第134話 東と南を統べし者Ⅱ
「ど、どうしてお前が……しかもその両前脚は!?」
そう、私との戦いで失ったはずの両前脚が再生しているのだ。
「あの戦いの後、我の手下達が倒れていた我を棲み処まで運んでくれてな、それで飯を食って寝たら生えたぞ?」
「そ、そんな滅茶苦茶な……」
何と言う再生力……本当によくこいつに勝てたな私……
「そ、それで東の森王、一体何のようだ?」
「その呼び方は止めろ、我はもう東の森王ではない」
「え?」
東の森王じゃない? それは一体どういう……あ。
そう言えば意識を失う前に頭に響いた言葉があった。
東の森王を獲得したって……
私は自らを鑑定し、ステータスを確認した。
ステータス
名前:ヤタイズナ
種族:イグニスビートル
レベル:105/150
ランク:A
称号:中級者魔王、昆虫の召喚師、南の森王、東の森王
属性:虫
スキル:上位鑑定、風属性耐性レベル3、超突進、角攻撃、酸耐性レベル3、火属性耐性レベル2、回復速度上昇レベル2、斬撃、穴堀の玄人
エクストラスキル:炎の心、炎の角、操炎、炎の角・槍、炎の角・鎧、昆虫の重鎧
ユニークスキル:昆虫召喚レベル1
やっぱりだ、私に東の森王の称号がある。
「我が敗北を認めた事により、東の森王の称号はお前に移った……今のお前は東と南、二つの森を統べし者なのだ」
「何と! それは本当かヤタイズナ!」
「ミミズさん」
いつの間にか私の隣にミミズさんがいた。
「どうなんじゃヤタイズナ!」
「う、うん、どうやら私は東と南の森王になったみたいだ」
「おお! そうか遂に東の森を支配下に置いたのか! うむうむ、順調に魔王として成長しておるのう……儂は嬉しいぞ! これからも立派な魔王になるために精進するのだぞ!」
「うん、分かったよミミズさん、……それで東の森王……じゃなかった、ディアボリカ・マンティス、お前は一体何しにここに来たんだ?」
「ふっ、決まっているだろう、新たな主に挨拶に来たのだ」
「新たな……主?」
私がディアボリカ・マンティスの言葉の意味を理解する前に、ディアボリカ・マンティスが私に頭を下げた。
「我が新たなる主ヤタイズナよ、今より我と我が手下達はお前の配下となる事をここに誓おう」
その言葉に続くように、キラーマンティス達が私に頭を下げた。
「……え? ええっ!?」
突然の事に私は驚きの声を上げた。
「何を驚いている、お前は我に勝ったのだぞ? 負けた者が勝者に従うのは当然だろう」
「いや、でもそんな急に言われてもな……」
「何を戸惑っているのじゃ、配下が増えるのは良きことではないか」
「ミミズさん、いやそうだけど急すぎるよ……」
「まぁ今回は配下になる挨拶をしに来ただけだ、我は棲み処に戻るとする」
そう言うとディアボリカ・マンティスは私に背を向け、東の森の方へ帰って行く。
「ああそれと、名前を与えてくれるのであればなるべく可愛らしい名前にしてくれたら嬉しいぞ、我も一応雌であるからな」
ああ……腹部の形とかで大体分かっていたけど、やっぱり雌なんだあいつ。
「……あ、待ってくれディアボリカ・マンティス!」
「何だ?」
「そもそも何で急に私に勝負を挑んできたんだ? 何か理由があるのか?」
私がそう聞くとディアボリカ・マンティスが歩みを止めた。
「西の森王が殺されたのだ」
「え!?」
西の森王とは以前ディアボリカ・マンティスと戦っていたあのルブロンオオツチグモの事だ。
その西の森王が殺された!?
「我との決着を着けずに死ぬなど愚かな奴だ全く……」
そう喋っているディアボリカ・マンティスの口調は苛立ちと寂しさ半分半分と言った感じだ。
「それで戦う者が居なくなって退屈していてたからな、そろそろお前がいい具合に成長している頃だろうと思い戦いを挑んだのだ、その結果我を倒すほどに成長していたがな、クハハハハ」
ディアボリカ・マンティスは嬉しそうに笑っていた。
……ようするに戦う相手が居なくなったので、私を相手にあてがったと……
本当に戦いが好きなんだなぁ……って今気になっているのはそこじゃなくて!
「その西の森王を倒し、新しい森王になった魔物はどんな奴なんだ?」
そいつは前の西の森王とは違い南の森に現れる可能性がある。
今の内に情報を集めておきたい。
「我は直接見たわけではないが……手下たちの話では西の森王を倒したのは巨大なセンチピード種のようだ」
「巨大なセンチピード種!?」
そ、それってまさか……
「ヤタイズナよ、まさかあやつが……」
「あいつが……クルーザーが新たな西の森王!?」
「第75回次回予告の道ー!」
「と言うわけで始まったこのコーナー!」
「新しいしもべは元東の森王のディアボリカ・マンティスとその手下達だったね、新しい魔物が誕生するわけじゃなかったんだねミミズさん」
「うむ、儂は一度も新しいしもべが生まれるとは言ってないからのう、ヤタイズナが勘違いしただけじゃ」
「そんな風に言わなくても良いじゃないか……」
「そんな事よりも、早速次回予告を始めるぞ!」
「私達は残りの六大魔王の情報を集めるために、久しぶりにアメリア王国に向かうよ」
「本当久しぶりじゃのう……何かいい情報があると言いが……」
「それじゃあ次回、『再び王国へ』!」
『それでは、次回をお楽しみに!』
・注意、このコーナーは作者の思い付きで書いているので次回タイトルが変更される可能性があるのでご注意下さい。
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