第17話 カブトvsトックリバチ
「ギシャアアァァァァァ!!」
襲いかかってきたトックリワスプは私に針を突き出してきた。
「うおおお!?」
私は咄嗟に身体を動かし、針を避けて後ろに下がる。
「ギシャアアアアアア!」
休む暇もなくトックリワスプが針を突き出してくる!
私は不意を突かれ、背中を刺された! だがトックリワスプの針は私の身体に刺さらなかった。
「ギギィ!?」
トックリワスプは少し動揺していた。
私はその隙を突き、角をトックリワスプに向けて振った。
「おらぁ!」
「ギイィィィ!?」
私の角はトックリワスプの腹部を傷つけた!
しかし致命傷には至らず、トックリワスプは私から距離を取った。
「レベルが上がった時手に入れた昆虫の鎧のおかげだな」
昆虫の鎧の効果で防御力が上昇しているのでトックリワスプの針が貫通しなかったのだ。
トックリワスプは空中でこちらをうかがっている。
そして針をこちらに向けてきた、そして次の瞬間、 針を私に飛ばしてきた!
「はぁ!?」
私は咄嗟に身体を動かして避けると、私がいた場所の地面にトックリワスプが射出してきた針が刺さっていた。
そして、
「ギシャアアアアアアアア!」
トックリワスプの叫び声と同時に無数の針が私に向けて打ち出された!
「うおぉぉ!?」
私は動き回り針を避け続ける。
そして避けながらトックリワスプを見ると、腹部の針はまるで機関銃のように針を射出し、ものすごいスピードで新しい針が生えている。
おそらくトックリワスプの針ははサメの歯のように何度でも針が生え変わる仕組みなのだろう。
ていうか何だあれ!? トックリバチにはあんな風に針を飛ばすことは普通出来ないぞ!?
しかしどう対処するべきか…ほぼ無限に使える遠距離武器、早く決着をつけないとこっちが不利になっていくぞ。
こうなったら…一か八かやってみるか!
私は木の裏に隠れて針攻撃を防ぐ、しかし針攻撃は止まらない。
このままではいずれ木が壊されるだろう。
私はカブトムシになってから一度も使用していない能力を使うことにした。
「よし、開け!」
私の前翅が開く。そして後翅を広げ動かし始めた。
ブォォォォォォォ…翅音が大きくなり始めた。
「頼む、上手くいってくれよ…」
ベキ、バキバキ… ついに木が壊れ倒れ始めた。
トックリワスプは針の射出を止めた。 そして次の瞬間!
「今だぁぁぁぁ!」
私はトックリワスプ目掛けて一気に飛翔した!
「ギギィィ!?」
トックリワスプは驚いてすぐに針を打ち出そうとしたが。
「もう遅い! くらえぇぇぇ!」
私はトックリワスプの腹部に角を突き刺した!
「ギィィィィィィィィィィィィィィ!?」
「これで終わりだ!」
そのままトックリワスプを地面にたたき落とした。
「ギ、ギィィィ…」
地面に激突したトックリワスプが力なく鳴き、そのまま動かなくなった。
「ふぅ…上手くいって良かった…」
背中の翅を使うのは初めてだったが上手くいったので良しとしよう。 その時、頭に声が響く。
《トックリワスプを倒した。 ヤタイズナはレベルが22に上がった。》
おお! 一気に4レベルも上がったぞ! さらに頭に声が響く。
《条件を達成しました。 鑑定が上位鑑定にランクアップしました。》
上位鑑定? よくわからないが鑑定のスキルが進化したらしい。スキルも進化したりするんだなぁ…
とりあえず巣に戻るか、私はトックリワスプを角で挟み巣に持ち帰った。
巣に戻るとガタクがソイヤーと模擬戦をしていた。
(はぁ!)
「甘いで御座る! ふん!」
(ぐぁぁ⁉)
ガタクに飛びかかったソイヤーは逆にガタクに吹き飛ばされていた。
「ソイヤー、おぬしの大顎は相手の脚などを狙って攻撃する方が効果的で御座る、正面からではなく相手の隙を突くことが大事なので御座る、わかったで御座るか」
(はい、分かりました師匠!)
…少し見ない間にガタクとソイヤーに師弟関係が出来たらしい。
「おお、帰ってきたか」
(あ! ごしゅじんおかえりー♪)
(おかえりなさいご主人さま)
(主殿、おかえりです)
「殿! 今戻られましたか! このガタク殿の帰りを待ち望んでいましたぞ!」
「ただいま、ガタク、スティンガー達の稽古の調子はどうだ?」
「はい、こやつら中々筋がいいで御座るからあと一週間もすれば実戦でも十分に戦えると思うで御座るよ」
「そうか、頑張っているみたいだなお前たち。偉いぞ」
(えへへーごしゅじんにほめられたぁー♪)
(ありがとうございますご主人さま! 私元気が出てきました!)
(主殿に褒てもらえるとは…このソイヤー感涙です!)
とそれぞれが個性ある喜び方をしていた。今日はもう遅いので訓練を終了して巣に戻り食事にした。
トックリワスプを食べてみたが、身が引き締まっていて中々美味だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます