第320話 集結、六大魔王ⅩⅩ

 ――場面は変わり、クルーザー本体へと飛行するヤタイズナ一行。


「……! やはり来たな!」


 私が前方を見据えると、トンボの羽が生えた小型、中型百足達が私たち目掛けて飛んでくる。


「前方に敵出現、全員戦闘態勢を取るんだ! 《灼熱の角》ッ!」

「キシャアアアアアアアア!!」


 トンボの翅が生えた百足が私目掛け突進してくる! 私はそれを躱しすれ違いざまに灼熱の角で斬り裂いた!

 その直後に私の左右から小型百足が飛び掛かってくる!


「《灼熱の爪》!」


 私の六本の脚が燃え盛る炎を纏い、小型百足目掛け接近すると同時に爪で引き裂く。


 続いて前方からは三体の大顎を開いた中型百足が襲い掛かってくる! 私はそれを華麗に避けると空中で一回転し、落下しながら灼熱の角を振り下ろし中型百足を真っ二つに焼き斬り、残る二体も灼熱の爪で切り裂き燃やし尽くした!



「喰らうで御座る、《烈風の大顎》ッ!!」


 ガタクが空中で風を纏わせた大顎を大きく開け、小型百足の胴体を両断する! そしてガタクは自身の周りに無数の風の刃を生成した!


「《大鎌鼬》ッ!!」

「キシャアア!」

「キシィィ!?」


 ガタクが風の刃を周囲に飛ばして回転すると、小型百足共の翅や胴体を切り刻んでいく! そこに中型百足が複数匹でガタクに突進する。


「甘いで御座る! 切り刻め!《千刃竜巻》ッ!!」


 無数の鎌鼬が竜巻を形成、その竜巻が放たれ突っ込んできていた中型百足共をバラバラに引き裂いた!

 更に小型百足達もまとめて竜巻の風刃で切り刻まれ、バラバラになって飛び散っていく!




(《斬撃》《斬撃》《斬撃》《斬撃》《斬撃》ィィッ!!)

「キシャアアアアッ!?」


 ソイヤーが連続斬撃で中型百足の胴体を切り裂いていく! 


「キシャアァッ!」


 ソイヤーの後方から小型百足達が奇襲を仕掛ける!


(《豪風の翅》! えーい!)

(魅了されなさい、《蘭花の鎌》!)


 それをパピリオが真上から突風を吹かせ小型百足を怯ませ、カトレアが鎌を振り魅了の香りで小型百足の動きを鈍らせた。

 その隙にソイヤーが連続斬撃で小型百足達を纏めて切り裂き散らす!


(パピリオ、カトレア、助力感謝する)

(これくらい当然ですー!)

(私の鎌で奴らを魅了して刈ってやりますわ!)


『『『キシャアァァァッ!!』』』


 小型、中型百足の大群が咆哮を上げ、ソイヤー達に一斉に襲いかかる!


(《大鎌鼬》ッ!!)

(《水大砲》!)


 左からドラッヘが無数の風の刃を撃ち出し、右からカヴキが水の砲弾を連射し小型、中型百足達を吹き飛ばしていく!


(ったく油断してんじゃねーっすよ! まだまだ百足共が続々と来てるっすよ!)

(百足共を全員ぶっ飛ばしてやりやしょうぜッ!)

(よし、各自連携を取りながら敵を蹴散らすぞ!)


 ソイヤー、パピリオ、カトレア、ドラッヘ、カヴキは迫りくる小型、中型百足の大群を次々と殲滅していく!





「《灼熱の斬撃》、《操炎》ッ!!」


 私は灼熱の斬撃を分裂させ、小型百足を次々と切り裂いていく! 


『『『キシャアアアアアアアアアッ!!』』』


 前方から複数の中型百足が絡み合い、一塊となって私に突進してくる!


「《灼熱の螺旋槍》ォォッ!!」


 私は灼熱の螺旋角を使用し高速回転しながら中型百足の塊に突進し貫通! 中型百足達は中心部から燃え盛り、地面に落下していく。


「ウオオオオオオオオオオオッッ!!」


 私はそのまま高速回転し続けながら縦横無尽に突き進み、周囲に居る小型、中型百足達を蹴散らし焼殺していく!

 そして百足達の包囲網を突破し、クルーザー本体に向かって飛行する。


「殿!」


 後方よりガタクが合流する。


「ガタクか、ソイヤー達は?」

「後方にて百足共と交戦中で御座る」

「そうか……多少の心配はあるが、このままクルーザーに向かうぞ!」

「承知で御座る!」


 私とガタクはクルーザーに向かって突き進み、それを遮るように今まで以上の数の百足の大群が迫りくる!


