第305話 集結、六大魔王Ⅴ
「ガハハハハハハ! 久々に大暴れしてやるぜェェェェッ!!」
魔獣王が先陣を切り、地面を蹴って百足の大群に突っ込んで行く。
「何アンタが先陣切ってんのよ!」
「俺達も行くぞ」
その後を魔海王と魔竜王、そして魔鳥王と魔植王と私が続く。
「ガハハハ! 俺に八つ裂きにされたい奴はかかって来やがれェ! 《魔獣の氷爪》!!」
魔獣王の前脚が氷に覆われ、鋭い氷の刃と化す。
「キシャアアアアアアア!」
「死ねぇェェェェェェッ!!」
魔獣王が前脚を振り下ろし、襲い掛かって来た百足は一瞬の内に三枚におろされた!
「ガハハハハハハハハハ! 『魔獣の氷柱』!」
魔獣王の周囲に冷気が発生、3メートル程の氷柱が無数に出現し、百足達目掛けて撃ち出された!
「キシャ……!」
「ギシャアァッ!?」
「キシィィッ!?」
氷柱は百足達の頭部を的確に撃ち抜き、次々と倒して行く。
「まだまだいくぜぇ! 《魔獣の氷牙》!」
魔獣王の口に巨大な氷の牙が形成され、そのまま百足を噛み砕き、更に氷爪で百足達を次々に切り裂きながら突き進んで行く!
「ガハハハハハハハハハハッッ!」
流石魔獣王、まるで歩兵を蹂躙する戦車の如く、凄まじい勢いで百足達を倒している!
「魔獣王の奴、この私を差し置いて目立つなんて良い度胸じゃない、でもそれを差し引いたとしても私の絢爛さには敵わないわね! 《魔海の水柱》!」
「キシャアアッ!?」
「キシャアアアアアアッ!」
地面から無数の水柱が噴出し、百足達を宙に打ち上げた!
「《魔海の水砲》!」
続いて圧縮された無数の水の塊がまるで機関銃の如く空中にいる百足達に目掛けて射出され、空中の百足達は一瞬にして肉片と化した。
「どう? 私の攻撃は? 他の奴らのとは比べ物にならない派手で美しい……」
『『キシャアアアアアアアアアアアッ!』』
どや顔で語る魔海王が言い終える前に、吹き飛ばされなかった百足達が魔海王へと襲い掛かるが……
「《魔竜の剛爪》ッ!」
魔竜王が両腕の爪で瞬時に百足達を切り裂いた!
「気を付けろレヴィヤ、いかに我ら魔王が強大な力を持っていようが、油断していては足元を掬われるぞ」
「ふんっそんな事言われなくても分かってるわよ! 大体今までさんざん怠惰貪ってたくせに、一回私を助けたぐらいで兄貴ヅラしないでくれる!?」
「兄貴ヅラも何も、レヴィヤは私の実の妹ではないか」
「そうだけど今はそう言う事を言ってるんじゃなくて……ああもう、ぐうたらクソ兄貴から急に昔の兄貴に戻って私の調子が狂うのよ……!」
『『キシャアアアアアアアッ!!』』
「うるっさいわね! 邪魔すんじゃないわよ!《魔海の水槍》!!」
『キシャア!?』
「ギ……!?」
「ギシャアァッ!?」
「……!!」
魔海王は無数の水の槍を作って百足達に目掛けて撃ち出し、次々と串刺しにする。
「良いぞレヴィヤ、その調子で殲滅していくぞ」
「だから一々兄貴ヅラすんじゃないわよ!」
「ガハハハハハハハハ! やっぱりお前ら仲いいな!」
「良くないわよ!!」
魔獣王の言葉に言い返しながらも魔海王は魔竜王と共にどんどん百足達を蹴散らして行く。
『『『ギシャアアアアアアアアアアッッ!!』』』
「滅せよ……!」
「ぎ……ギシャア!?」
「キシャアボッ!」
魔鳥王の眼が赤く輝き、百足達が宙に浮かび、念力により身体がペシャンコに潰れたり、捩じ切られたり、一つにまとめられて球状の肉塊へと変わり果てる。
『星の痛みをその身で受けなさい……《大地の怒り》!』
魔植王がその巨腕を地面に突き刺した瞬間、地面の一部が口を開くように割れ、百足達が次々と落下して行く。
そして口を閉じるが如く亀裂は塞がって行き、落ちて行った百足達は圧殺される。
『キシャアアアアアアアッッ!』
『恐怖を感じる事も無く、ただ他の生命を貪るだけの存在よ……大地に還りなさい!』
魔植王はその巨腕を振りかぶり、飛び掛かって来た百足を殴り潰し、次々と襲い来る百足達を、その巨大な拳と脚で薙ぎ払い、叩き潰していく。
「《灼熱の角》! オラァァァァァァァァッ!!」
私は灼熱の角で百足の頭部から真っ二つに焼き切り、その後も百足達の頭部を焼き切っていく。
『『『『キシャアアアアアアアアアアアアッッ!!!』』』』
だが百足の群れは減るどころか、その数はどんどん増えていっている。
「くそっキリが無い……!」
「ガハハハハハハハハ! 次々と湧いてきやがるな!」
「全く数だけで芸の無い奴らね」
「ああ、このような場所で手間取っている時間が惜しい」
「魔竜王の言う通りです、雑兵共を一気に殲滅しましょう」
『では、私が皆の強化を……《魔植の加護》《魔植の闘志》』
横一列に集合した魔獣王、魔海王、魔竜王、魔鳥王の背後に居る魔植王の足元の地面から根張り巡らされ、その木の根の一部が魔獣王達の身体に触れ、淡い光で包み込んだ。
「オオオオオオオオオッ! 久しぶりだなこの感じ!」
「これやると肌の張りが良くなって良いのよね……」
「力が漲る……溢れる!」
「皆、同時に放ちますよ!」
百足達が迫る中、魔獣王が口を開けると、口内で冷気が圧縮され氷の塊を生成。
魔海王は真上を向き、上空に大量の水が集め巨大な渦潮を生み出し、魔竜王が大口を開け超巨大火球を造りだす。
魔鳥王が両翼を羽ばたかせると、その翼が巨大化し炎を纏った。
「喰らいやがれェェェッ!《魔獣砲》!!」
「全てを飲み込みなさいッ!《魔海の渦潮》!」
「《魔竜の息吹》ィィィィィィッ!!」
「灰塵と帰せ……《魔鳥の鳳翼》ッ!!」
4体の魔王の必殺技が同時に放たれ、魔獣王の口から発射された氷塊が百足の群れの中心に着弾すると同時に衝撃波が発生、数百匹の百足を氷の柱の中に閉じ込めた。
次に魔海王によって作り出された渦潮に百足達が飲み込まれた所に魔竜王の超巨大火球が直撃、引火し水蒸気爆発が巻き起こった!
