第312話 集結、六大魔王Ⅻ
――魔鳥王対ビャハの戦いは、魔鳥王が先制攻撃を仕掛けた所から開始された。
「……ッ!」
空高く飛ぶ魔鳥王の眼が光り、地面の岩が浮き上がり、変則的な軌道でビャハに襲い掛かる!
『ビャハハハハハハハハハッ!!』
ビャハは次々と変則的な軌道で襲い掛かる岩をその剛槍と技を以て屠っていく!
そして翅を広げ魔鳥王へと一気に接近、瞬時に魔鳥王の間合いに入り、右上腕下腕で槍を構える。
『ハァァァッ!!』
そのまま勢い良く槍を突く……しかし!
『ビャハッ!?』
槍が魔鳥王に命中する寸前、まるで空間に壁があるかのように弾き返される! 念力だ!
態勢を崩したビャハに魔鳥王の左脚が接近!
『く、そ、がァッ!』
ビャハは身体を回転させ左足の蹴りを回避しつつ態勢を立て直し、魔鳥王の真上に飛び上がる。そして三又槍を魔鳥王目掛けて投擲する!
「ハアッッ!!」
投擲された三又槍は念力に弾かれるが、ビャハが右上腕の指をパチンと鳴らした瞬間、空中の三又槍が静止、そのまま矛先を魔鳥王に向き高速で射出される! 魔鳥王は対抗し念力で槍を止める!
両者の念動力は拮抗し、空中で静止した三又槍を挟んで睨み合う。
『ビャハハ! 流石魔鳥王様だなぁ、俺の念動力じゃあ勝てねぇか!』
「私の力と拮抗しておきながらよく言う……!」
魔鳥王は眼を光らせ再度念動力を放つ! すると空中に静止していた三又槍が斜め下……ビャハの方角に軌道を変え、射出された!
『ビャハハハハ!!』
ビャハは素早く反応し身体を捻りながら槍の柄を掴むと、そのまま魔鳥王の脇腹目掛け高速で突撃!
「甘い!」
『ビャハッ!? ビャッハァァァァァァ!?』
魔鳥王の眼が光り、今度はビャハの全身が硬直! そのまま念動力によって地面目掛けて一気に引き落とされる!
そして脳天から地面に一直線に落下する直前、硬直状態のビャハは全身の筋肉を軋ませ叫ぶ!
『ビャ……ハハハァァァァァァ!!』
「何!?」
何とビャハは念動力を破り、身体を回転させ地面に着地した。
『いやー、今のは流石にヤバかったぜぇ……ビャハハ』
(私の念力を破るとは……模造された存在でもその力は以前のビャハ以上と言う事ですか……)
『ビャハハハハハ! だがこれで砂漠の時みたいにぶっ飛ばされる心配はねぇ! そして更に! 俺の槍術は魔人王様の力で進化する! ハァァァァァァ……ッッ!!』
ビャハが槍を両上腕で握りしめると、槍が蠢き変形をし始めた!
柄に幾つもの関節が生成され、節ごとに刃状の脚が生え、三又の刃先に複数の単眼が浮かび上がる。
「キチチチチチチチチッ!!」
何と言う事であろうか、三又槍は生きた百足槍へと変貌したのだ!
その刃先は百足の大顎のように左右に開閉し、刃が擦れ不気味な音を立てる。
『これでもっと戦いを楽しめるぜぇ……ビャハハハハハハハ!!』
ビャハが百足槍を前に突き出すと、百足槍は関節の筋肉を伸縮させ、魔鳥王へ遠距離刺突を仕掛ける!
「甘い!!」
魔鳥王はすかさず空中で後方宙返り、百足槍を回避。
だがそれを予期したように百足槍は身体を曲げ通常の槍ではありえない軌道で魔鳥王を追尾する!
「くっ!」
空中での奇天烈な軌道に流石の魔鳥王も驚きつつも、何とか回避する。
『ビャハハハッ! 今度はもっと滅茶苦茶に行くぜぇ!!』
「キチチチチチチチチ!!」
百足槍が関節の伸縮を戻し、今度は限界まで縮めた筋肉を一気に開放、そこに回転を加えた、軌道予測不可能な変則高速三連突きが魔鳥王に迫る!
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