第173話 大樹海の守り神Ⅳ
「人間の国の王子じゃと……」
「それって、ミミズさんが友好関係を築いていた人間達を滅ぼしたってこと!? 一体どうして!」
「それは分からん、あの時魔王様は坊主と一緒に人間の国に行ってて自分は大樹海で留守番してて、後で魔王様が人間の国を滅ぼしたことを知ったんや……」
「儂が人間と仲良くじゃと? ……駄目じゃ、やはり思い出せん……」
「ミミズさん……」
ゴールデンもミミズさんに何があったのか分からないとなると、やはり当初の目的通り魔植王に会って力を借り、魔鳥王にミミズさんの過去を見せてもらわなければ……
「それで、魔植王の居場所は何処なのですか?」
「魔鳥王!? いつの間に……」
いつの間にか魔鳥王たちが私達の後ろに来ていた。
「魔植王様はこの大樹海の北の森の中央におられるわ」
「北の森……最初の予想で合っていたか……」
「では早速準備をしましょう、ゴールデン、案内をお願いしますよ」
「任せといてや! そうと決まればあいつも起こさんとな」
下に降りようとした私達は、ゴールデンの言葉で動きを止めた。
「あいつ? あいつって……お前以外にも居るのか!?」
「そう言えば確かに『自分達』って言ってたね……ひょっとしてそいつもミミズさんのしもべ?」
「ああそうやで、ゴリアテって言う奴や」
「ゴリアテじゃと!? あいつも生きておったのか! 何処じゃ何処におるんじゃ!」
「落ち着いてや魔王様、ゴリアテなら下で寝てますって」
「ならさっさと下に直行じゃ! 行くぞヤタイズナ!」
そう言うとミミズさんは物凄い速さで巣穴から飛び出した!
「ちょ、ちょっと待ってミミズさん! ここが凄い高いところにあるって忘れて……」
「ぬおおおおおおおおおおおおおおおお!? 忘れとったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ………」
「ミミズさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!?」
私の注意虚しく、ミミズさんははるか下へと落ちて行った。
―十分後。
私達は巨大樹の真下に戻って来た。
(ごしゅじんおかえりー♪ あれー? そのきんぴかはだれー?)
「こいつはゴールデン、ミミズさんのしもべだよ」
「ゴールデンや、よろしく」
(へー、ぼくスティンガー! よろしくねー)
「ところで、さっきミミズさんがすごい勢いで落ちてきたんだが……何かあったのか?」
「色々とね……でミミズさんは?」
「あそこに……」
バノンが指さした場所を見ると、頭から地面に突き刺さったミミズさんの姿があった。
「あははははは! 魔王様めっちゃ面白いことになっとる! 笑えるわー!」
「君ミミズさんの心配全くしないね……」
「むぐぐぐぐぐ……ぷはぁー!」
地面に突き刺さっていたミミズさんが動き出し、地面に突き刺さっていた頭部が出てきた。
「大丈夫ミミズさん?」
「ああ、全くひどい目にあったわ……それでゴールデン、ゴリアテは何処に居るのじゃ?」
「はい、この辺りで寝てるんで起こしてきますわ」
そう言うとゴールデンは地面を掘り始め、地中へと潜って行った。
それから待つこと数分。
「……遅いね」
「どんだけ深いところで寝とるんじゃあ奴は……」
しかしゴリアテってどんな虫かな?
ゴールデンは結構そのままな名前だったし、ゴリアテもそのままな感じかな……ゴリアテ……確か旧約聖書に出てくる巨人兵士の名前だったよな……確かゴライアスとも言ったはず……
私がそう考えていると、地面が大きく揺れ始めた!
「な、何だこの揺れは!?」
(じしんだー!)
「いや、この揺れは……!」
私達が驚く中、地面がひび割れ、割れ目から巨大昆虫が姿を現した!
体長は3メートル、頭部の短い角、白黒の模様……間違いない! こいつは!
「ゴライアスオオツノハナムグリだぁっ!」
ゴライアスオオツノハナムグリは昆虫綱甲虫目コガネムシ科に属する、アフリカ大陸に生息している大型のハナムグリだ。
大型の個体で体長100mmを越え、体高体幅も大きく大型のカブトムシの少ないアフリカでは最も大きいコガネムシで、世界一重い昆虫として有名だ。
オスは頭部に短い角を持ち、角は先が黒くなって2本に分かれていて、脚は特に前脚が太く長く力も強い。ゴライアスは基本的に前胸背板には白地に黒色の模様が左右3対あり、後翅は白色に黒の模様があり、これらの模様は種によって僅かずつ異なり、同一種でもオスとメスでは模様が違う事で知られている。
そしてゴライアスはその巨体に似合わぬ速度と機敏さで飛ぶことが出来る、しかもハナムグリ亜科特有の鞘翅を広げない飛び方をするので、飛び立つ際にも僅かな時間しか要しないのだ。
前胸背板後縁は鋭いナイフのように発達し、前胸・中胸間の関節に力を入れることで、このナイフと上翅前端の間に物を挟み切断することができるのだ。
これは、天敵である各種のサルや鳥類への防衛手段と考えられ、コーカサスオオカブト等にもこの防衛手段が見られる。
私としたことが……ゴリアテと聞いてすぐにゴライアスオオツノハナムグリの事を思いつかなかったなんて……
私はゴライアスオオツノハナムグリに鑑定を使い、ステータスを確認した。
ステータス
名前:ゴリアテ
種族:キングゴライアス
レベル:120/150
ランク:A
称号:魔王のしもべ
属性:地
エクストラスキル:岩の槍
ユニークスキル:巨人の重撃
ゴールデンと同じAランクか……しかしなんて立派なゴライアスだ……しかもあの背中の美しい白と黒のコントラスト……間違いなくオオサマゴライアスだ。
「ゴリアテ! 久しぶりじゃな、生きていてくれて嬉しいぞ!」
「魔王様……本当に魔王様なのか?」
「当り前じゃ! 儂以外の誰じゃと言うのじゃ」
「魔王様……お会いしとうございました……」
ゴリアテがミミズさんに向かって頭を下げた。
「ずっと、ずっと再び魔王様に会える日を待っておりました……」
「ゴリアテ、お主と言う奴は……」
ミミズさんがとても嬉しそうに身体をくねらせた。
その後遅れてゴールデンがゴリアテが出てきた亀裂から出てきた。
「よし、これで巨大樹での探索は終わった、準備が出来次第北の森に出発だ!」
こうしてミミズさんのゴールデンとゴリアテとの再会を終えた私達は、準備のため一旦南の森の巣に帰ることにした。
「第90回次回予告の道ー!」
「と言うわけで今回も始まったこのコーナー!」
「プラチナコガネにゴライアスオオツノハナムグリとどちらも綺麗な昆虫が登場したね」
「うむ、あ奴らが生きていてくれて本当に良かったわ……」
「ミミズさんが嬉しそうで何よりだよ、それでは次回予告を始めるよ!」
「魔植王の居場所を知った私達はゴールデン達の案内で魔植王の元に向かう、しかしその道中は一筋縄には行かないようだ」
「儂らに待ち受けるモノとは一体何なのか? それでは次回『北の森』!」
『『それでは、次回をお楽しみに!!』』
・注意、このコーナーは作者の思い付きで書いているので、次回タイトルが変更される可能性があるのでご注意下さい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます