第314話 集結、六大魔王ⅩⅣ
『――喰らいなさいッ!!』
『オオオオオオオオッッ!!』
蟲人ギリエルの剛腕と魔植王の巨腕が激しく衝突! 衝撃と轟音が迸る!
『まだです!』
魔植王は反対の腕をギリエル目掛けて振り抜く!
『ウオオオオオオオッッ!!』
ギリエルは右第一、第二腕を合わせ渾身の正拳突きを繰り出す! 先ほどの激突以上の衝撃に二体を中心に地面が陥没し、辺りに亀裂が走り出す!
『フハハハハハハハハッ! 良い! 実にいいぞォォォォッ!!』
ギリエルは左右計4つの腕を駆使しての乱打、乱打、連打、乱打ッ!
魔植王も対抗しその巨大な両腕で連打、連打、連打、連打ッッ!!
両者の拳が交差し、ぶつかり合うたびに大気が揺れ、衝撃が走り大地を割る!
『ハハァッッ! ハハハハッッ!! ハハハハハハハハハハッッッ!!』
喰らえば一撃絶命級の攻撃の攻防に、ギリエルの精神は高揚、熱狂し高笑いを上げながら乱打を繰り出し続ける!
『この背筋を伝う緊張感! この高揚感! そしてぇぇぇ…… 血が湧き肉が踊るこの感覚ッ!! たとえこの私が偽物だとしてもッ! この素晴らしき戦いだけは本物だァァァァァァァッっ!!』
数分にも及ぶ拳の応酬が続き、何百度目の拳と拳の衝突、その一瞬、魔植王の身体が僅かにぐらつく。
『もらったッ!!』
ギリエルはその隙を見逃さず、地面を蹴り跳躍! 渾身のドロップキックを魔植王の巨体に叩き込んだ!
『ッ……!?』
蹴りを受け、十メートルはある魔植王の巨体が宙に浮かぶ!
ギリエルは羽を広げ、頭部に生える大角を構える!
『《蛮勇の角》ッ!』
大角が金色に光り輝きそのまま魔植王目掛けて突進する!
『くッ……!』
魔植王は両腕を十字に交差させ、大角を受け止める!
大角の先端が巨腕に突き刺さる!
『その程度で我が蛮勇の角が止められるかァァァァァァッ!!』
ギリエルは突進の速度を落とさず、そのまま魔植王の巨体を押し込み始める!
『オオオォォッッ!!』
大角が深々と突き刺さっていき、亀裂が走る。 そして遂に魔植王の両腕が砕け散ってしまう!
『グゥゥゥッ……!?』
『このまま胴体も突き破ってやろう!!』
ギリエルが魔植王の胸部目掛けて突っ込む!
『させま……せん!』
魔植王は残った肘先部分から触手めいた木の枝が無数に生え、ギリエルの身体を拘束する!
『何ィ!?』
『ハァァァッ!!』
そしてそのまま自らの身体を大きく回転させる!
『ぐおぉぉッッ!?』
凄まじい遠心力に振り回されるギリエル、その勢いの魔植王はギリエルを一気に投げ飛ばした!
『チィィィッ!』
だが瞬時に空中で態勢を変え、滑るように着地するギリエル。
『流石だな……まだ私を楽しませてくれるのか……!』
魔植王は砕けた両腕を再生させながら、地面に再生中の右腕を突き刺した!
『《大地の怒り》!』
地面が唸り、無数の岩の槍が魔植王の周りに現れ、ギリエル目掛けて射出される!
『温い! その程度の攻撃で私を満足されられるものかぁぁぁぁ!!』
ギリエルは羽を広げ空を飛び、高速で突撃する!
『《蛮勇の突撃槍》ッッ!!』
ギリエルの大角が光り輝き、その光が全身を包み込み光の突撃槍と化す!
『オオォォォォッッ!!』
高速飛行による勢いを乗せ、ギリエルは岩の槍を全て打ち砕くッ! そのまま魔植王へと突き進んでいく!
『ならばッ!』
迫り来るギリエルに対し、魔植王は左腕も地面に突き刺す!
『《樹根連岩壁》ッ!』
地面が揺れ、地中から無数の岩壁がドミノのように何層にも連なり、ギリエルを阻む巨大な壁となって出現する!
『面白いッ! その壁ごと打ち貫いてくれるわァァァァァァァッッ!』
ギリエルは速度を増し、壁目掛けて突撃する!
『オオォォォッッ!!』
第一の岩壁をいともたやすく打ち破り、第二、第三の岩壁も貫通する!
『ハハハハハハハハハハッ! あと四枚、いや五枚程で終わりかァ!? このまま一気に駆け抜けてくれるわァァァッ!!』
『いいえ、ここまでです』
その言葉と同時にギリエルが5枚目の岩壁を貫いた瞬間、ギリエルの身体に網状の糸のようなものが絡みつく!
それを気にせずに突き進もうとするギリエルだったが、糸は切れることなくギリエルの勢いを殺し、五枚目の岩壁で完全に勢が止まり停止した。
『なんだこれは? 私の力をもって切断出来ないだとッ!』
『植物の繊維を超微細にし、再構成させた特殊な糸です。かつて私の力で魔蟲王にミミズさんの記憶を見せるようサポートした時……彼の記憶の一部を垣間見た際に見た向こうの世界の知恵を私なりにアレンジして見ましたが、上手くいきましたね』
『おのれぇぇぇッ! この程度の拘束など……!』
ギリエルは全身を軋ませ糸を引きちぎろうとする!
『あなた相手では拘束できるのはせいぜい一分程度でしょうが……それだけあれば十分!』
魔植王がギリエルの周囲の岩壁を操り、ギリエルを圧殺しようとする!
『ぐ、おぉぉおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!?』
岩壁は徐々に圧縮、変形し球体上になっていき、内部のギリエルの声が聞こえなくなった。
『……』
魔植王は戦闘態勢を維持したまま岩玉を警戒していたその時、岩玉に亀裂が入る!
『オオオオオオオオッッ!!』
そして岩玉が砕け、内部のギリエルがほぼ無傷の状態で飛びだした!
『ふはははははは! 今のは中々楽しめたぞ!』
『これでもダメですか……それならば』
魔植王の再生した右腕の指が渦巻くように変形し、螺旋状の木の槍になる!
『真っ向から打ち倒すしかないようですね!』
『そう来なくてはなァ! さあ、死合おうぞ魔植王ッ!! この私に最高の昂ぶりを! 最上の愉悦を味あわせてくれェェッ!』
ギリエルの大角と魔植王の木の槍がぶつかり合い、周囲に轟音と衝撃が走る!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます