第121話 暴竜警報Ⅰ

火口へと向かって進んでいたミミズさん達は突如火口から現れた魔竜王を見て驚いていた。


(なにあれー!?)

(お、大きい竜ですー!?)

「あれは魔竜王じゃ!」

「あ、あれが竜神……いや、魔竜王なのか……」


ミミズさん達だけではなく、魔人達も突然の事に驚きを隠せなかった。


「ま、魔竜王が!?」

「そんな馬鹿な、奴は我々が捕らえていたはずだぞ!」

「もしやゼキア様に何かあったのでは……」


その時であった。


「ん? お、おい! こっちに何か来るぞ!!」


バノンが上を指差した。


ミミズさん達が上を見ると、こちらに向かって巨大な水の塊が降って来ていた。


「な、何じゃあれは!?」

「分からねぇけど、とりあえず逃げた方が良さそうだ!」


ミミズさん達は振って来る巨大な水の塊の落下予想地点から退避する!


その数秒後、巨大な水の塊は地面に落下、地面に小規模のクレーターを作った。


そのクレーターの中心には六色魔将、白のゼキアの姿があった。


「ぐぅぅ……あの女……」

「ゼキア様! 大丈夫ですか!?」

「問題ない……今の状況はどうなって……」


『グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!』


魔竜王の叫びを聴き、ゼキアは火口付近を見た。


「魔竜王の鎖が外れているだと!? ……まさかあの女が鎖を破壊したと言うのか!?」


ゼキアの言葉にミミズさんが反応した。


「女……? ……そうか魔海王の奴め……」


大体の事を察したミミズさんはため息を吐いた。


「ゼキア様、どうなさいますか?」

「……魔竜王が我々を狙えば全滅は避けられん……目的のモノは手に入れた、全員撤退するぞ!」

「了解しました!」


ゼキアの言葉を聞き、魔人達が逃げて行く。


「……従魔使いよ、次こそ貴様たちを倒してくれる……!」


そう言い残し、ゼキアは逃げて行った。


「あいつ等、逃げて行くみたいだけど、どうする?」

「放っておけ、今は魔竜王じゃ!」


ミミズさんは魔竜王を見る。


『グオオオオオオオオオオオオオ!!!』


魔竜王は暴れ出し、口から火炎を吐きまくっている。


「……あの暴れ方、尋常ではないのう……あ奴の身に何か異変が生じたのか……?」

















―私は空を飛び、ミミズさん他の元へと向かっていた。


(おい、あれお前の仲間達じゃないっすか?)


前を見ると、火口に向けて進んでいるミミズさん達を発見した。


「ミミズさーん!」

「ヤタイズナ! やっと来たか! ……ん? 何故そいつを抱えているのじゃ?」

「こいつは今日から私のしもべになったんだ」

「はぁ!? なぜそうなったんじゃ!?」

「その話は後でするよ、ベル、こいつを治療してくれ」

(分かりました、《癒しの鈴音》)


ベルの癒しの鈴音によって、シルバードラゴンフライの傷と翅が徐々に治っていく。


「それでミミズさん、何で魔竜王は突然現れたの?」

「うむ、どうやら魔海王の奴が魔竜王を助けたみたいなのじゃが……魔竜王の奴、正気を失っているようなのじゃ」

「正気を? 何故?」

「そこまでは分からん、ともかく今は一刻も早く火口に行き、魔海王と合流するのが良いじゃろう」

「そうだね……よし皆、行くぞ!」


ミミズさんと合流した私達は、魔竜王の居る火口に向けて移動し始めた。

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