第321話 宿命対決、カブトvsオケラⅠ

 前脚に衝撃を与えなくても起爆出来るようになっているだと!?


「《灼熱の斬撃》ッ!」


 突っ込んでくるオ・ケラ目掛け、灼熱の斬撃を放つ!

 オ・ケラは両前脚を前面に構えたまま爆速の突進で灼熱の斬撃を粉砕し、私目掛け加速し続ける!


「ジィッ!」


 前脚を光らせた状態でオ・ケラが突っ込んでくる!

 私は真上に避け、オ・ケラはそのまま内壁に激突、その瞬間爆発し衝撃がクルーザーの口腔内を駆け巡る!


「ジィィッ!」


 爆煙を突き破り、オ・ケラが再び爆速突進を繰り出す!

 この距離では回避は不可能……ならば!


「《灼熱の角》!」


 私の角が灼熱の炎を帯びる! そして突進してくるオ・ケラ目掛け振り下ろした!

 オ・ケラの爆発の爪と私の灼熱の角が衝突し、凄まじい閃光が迸り、爆発の爆風と炎を辺りに撒き散らす!


「ぐおおおっ……!」


 私も吹き飛ばされるが、何とか持ち堪える!


「ジィィィィィッッ!!」


 オ・ケラが私目掛け両前脚を振り下ろす!

 灼熱の角で両前脚を受け止め、そのまま押し返す!


「ジィィッ!!」


 オ・ケラは両前脚に力を込め、私の角と激しく打ち合う!

 互いの力が拮抗し、オ・ケラの両前脚と私の角が音を立てて軋む!


「ジィィィ!!」

「させるか、《灼熱の爪》!」


 オ・ケラが後ろ脚で蹴り攻撃を行うが、私の中脚の灼熱の爪で受け止める。

 両者互いの攻撃を受け合い、拮抗した状態のまま食道内へと突っ込んでいく!


「うおおおぉぉッ!」

「ジィィッッ!!」


 そして食道内を突き進みながら幾度も交差し、打ち合い続け、食道内に衝撃と爆炎を轟かせる!


「ジィィッ!」

「ぐうっ!?」


 オ・ケラが両前脚で私を食道の壁に叩き飛ばし、右前脚を光り輝かせて振りかぶる!

 私はすぐさま迎撃しようとした次の瞬間、オ・ケラの右前脚を起爆! その衝撃を拳に乗せ、私に目掛け爆速で打ち出す!


「ジィィィィィィィッッ!!」


 オ・ケラの打ち出された拳が私の腹部に直撃する!


「ぐっ、ああぁぁっ!?」


 さ、先ほど見せた両前脚を起爆させての爆速突進だけでなく、こんな応用の仕方まで……!?


「ジィィッ!」


 オ・ケラは続けざまに左前脚の爪を光り輝かやかせて起爆、二打目を繰り出す!

 私は六本の脚全てを畳み防御態勢を取り、オ・ケラの左前脚を受ける!


「ジィィィッ!!」


 オ・ケラが再び右前脚を起爆、三打目を繰り出す!

 更に四打目、五打目、六打目……次々と叩き込まれる! しかも一打毎にその速度は徐々に増していく!


 目にも留まらぬ速さで繰り出される超高速連打!  私は防御を解くことが出来ずに打たれ続ける!


「……ッ!」


 連打の衝撃で私の身体は徐々に食道壁に沈んでいく……このまま壁に押し込まれ続けて、終わってしまうのか……?

 否ッ! 私はこんなところで終わるわけにはいかないのだ!


「《灼熱の角・鎧》ッ!」

「ジィィィィィィィィッ!!」


 私は全身に炎を纏うが、オ・ケラは躊躇する事無く連打を続け、私はそれを耐え続ける。

 その最中、私の周囲の壁に変化が起きる。


 灼熱の角・鎧の炎によって焼かれ炭化した壁の一部が崩れ隙間が生まれた。

 そして私の身体は下に空いた隙間から落下する!


「ジィィッ!?」

「うおおぉぉッ! 《灼熱の爪》《灼熱の角・槍》ッッ!!」


 そして即座にオ・ケラに体当たりし突き飛ばす! 更に両前脚の灼熱の爪を叩き込み、最後に渾身の灼熱の角・槍を腹部に叩き込む!


「ジィッ!!」


 オ・ケラはよろめきながらも私の灼熱の角・槍に合わせて両前脚の爆発の爪を叩き付け、大爆発が起きる! その衝撃で私は壁に叩き付けられる!


「ガはァッ!?」

「ジィィィッ!?」


 一瞬の静寂、そしてすぐさま私とオ・ケラは同時に動きだそうとしたその時だった。

 食道内の壁が蠢き始めた!


「何だ!?」


 周囲を警戒していると、壁から大小無数の触手が伸び、百足の形に変形していく。


 くっ……! 流石にクルーザーに私とオ・ケラが侵入した事がバレたか?

 それとも雑菌が入ると自動で働く免疫機能か?


 無数の百足触手が私とオ・ケラ目掛けて一斉に襲いかかってくる!


「《灼熱の斬撃》《操炎》ッ!!」

「ジィィィィィィィィッッ!!」


 私とオ・ケラが襲い来る百足触手を蹴散らし、再び激突する!

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