『『キシャアアアアアアアアアアアアァッ!』』

「《灼熱の斬撃》、《操炎》ッ!」

「《疾駆ノ斬撃》、《大鎌鼬》!」


 私とガタクは嵐の如き斬撃の連撃で百足の大群を切り裂いていく! そして小型、中型百足を殲滅しながら突き進み遂にクルーザーの途方もなく巨大な胴体へ到達する!


「《灼熱の斬撃》ッ!」


 私は胴体に灼熱の斬撃を浴びせるが……全くの無傷! 

 灼熱の斬撃を喰らって傷一つないなんて……なんて頑強さだ……!


『キシャアアアアア!!』


 真下から新たな百足の大群が私達に襲い掛かる!


「《千刃竜巻》ッ!!」


 ガタクが竜巻を襲い来る百足目掛けて放つ! 百足共は竜巻に巻き込まれ暴風に揉まれ風の刃で切り刻まれていく!


「殿、ここは拙者に任せてクルーザーの体内へ!」

「分かった、頼むぞガタク! 」


 私は真上へと飛び、クルーザーの胴体を垂直に上昇していく!


『キシャアアアアア!』

『シャアアアアッ!』

「ここから先には一歩も進ませないで御座る! 《大鎌鼬》!」


 私に狙いを定め迫りくる百足の大群をガタクは大鎌鼬の弾幕で蹴散らし続ける!


「……むっ! あれは!?」


 百足達を蹴散らし続けるガタクの視界に、奇妙なものが移る。

 ここよりはるか上空に一筋の飛行機雲のようなものが出来上がっていたのだ。


 その飛行機雲は徐々に伸び、こちらに……ヤタイズナが昇っていった方へ向かっていた……







 クルーザーの身体は恐ろしく頑強な甲殻に守られている、胴体に穴をあけるのは至難……もたもたしていれば新手が押し寄せてくる……ならば道は一つだけだ!


 私は上昇し続け、頂上……すなわちクルーザーの頭部に辿り着いた。


 三つの巨大な頭部がその大顎を開き続けており、エネルギーが雷のように迸っている。

 そして遥か上空にある巨大転移門からは地球が鮮明に見える。


「地球……自らの故郷をこんな形で再び見ることになるとはな……だが今は感傷に浸っている暇はない!」


 甲殻に覆われておらず、体内へと突入できる唯一の場所、口腔!

 本来のサイズなら私は百足の子顎で擦り潰されてしまうだろうが、これだけのサイズ差なら……!


 私は口腔目掛け一気に急降下する!



 ――その時だった。



 私の後方より連続で爆発しながら飛翔する物体が迫ってくる!

「何っ!?」


 後方を振り返り、私の眼に映ったモノ、それは漆黒の甲殻に覆われた、モグラとザリガニ、そしてコオロギの三匹を組み合わせたような出で立ちは……


「ジィィィィィィィィッ!!」

「オ・ケラ!?」


 そう、爆発の反動を受け加速するモノの正体、それは幾度なく私の前に立ちはだかり、戦い続けた宿敵、オ・ケラだったのだ。

 あの爆発……まさか爆発の爪で生じた爆風を利用してロケットエンジンのように加速しているのか!?


「ジィィィィィィ!」


 オ・ケラが私に迫る!

 不味い、回避が間に合わな……


「ジィィィィィィィィィッッ!!」

「ぐわああああああああッ!?」


 オ・ケラの爆速突進が私に直撃! そのまま私とオ・ケラは揉み合いながら口腔内へと突っ込んだ!


「うおおおぉぉッ!!」


 私はオ・ケラを弾き飛ばし、そのまま口腔内を飛行する!  


「ジィィッ!」


 背後から私を追尾するオ・ケラ!


 くっ、こうなったら仕方がない……このまま心臓部への道を探しながら、オ・ケラをここで倒すッ!


「オ・ケラ! お前との因縁、ここで決着を付ける!」

「ジィィィィィィィィッ!」


 私の言葉に返答するように、オ・ケラは両前脚を光り輝かせ、爆発! その勢いを利用し私目掛けて爆速突進を繰り出す!








「第114回次回予告の道ー!」

「と言うわけで超久々に始まったこのコーナー!」

「前の次回予告から一年以上経ったね……」

「うむ、ここまで長くなるとは思わなかったぞ……このコーナーのこと忘れられていてもおかしくはないぞ……まぁともかく次回予告を始めるぞ!」

「次回は遂にオ・ケラとの長きに渡る因縁にケリを付ける時が来たねミミズさん!」

「うむ、ヤタイズナよ、進化した奴の力は未知数……だがお主なら絶対に勝てる! そう信じておるぞ!」

「「次回、『宿命対決、カブト対オケラ』! それでは次回をお楽しみに!!」」



 ・注意、このコーナーは作者の思い付きで書いているので、次回タイトルが変更される可能性があるのでご注意下さい。

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