第38話 魚釣り

大樹海に帰ってきて早五日、私は南の森の西側を散策していた。しばらく歩いていると大きな池を発見した。


「へぇー、こんなところに池なんてあったのか」


私は池を見る、水草が豊富に生えていて水質も中々だ。


しかも水面にはちらほらと魚の影が。


そうだ、今日の夕食は魚にでもするかな。


そうと決まれば巣に戻ってミミズさん達を連れて来よう!










―と言うわけで私はいったん巣に戻り、ミミズさん達を連れて池に魚釣りに来た。


「ほぉ、中々良い所ではないか」

「綺麗な池で御座るな!」

(ほんとだねー)

(本当綺麗ですね)

(俺、池綺麗、言う)


今回連れてきたのはメンバーはミミズさん、ガタク、スティンガー、ソイヤー、テザー、バノンの五匹と一人だ。


「じゃあ、釣りの準備をするか」

(ごしゅじん、つりのじゅんびってどうやるの?)

「今から教えるからちゃんと聞いておくんだぞ?」

(はーい♪)


では、釣りの準備を始めよう。


釣りの準備その1、まず最初に長めの糸と釣り針を用意しよう。


ちなみにこの糸と釣り針はバノンが作ってくれたものだ。ドワーフの技術に感謝だ。


釣りの準備その2、糸を自分の角、もしくは尻尾に巻き付けよう。そして糸の先に釣り針を結び付けよう。


釣りの準備その3、最後に釣り針の近くにミミズさんを結び付けて出来上がり!



「よし! じゃあ皆もやってみよう!」

『おおー!』

「ちょっと待てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」


私が釣りの準備を教え終わると同時にミミズさんが私にツッコミをいれてきた。


「ミミズさんどうしたの?」

「どうしたの? じゃないわ! 何で儂が糸に巻き付けられなきゃならんのじゃ!」

「いや、餌が付いてなかったら魚はかからないでしょ?」

「餌じゃとぉ!? お主さては最初からそのつもりで儂を連れてきたな!」

「殿、さっきの説明で少し疑問に思った事があるので御座るが」

「おお! 言ってやれガタク! 儂が餌なのは変だとこの馬鹿に言ってやるのじゃ!」

「非常食殿は一匹しかいないのですが我々は何を餌にすればよいので御座るか?」

「そこぉ!? 儂が餌なのは疑問に思わないのか!?」

「心配するなガタク、こんなこともあろうかとテールシザーをぶつ切りにしたのを持ってきたから皆はそれを餌にしてくれ」

『はーい!』

「おい待てぇ! そんなの用意してるなら儂を餌にする必要は全くないじゃろうが!」

(ごしゅじんー、いとはどんなかんじになげるのー?)

「よし、じゃあ私が糸を投げるからそれを手本にするんだぞ?」

(わかったー)

「おらぁぁぁぁぁぁ!!!」

「ぬおおおおおおおおおおおお!?」


私は全力で角を振り、ミミズさんを池に投げ込んだ。


「お主後で覚えてろよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……」 


ボチャン!


ミミズさんが呪いの言葉を吐きながら水面に落下した。


そして数秒後。



バシャ…バシャバシャ…バシャバシャバシャバシャバシャ!!!



ミミズさんの落下地点に大量の魚が群がって来た!


「ぬおおおおおおおおおおおおおおお!?」


ミミズさんの叫び声が聞こえてきた。一回引き上げてみるか。


「ふん!」


私は糸を引きミミズさんを回収する。 すると釣り針に魚が一匹かかっていた。たくさん群がって来たから偶然かかってたのだろう。


「はぁっ、はぁっ…死ぬかと思った…」

(ひじょうしょくすごーい♪)

(非常食殿は最高の餌なのですね!)

(俺、非常食凄い、言う)

「全く非常食殿は最高の餌で御座るな!」

「お、お主ら…後で絶対しばく…」



私は釣り針にかかった魚を見る。


見た目はメダカだ。


ただサイズが大きい、40センチはあるぞ。


「しかしさすがミミズさん、魚たちに大人気だったね、もう一回行く?」

「行くわけないじゃろうがこのくそたわけ!」


ミミズさんが怒ってしまった。まぁ今回は流石に扱いが酷過ぎたか、反省しよう。


その後私は餌を変えて釣りを再開した。


思いのほかテールシザーのぶつ切りでも魚は食いついてきた。


(やったー! ごしゅじんつれたよー♪)

「拙者も釣れたで御座る!」


スティンガーとガタクの方も魚が掛かったらしい。


その後、ソイヤーとテザーも魚を次々と釣り上げていった。


結果、計50匹程釣り上げ、私達は巣に戻った。


今日の夕食は巨大メダカの丸焼き。


脂がのっていて結構美味しかった。














「第10回次回予告の道―!」

「ミミズさん、今回もこのコーナーが始まったよ」

「…そうじゃのう」

「ミミズさんどうしたの? 元気ないみたいだけど」

「当たり前じゃろうが! 今回の話、儂の扱い酷過ぎるじゃろうが!」

「今回は作者が日常回を書こうとしたらこうなったらしいよ?」

「だからと言って今回は本当に酷かったぞ!」

「いいじゃねぇかセリフがあるだけ」

「あれ? バノン、何でこのコーナーに?」

「ああ…俺今回の話お前らと一緒に居たのにセリフが一つも無かったからせめてこのコーナーに出ようかと思ってな…」

「な、何かすまん…」

「謝らないでくれ、よりみじめな気分になるから…」

「や、ヤタイズナよ、早く次回タイトルを言ってくれ!」

「わ、わかった! 次回『羽化』! お楽しみに!」



・注意、このコーナーは作者の思い付きで書いているので次回タイトルが変更される可能性があるのでご注意下さい。

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