第313話 集結、六大魔王ⅩⅢ
「六大魔王を舐めるなッ!」
魔鳥王は身体を捻り錐揉み回転をしながら一気に急降下、変則三連突きを全て回避する!
そしてその勢いを維持したままビャハ目掛けてくちばしを突き出す!
『ビャッハハハハハ!!』
ビャハは地面を強く踏み込み、百足槍の柄で魔鳥王の啄み攻撃を受け止めた!
『ぐ……おおおおおぉぉぉっ!?』
魔鳥王の全力の突撃に耐え切れず、足が地面から離れ、空中へ攫われる!
『流石は魔鳥王……だけどよォッ!!』
『キチチチチチチチチ!』
魔鳥王の後方から百足槍が猛スピードで迫り来る!
魔鳥王がその気配を感じ目を動かすと同時に、百足槍の槍頭が魔鳥王の右脚に突き刺さる!
「グッ!?」
脚への激痛に魔鳥王が苦悶の声を漏らす。
『キチチチチチ!』
百足槍は突き刺さったままの状態で関節を伸縮させ刃状の脚を魔鳥王の右脚に巻き付かせる!
刃脚が魔鳥王の脚に食い込んで行く!
『ビャハハハハハァ!!』
ビャハは槍の柄を持ったまま、まるで新体操のように空中で一回転し、魔鳥王の顔面へ膝蹴りを繰り出す!
「ぐはっっ……!」
膝蹴りをもろに喰らった魔鳥王は怯み硬直、その隙をビャハは逃さない!
『ビャ……ハァァァァァァァァッ!!』
4つの腕で百足槍の柄を掴み、全身の筋肉をしならせ、力任せに百足槍を魔鳥王ごと振り回す!
そして振り回した勢いをそのまま利用し、地面を叩きつけた!
「ぐおあああっっ……!!」
地面に強く打ち付けられた衝撃で魔鳥王が苦悶の声を上げる!
『ビャハハハッーー!! まだまだァァァァッ!!』
ビャハはそのまま連続で魔鳥王を地面に叩きつけていく!
「ぐ……オォッ!」
『ビャハハハハハハハハ! ビャッハッハァァ!!』
地面にぶつかるたび、鈍い音と衝撃が響く。百足槍で魔鳥王をまるで岩盤に突き立てるように打ち付ける!
砂煙が舞う中、十数回にも及ぶ地面への衝突攻撃を喰らい血を流す魔鳥王!
『ビャハハハハハッ!! どうしたどうしたぁッ!? 魔鳥王様よぉ!? バラス砂漠で俺を一蹴してくれた時みたいに、もっと本気を見せてくれよぉ!? もっと俺を楽しませてくれよォォッ!!』
「……ッ!」
叩き付けられている魔鳥王の瞳が赤く光り、念動力で己が身体を空中で固定する!
『ビャハッ!? 面白れぇ! だが俺の槍がテメェの脚に巻き付いてる限り、俺からは逃れられねぇぞぉォッ!』
魔鳥王の脚に絡まる百足槍が更に強く締まっていく!
「……六大魔王を、甘く見るな!」
魔鳥王の全身が炎に包まれ、火の鳥と化し、その炎が百足槍の身体を伝いビャハに迫る!
「キチチチチチィィィィィッッ!?」
『チィィッ!! 切り離せッ!』
ビャハは咄嗟に百足槍の一部を自切させ、炎から逃れる!
切り離された百足槍は炭化し地面に落ちる。
『ビャハハッ!! もう少しで俺の炎が全部燃えちまう所だったぜぇ!』
火の鳥となった魔鳥王がビャハ目掛けて空より突っ込んで来る!
『ビャハハハハハハハ!! 真正面からとは面白れぇ! その攻撃を真正面から打ち破った時の快感といったらたまらねぇんだろうなぁ!! オオオォォォォォォッ……!!』
ビャハが力を込めると頭部の大顎が伸び、禍々しい形に変形していく!
『細切れになりなぁァァッッ!! 《大虐殺ノ螺旋牙》ァァァァァッッ!!!!』
大顎を開き、翅を広げ地面を強く蹴り飛び上ったその勢いのまま身体を高速回転させ魔鳥王目掛け突撃!
『ビャハハハハハハハァァァッ!!』
「……!」
魔鳥王とビャハの距離が徐々に縮まり、遂に両者が衝突!!
『ビャハハハハハハハハ!! 仕留めたァァァァ!!』
ビャハの大虐殺の螺旋牙が魔鳥王の頭部を穿ち貫いた……だが!
『……ビャハァッ!?』
ビャハの大顎に突き刺さっていたはずの魔鳥王の頭部が揺らめき、そして魔鳥王の全身が弾け周囲に炎が飛散する!
『何ィィィィッ……!? こいつはァ……!』
至近距離で弾けた炎を避けきれず、身体に炎を浴びるビャハ!
『これは奴じゃねぇ! 炎の残滓……抜け殻かぁッ!』
怯むビャハの背後に人影が現れた瞬間、ビャハの胴体を鋭い一撃が貫いた!
『ビャゴバァァァッ!?』
突然の攻撃にビャハは吐血、そのまま人影はビャハを地面目掛けて投げ落とす。
『ビャハ……ッ……!』
「気付くのが遅かったな」
人影の正体は人化した魔鳥王だった!
だがその姿は普段の十代後半程度の半人半鳥の少女のモノでは無く、より年を重ねた二十代後半程度に成長していた。
「ふむ、やはり人の姿で戦うならこの程度の大きさが戦いやすいようですね……」
魔鳥王は地面に倒れ伏すビャハを見下ろす。
『ビャハハ、ハハハハ……ビャ……ッ!』
口から大量の血を流しながら、笑い続けるビャハ。
『良いねぇ……やはりこれぐらい傷を負わなきゃ足りねぇッ! サシの殺し合いはやっぱり最高だぜぇェェェッ!!』
そう言うとビャハは振り向きざまに破損した百足槍を魔鳥王目掛けて投擲!
だが魔鳥王はそれを容易く掴み、翼を羽ばたかせ炎を発生させ、炭化させる!
『ビャハハハハハァァァァッ!!』
間髪入れずに大顎で魔鳥王を挟み切ろうとするビャハ!
「遅いッ!」
魔鳥王は地面すれすれに屈み、そのまま右脚でビャハを上空へ蹴り上げる!
『ゴハァァァァァッ!?』
空を舞うビャハに魔鳥王は翼を広げ、一気に急上昇! 空中で高速移動を繰り返しながらビャハの身体を鉤爪で削り裂いていく!
『ゴッ! ガァッ! ギァッ! ビャハァァァァッ!?』
そして両目を赤く輝かせ、念動力で空中に縛り付け、自らは空高く羽ばたくと同時に本来の姿に戻り、翼を巨大化させ炎を纏わせた!
「悪しき魂よ、灰塵と帰せ……《魔鳥の鳳翼》ッッ!!」
爆風と熱波がビャハ目掛けて降り注ぎ、その身を焼き焦がしていく!
『ビャハァァァァァァァ……!? ちくしょう……仮初とは言え蘇ったんだ! もっともっと楽しみたかったなァァァァァァァァッ!! ビャハ、ビャハハハハハハ!! ビャハハハハハハハハハ………』
体が燃え灰となって崩れていく中でも、ビャハは楽しそうに笑い続けていた……
「……最期まで変わらぬ愚かさでしたね……」
魔鳥王は呆れるようにそう呟いた。
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