第135話 再び王国へⅠ
「いやー、ここに来るのは本当に久しぶりだねミミズさん」
「そうじゃのう、結構色々な所に行ってたからのう」
私達はアメリア王国の城門近くに居る。
「それでは早速情報を集めに行くかのう」
「そうだね、それじゃあいつも通り頼んだよバノン」
「ああ、任せとけ」
何故、私達がアメリア王国に来ているのか、それは今から三日前に遡る。
―三日前。
エンプーサとの死闘から二日程が経過し、私は自室でミミズさんと相談をしていた。
ちなみにエンプーサとは私がディアボリカ・マンティスに付けた名で、雌蟷螂の意味がある名前だ。
『中々良い名前ではないか、それに可愛らしい』とエンプーサからも好評だった。
「それにしても、まさかクルーザーが西の森王になっていたとはね……」
「うむ……生きているのは分かっていたのじゃが、まさかあの西の森王を倒すほどに成長していたとはのう……」
「うん、でもクルーザーの奴、今どこに居るんだろう……?」
エンプーサの話によると、西の森王になったクルーザーはその後姿を消したと言う。
手下達を西の森に送り、調査をしたが行方を掴むことは出来なかったそうだ。
「奴がこの巣を襲ってくる可能性もあるからのう……用心して損は無かろう」
「そうだね……そう言えばエンプーサとの戦いで改めて理解したんだけど、戦いに勝っただと敵はまだ生きているんだね」
「ん? ああそうじゃ、敵が完全に死亡した場合は倒した、敵が逃げた場合は撃退、敵が生きている状態で戦闘不能になった場合は戦いに勝ったとなるのじゃ」
「成程……」
確か前にクルーザーとの戦いの時はたしか撃退だったな……つまりあれは奴が逃げたって事か……でエンプーサの場合は生きている状態で戦闘不能になったから戦いに勝ったと言う事なのか……
「それでヤタイズナよ、お主は今後どうする気じゃ?」
「うん…クルーザーの事も気になるけど……今は残りの六大魔王の行方を捜す事に専念しようと思うんだ」
「うむ、その意見には儂も賛成じゃ」
「それにしても……奴らが狙っているあの石は本当に何なんだろうね?」
私達がドラン火山にある廃墟で手に入れた光る石。
この石の事は未だに何も分かっていない。
「うむ……そうじゃ! あ奴なら何か分かるかもしれんぞ!」
「あ奴? ひょっとして残りの六大魔王の事?」
「そうじゃ、未来と過去を視ることが出来る六大魔王……魔鳥王じゃ」
「魔鳥王……」
「あ奴の力を使えば、石の過去を視ることが出来るはず、そうすればあの石が何なのかが分かるはずじゃ」
「それじゃあ、次に探すのは魔鳥王で決まりだね」
「うむ! では早速情報収集に向かう準備をするかのう!」
―と言うわけで、私達は魔鳥王に関する情報集めるために、アメリア王国に向かったのだ。
今回のメンバーは私とミミズさん、バノン、スティンガー、パピリオ、カトレア、カヴキだ。
私達が城門前に来ると、一人の門兵がやって来た。
「バノンさーん!」
あれは確かゴルトとか言う門兵だな。
「ゴルトさん、お久しぶりです」
「本当にお久しぶりです! 聞きましたよ! やっぱりバノンさんは凄いですね!」
「聞いたって、何がですか?」
「アルトランド王国を襲った魔物達を勇者と共に倒し、国を救ったと! 流石は『救国の従魔使い』ですね!」
「あ、ああ、あの時の事ですか……」
「本当にバノンさんは凄いですね! 俺本当に尊敬します!」
ゴルトは目を輝かせてバノンに詰め寄る。
「あ、あのゴルトさん私王国の中に入りたいんですけど……」
「ハッ!? も、申し訳ありません! では身分証を……」
バノンはゴルトに身分証を見せる。
「はい、ではお通り下さい」
ゴルトの許可を得て、私達は王国に入った。
「ふう……しかしまた有名になっちまったみたいだな……ガラじゃねぇんだけどな……」
「ははは、この調子だといつも通り中でも人に見られまくるんだろうね」
「それはそうと、まずは何処に行くのじゃ?」
「とりあえずウィズの家を訪ねてみようか」
私達はウィズの家へと向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます