第136話 再び王国へⅡ

「見ろよ、『救国の従魔使い』だ」

「本当だ! バノンさんだ!」

「へぇ……あれがこの国を救い、勇者と共にアルトランド王国を魔物達から守ったって言う……」

「ああ、勇者と並ぶ英雄だよ」

「連れている従魔達も強そうな見た目の奴ばかりだぜ」

「憧れるな……」


ウィズの家に向かう中、私達は前に来た時よりも注目されていた。


「いやー、以前よりも注目されてるのう、『救国の従魔使い』よ」

「本当にバノンは人気者になったよね」

「止めてくれよ、照れ臭いんだからよ……」


町の人達に注目されながら、私達はウィズの家に到着した。


バノンが扉をノックする。


「はいはーい、ちょっと待ってねー」


扉が開き、ウィズが出てきた。


「どちら様ですかー? ……ってあれー! バノンさんだー!」

「よう、久しぶり」

「こんにちはウィズ、元気だった?」

「ヤタイズナさんだー! 久しぶりー! 私は超元気だよー!」

「相変わらずうるさいのうこの小娘は……」

「珍味さんも相変わらず美味しそうだねー」

「ミミズさんじゃ! と言うかそれ褒め言葉なのか!? だとしてもそんな所を褒められても嬉しくないわぁぁぁぁっ!」





私達はウィズの家に入り、リビングへ移動した。


「それにしても、急にやって来てどうしたのー?」

「うん、実はウィズに聞きたい事があって来たんだ」

「私に聞きたい事ー?」

「うん、何か鳥にまつわる伝説とか言い伝えを知らないかな?」

「鳥にまつわるー? うーん……聞いたこと無いなー……」

「そうか……」

「そもそもこの小娘に話しを聞こうと言うのが間違いではないのか?」

「うーん……そうだ! お祖母ちゃんなら何か知ってるかもー!」

「エマさんか……」


成程、この国の冒険者ギルドのギルドマスターなら何か情報を知っているかも。


「よし、それじゃあ早速冒険者ギルドに行こう」

「そうだな」

「うむ」

「ちょっと待ってー! 私も一緒に行くよー!」


私達はウィズと共に冒険者ギルドへと移動した。




「ちょっとまっててねー、 お祖母ちゃんに話してくるからー」


冒険者ギルドに着くと、ウィズが一人でギルドの中に入って行った。




―数分後、ウィズが出てきた。


「オッケーが出たよー! 入って入ってー!」

「分かった、皆、しばらくここで待ってるんだぞ」

(うん! いってらっしゃいごしゅじんー♪)

(ここで大人しく待ってますねー♪)

(いってらっしゃいませご主人様)

(頑張って来てくだせぇ!)


しもべ達に見送られ、私達は冒険者ギルドに入った。


中に入ると、目の前から一人の男が歩いてこちらにやって来た。


あれは確か……


「バノンさん、お久しぶりです」

「バーニャさん、こちらこそお久しぶりです」


そうだ、副ギルド長のバーニャだ。


「サイクロプスの事は本当に助かりました、改めて礼を言わせてください」

「いえ良いですよ……それで今日ここに来たのはギルド長に用があって……」

「はい、ウィズから聞いていますよ、どうぞこちらに」


バーニャに案内され私達はギルド長の部屋の前に来た。


「ギルド長、バノンさんをお連れしました」

「ご苦労さん、入って遅れ」


バーニャが扉を開けてくれて私達は部屋に入った。


「久しぶりだねバノンさんや、元気だったかい?」


椅子に座っていたエマさんが、杖を持って立ち上がった。


「お祖母ちゃーん!」


ウィズがエマさんに抱き着いた。


「ウィズ、今日も元気だねぇ……ほら、ウィズの好きなアップルの飴だよ」

「わーい! お祖母ちゃん大好きー♪」


……やっぱり毎回やるんだねこのやり取り……


バーニャが部屋から出ていった後、私達はエマさんに事情を話した。


「成程……鳥にまつわる伝説ねぇ……」

「はい、何か知りませんか?」

「……ちょっと待ってな、確か……」


エマさんが部屋の隅にある本棚に向かい一冊の本を取った。


「えっと……あったこれだ」

「それは?」

「昔手に入れた古い本さね、それにこんな事が書いてあったのを思い出してね」


エマさんが本を開き、私達に見せてきた。


「『不死鳥伝説』……?」

「ああ、この本によるとここから西にあるバラス砂漠って砂漠があるんだけど、そこには永遠の時を生きる不死鳥がいるって言う言い伝えがあるらしいんさね」

「バラス砂漠か……」

「しかしこの本の話は本当なのかのう? ただの出鱈目かもしれんぞ?」

「でもミミズさん、不死鳥だよ? 行って見て情報を集める価値はあるんじゃないの?」

「確かに……あ奴っぽい感じの話ではあるが……」

「そうと決まれば早速大樹海に戻って準備をしないと! エマさん、ありがとうございました!」

「礼なんていいさね」


私達は冒険者ギルドから出た時、ある約束の事を思い出した。


「そうだ、オリーブと約束していたんだった……今度来たときは必ず会いに行くって……ウィズ、すまないんだけど、王城に入りたいんだけど頼めるかな?」


私がウィズに頼むと、ウィズは困ったように頭を掻いた。


「あー……ごめんねヤタイズナさん、お姉ちゃん今この国に居ないのー」

「え?」

「お姉ちゃんは今、小父さんと勇者さん達と一緒に隣国に外交に行ってるんだー」

「そうなのか……」


居ないのなら仕方がない、今回は諦めよう。


その後私達はウィズの計らいでウィズの家に泊まり、美味しい食事を食べさせてもらった。


「うん、美味しい!」

「美味じゃのう」

「いい味だぜこれは」

(美味しいねー♪)

(濃厚ですー♪)

(おかわりですわ!)

(めっちゃ美味ぇぜ!)

「おかわりは沢山あるからじゃんじゃん食べてねー♪」








―そして翌日、私達は城門前に来ていた。


「それじゃあウィズ、私達はこれで」

「うん! 不死鳥探し頑張ってねー!」


ウィズに別れを告げ、私達はアメリア王国を出て大樹海へと出発した。






















「第76回次回予告の道ー!」

「と言うわけで今回も始まったこのコーナー!」

「次からは新章突入だねミミズさん」

「うむ! 儂らはバラス砂漠に向かい、不死鳥伝説について詳しく探る事になるのじゃが……その前に次回は魔人共の話になるぞ」

「奴らの本当の狙いは一体何なんだろうね……」

「さて次回『暗躍する者達Ⅴ』!」

『それでは、次回をお楽しみに!!』


・注意、このコーナーは作者の思い付きで書いているので次回タイトルが変更される可能性があるのでご注意下さい。

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