更にそこに魔鳥王の羽ばたきによって発せられた爆風と熱波が襲い掛かり、生き延びていた百足の群れを跡形も無く吹き飛ばした。
その光景は天変地異が如く、まさに圧倒的であった。
「す、すっげぇ……! あの大群を一瞬で……!」
「何を驚いておるのじゃバノン、あ奴らならあの程度造作も無い事じゃ」
「ガハハハハハハハハ! スッキリしたぜぇ!」
「ま、この私の力をもってすればあんな虫ケラ共なんてこの程度よ」
「慢心するのはまだ早いぞレヴィヤ、まだ敵の第一波を片付けただけだ」
「分かってるわよクソ兄貴、油断なんてしないわよ」
魔王達は軽口を言いながらも警戒を怠らず構えたまま、転移門を広げ続けるクルーザーを見据える。
「このまま雑魚を片付け続けていても待つのは破滅です」
『魔鳥王の言う通りです……既にこの一帯の大地は奴に命を吸い取られて死の大地となっています……一刻も早くクルーザー本体を叩かねばなりません』
「そ、それはもっともな意見ですけど魔植王、実際どうやって奴を倒すんですか? あれだけの巨体、六大魔王全員の必殺技を同時に放っても効果があるかどうか……」
「安心せい、策ならある!」
「ミミズさん! いつの間に背後に!?」
「こんなことで驚いとる場合か、それよりも儂の話を聞くのじゃ! 良いか? クルーザーを倒すには奴のエネルギーの源……即ち心臓部を直接叩く必要がある!」
「心臓を……!?」
「そうじゃ! クルーザーは星の命を吸い取り、それを自らのモノとすることであの巨体と転移門を開く力を維持しておる……じゃがさすがのクルーザーと言えども心臓を潰されればあの巨体を維持できずに自滅するはずじゃ!」
『確かにそれならば……』
「だけどそれをするには奴の体内に入り込み、心臓部までたどり着かなければならない……それが出来るのは小柄かつ機動力もあり、単体での戦闘能力も十分ある者だけ……つまり六大魔王の中で一番小さい私しかいない」
「そうじゃ、最も危険な役じゃが、お主ならやり遂げられると信じておるぞ、ヤタイズナ」
「ミミズさん……」
『ならば私達は奴の注意を削ぐと同時に小型百足の発生源である大型百足の排除を行います、それと魔蟲王、これを……』
魔植王の指先の一部が伸び、私の右前脚にリング状に巻き付いた。
「これは……?」
『私の一部で作った探知装置です、クルーザーの分身の生体反応を記憶し、貴方が念じると奴の力が最も強く反応する方角に枝を伸ばすようにしてあります、これなら奴の心臓部も分かるはずです」
魔植王の言葉を聞いた私は右前脚をクルーザーに向け念じると、探知装置から枝が伸びクルーザーを指し、念じるのを止めると枝が戻り元の形に戻った。
「ありがとうございます、魔植王」
『例には及びません、それよりもうじき新たな分身の群れが攻めてくるはずです、ここは私達に任せてクルーザーの元へ』
「お待ちくだされで御座る!」
声を聴き振り返ると、そこにはガタクとソイヤー、ハピリオ、カトレア、カヴキ、ドラッヘの姿があった。
「ガタク、ソイヤー! 傷はもう良いのか?」
「はい、まだ若干痛みますが、十分戦えるで御座る!」
(私もです、ご心配をおかけしました)
「そうか……良かった……所でガタク、何か話があるのか?」
「はい、拙者達を殿のお供として連れて行って欲しいで御座ります!」
「それは……しかし……」
「殿一人を死地に赴かせるなど出来ませぬ! お願いで御座る、どうか拙者達を……!」
(このソイヤーも師匠と同じ気持ちです、ご主人様……!)
(私達、すっごく頑張りますー!)
(カトレアの言う通りですわ)
(最初で最後の大勝負、この俺もやってやるぜぇ!)
(まぁ、多少の無茶には付き合ってやるっすよ……)
「お前達……分かった、皆、共に行くぞ!」
『『おおおおおおおおおおおっ!!』』
私達は翅を広げ空を飛び、クルーザー本体の元へ向かった!
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