


「たくっ……分かったよ、俺が持ってればいいんだろ?」


そう言ってバノンは石を懐に仕舞った。


「よし、それじゃあ魔竜王達の元に戻ろうか」


私達は廃墟から出て、魔竜王達の元へと向かった。






「絶対言わないわよこの馬鹿兄貴!」


魔竜王達の元に戻ると、魔海王が声を荒げて怒っていた。


「いいじゃんか~、昔みたいにお兄ちゃんって呼んでよ~」

「何千年経ってると思ってんのよ! どんなに言われようと絶対にそんな呼び方しないからね!」

「も~レヴィアは頑固だな~……あ! おかえりー、どうだったー?」

「はい、廃墟に行ったら奴らが捜している物がありました……と言うか魔海王、昔は魔竜王の事をお兄ちゃんて呼んでたんですね」

「うん~昔は素直な子だったんだよ~」

「それ以上昔の事を喋ったら、ぶち殺すわよ馬鹿兄貴!」


魔海王が殺気全開で魔竜王を睨んだ。


「分かったよ~……それでその魔人達が探していた物ってどんな物~? 見せて見せて~♪」


魔竜王が見せて欲しいと言ったので、バノンが懐から石を取り出して、魔竜王達に見せた。


「へ~綺麗な石だね~」

「あら? これ私が海の廃墟から見つけた石と同じ形ね?」

「やっぱりですか……」


魔海王が見つけた石と同じ……しかも場所は廃墟。


魔獣王の棲み処も廃墟だったな……


石のある場所は廃墟、しかも必ず六大魔王が何かしら関係している……


これは偶然か? それとも……


「どうしたヤタイズナ、考え事か?」

「ああ、ちょっとね……」


まぁ今はまだよく分からないし、この件はまた今度考えよう。


私がそう思っていると、ミミズさんが魔竜王に話しかけた。


「さて、魔竜王よ一応聞いておくのじゃが……」

「んー? なに~?」

「魔鳥王と魔植王、どちらかの居場所を知ってたりするか?」

「んー知らないなぁ~、僕はずっとここで寝てたからね~」

「やはりか……」


魔竜王の答えにミミズさんがため息を吐いた。


「残り二体の魔王の場所は分からないみたいだね、ミミズさん」

「うむ……まぁあまり期待はしとらんかったがな……」

「取りあえず今日はもう疲れたし、今日はもう休んで明日山を下りようよミミズさん」

「そうじゃな……」

「ここに泊まって行くの~!? じゃあさじゃあさ、新しい魔蟲王達がどんな旅をしてきたか話してくれない~?」

「え? まぁ良いですけど……」

「やった~僕人の話を聞くのとか好きなんだ~」

「おいちょっと待て魔竜王! 人の話を聞くのが好きじゃとぉ!? だったらなぜ儂の話の時はすぐ眠ろうとしたのじゃ!」

「え~だってミミズさんの話って面白くないんだもん~」

「何じゃとこらぁ!」

「その気持ちは分かります」

「ヤタイズナぁ!? お主まで何を言うのじゃ! 儂本気で泣くぞ!?」


こうして、私達は魔竜王に旅の話をしながら、夜が更けて行った。














「第72回次回予告の道ー!」

「と言うわけで始まったこのコーナー!」

「魔竜王だよー、今回は僕が次回予告をするね~……ぐぅぅぅぅ……」

「っておい待たんかぁ! 何寝とるんじゃ魔竜王!」

「ん~……だって眠いし~……」

「このコーナーを乗っ取ろうとするならせめてちゃんと予告ぐらいはせんか!」

「んーっと……次回は……えっと~……ぐぅぅぅぅ……」

「だから寝るなと言うとるじゃろうがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

「何やってるんだか……それでは次回『故郷への帰路』! お楽しみに!」


・注意、このコーナーは作者の思い付きで書いているので次回タイトルが変更される可能性があるのでご注意下さい。

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