第133話 東と南を統べし者Ⅰ

《条件を達成しました。 スキル回復速度上昇レベル1が回復速度上昇レベル2になりました。》


「……う、ううん、ここは……私の部屋か……」


頭に声が響き、目を覚ました私は辺りを見渡した。


「おお! ヤタイズナが目覚めたぜ!」

「皆! 殿が目覚めたで御座るよー!」


ガタクが大声で私が目覚めた事を知らせると、地響きが起きる。


な、何だ!?


私が驚いていると、私の部屋にしもべ達が慌ただしく入って来た。


(ごしゅじんおはよ~♪)

(ご主人様、おはようございますー♪)

(主殿…あの東の森王との戦い…このソイヤー感動しました!)

(俺、ご主人凄かった、言う)

(御主人様、とっても素敵でしたわ♪)

(ご主人の勝利と目覚めを祝して、このベル、一曲歌います)

(あのデカブツを倒すなんてさすがでさぁ!)

(主様! このティーガー、主様のために新鮮な肉団子を用意しました! どうぞお食べくださいませ!)

(我ら一同、魔王様の目覚められるのをずっと待っていたであります!)

『『『ギチチチチチィィィィィィィィィィィィ!』』』

「お前達……」


皆が私の目覚めを喜んでくれている。


嬉しい、嬉しいけど……凄い苦しいんだけど……


私の部屋にしもべ達全員が入って来たことで、部屋は虫一色となっている。


いくら私の部屋が広いと言っても限度がある。


私の部屋はしもべ達ですし詰め状態になり、さらに室内温度が徐々に上がって行き部屋はサウナのようになっている。


「おいお主達! ヤタイズナが目覚めて嬉しいのは分かるが一気に入り過ぎじゃ! 熱くてたまらんわ! ヤタイズナも何か言わんか!」

「あ、うん、皆悪いけど一旦部屋から出てくれないか?」

(え~……わかったー……)


スティンガーが部屋から出ていく。


(ご主人様の命令なら仕方ないですー……)

(主殿、また後で来ます)

(俺、部屋を出る、言う)


それに続いて他のしもべ達も部屋から出ていった。


「まったく……あ奴らは本当騒がしいのう……」

「ははは……おはようミミズさん、私はどれぐらい寝てたの?」

「うむ、今回は6日で起きたぞ、奴との戦いで相当ダメージを喰らっていたと言うのに、大した回復力じゃ」

「そうか……それで私の眠っている間に問題は無かった?」

「いや、特に問題は無かったが……」



ミミズさんに話を聞こうとした時、ガタクが大慌てで私の部屋に入って来た。


「殿、非常食殿、大変であります!」

「どうしたガタク、そんなに慌てて……」

「巣の外に東の森の魔物達が集まっているで御座る!」

「何だって!?」


東の森の魔物達って……東の森王の手下たちか? まさか東の森王の仇討ちをしに来たのか!?


「ガタク、皆に戦闘準備をさせておくんだ!」

「分かったで御座る!」


私は自室から出て、急いで巣の出入り口へと向かった。


「……っ!」


巣の外に出ると、何十匹ものキラーマンティス達が巣の出入り口を取り囲んでいた。


「ようやく出てきたか」


こ、この声は……まさか!


声が聞こえた方角に視線を向けると、キラーマンティス達の後ろからこちらに歩いてくる魔物の姿が。


「クハハハハハハ、傷は癒えたようだな、ヤタイズナよ」

「ひ、東の森王!?」


そう、その魔物は私と激戦を繰り広げ、私が倒したはずの東の森王だった。

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