第172話 大樹海の守り神Ⅲ
「ミミズさんのしもべ!? こいつが!?」
私はプラチナコガネに鑑定を使い、ステータスを確認した。
ステータス
名前:ゴールデン
種族:プラチナムコガネ
レベル:100/150
ランク:A
称号:魔王のしもべ
属性:地
エクストラスキル:閃光
ユニークスキル:全属性完全反射
本当だ、魔王のしもべの称号がある。でも何でこんな所に居るんだ?
「自分の名前知っとるってことはやっぱり魔王様や~! お久しぶりですー」
「お久しぶりですーでは無いわ! お前死んだはずじゃろうが、それが何でこんな所に居るんじゃ! 説明せんか!」
「落ち着いてくださいよ魔王様、自分にも色々とあったんですわ……しかしまた魔王様に会えるとは……あの方の言う通りここで待っといて良かったわー」
「あの方じゃと? 誰じゃそいつは」
「はい、実は自分今は魔植王様にお世話になってるんですわ」
「魔植王!?」
「何ィィィィィィィィィッ!?」
プラチナコガネ……ゴールデンの言葉を聞いて驚く私とミミズさん。
ミミズさんがゴールデンに詰め寄る。
「儂のしもべ辞めて魔植王のしもべになったというのか! お前をそんな薄情なしもべに育てた覚えはないぞこの~……」
「そ、そう言う事ではないんですって! 魔植王様には世話になっているだけで、今でも魔王様のしもべですよ~……」
「言い訳など聞きたくないわ!」
「落ち着いてよミミズさん、こいつの話も聞いてやりなよ!」
「お前は黙っていろヤタイズナ! 大体お前はいつも勝手な事ばかり……」
―数分後、ようやくミミズさんが落ち着いた。
「すまんかったのう、少し混乱してしまってのう」
「別に良いですって、むしろ久しぶりに騒ぐ魔王様を見れて嬉しかったわ~……本当、また会えて嬉しいですわ……」
「……儂もまたお前の顔が見れて嬉しいぞゴールデン」
ミミズさんが声色がいつになく優しく嬉しそうだ。
死んだと思っていたしもべが生きていたんだ、これほど嬉しいことは無いだろう。
「ところで魔王様、隣の奴は一体誰なんです?」
「ん? ああこやつは儂の後継者のヤタイズナじゃ」
「後継者? どういう事っすか?」
「うむ、儂も色々あってのう……」
ミミズさんはゴールデンに私が魔王になった事、そしてこれまでの経緯を話した。
「成程そうやったんですかー……魔王様名前変わったんですかー……」
「うむ、不本意ではあるがな……」
「そうですかー……ミミズさんですかー……………ぶふっ!」
「おいこら今笑ったじゃろお前、儂の名前聞いて笑いよったな!」
「いやだってあの魔王様がそんな変な名前になるなんて……ハハハハハハハハ! 駄目や可笑し過ぎて笑いが止まりませんわ!」
「笑うの止めろつってんじゃろうがぁっ!」
「ミミズさん、落ち着きなって」
「うるさい! 大体元はと言えばお主のせいでこんな名前に……!」
「ハハハ……いやー久しぶりに大笑いしたわー……であんさんが今の魔王っちゅーわけやな」
「ああ、改めてよろしく」
「よろしくな、まぁお互い同じ親から生まれた兄弟同士仲よくしようや」
「そうか、私もミミズさんに生み出されたわけだから、兄弟みたいなモノなのか……」
「そうそう、自分の事は兄さんと思ってくれや」
「全くお前は……儂はスキルでお前たちを生み出しただけで、血のつながりとかは無いんじゃぞ?」
「良いやないですか、自分にとってはこいつは魔王様が生んだ末の子なんですよ」
「全く……まぁ良い、そろそろ本題に移るかのう……ゴールデンよ、なぜこんな場所に居る? あの戦いで何があったんじゃ」
「……」
ミミズさんの言葉を聞いて、ゴールデンが天井を見上げた。
「……自分らと人間たちとの戦いの時、自分は仲間たちと一緒に勇者の一人と戦ってたんですわ」
「勇者と……」
「その勇者は残忍な奴でしたわ……奴は笑いながら自分の仲間たちを惨殺していき、自分も脚をもがれ、最後は串刺しにされて殺されたんですわ……」
「そうじゃったのか……」
ミミズさんはゴールデンの話を聞いて、その勇者への怒りを露わにしていた。
「自分は確かに殺された……はずだったのに、気が付いたらもがれた手足は元通りになっていて、串刺しにされた身体も綺麗になってたんです、そんで自分の前に魔植王様が現れたんです」
「魔植王がゴールデンを助けてくれたんだね」
「あ奴め……味な真似をするではないか」
「魔植王様に助けられた自分はその後、魔植王様に言われたんですわ『いつか必ずここにやって来る、それまでこの巨大樹で待ち、時が来たとき私の居場所を教えなさい』と」
「成程……」
「誰が来るのか分からなかったけど、自分達は魔植王様に助けられた恩を返すためにずっとずっとここで待ってたんです、そのやって来る奴を……それが魔王様やったからとても嬉しかったですわ!」
「全く、お前と言う奴は……」
「と言う事は、バノンが言っていた中央の巨大樹の『守り神』って言うのは……ゴールデンのことだったのか?」
「まぁ状況的にはそう言うことになるのう、儂の予想が外れてしまったのは悔しいがのう……」
「しかし魔王様が何者かに記憶を改竄されていたとは……おかしいなとは思っとったんですわ、魔王様があの坊主の国を……」
「む? 坊主じゃと? 誰じゃそれ」
「……やっぱり、憶えてないんですね……」
ミミズさんの反応を見て、ゴールデンが俯いた。
「教えるのじゃゴールデン! 坊主とは誰の事なのじゃ!」
「……坊主っちゅーのは魔王様が仲良うしとった人間の国の王子の事です」
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