第37話 虫愛づる姫君の憂鬱
ヤタイズナ達がアメリア王国から出て、二週間が経過した。
「はぁぁ…」
アメリア王国第二王女、オリーブ・アメリアは自室にてため息をついていた。
私は今とても憂鬱です…
本来、お昼過ぎのこの時間はいつも庭園でお茶を飲んだり、ちょうちょさん達を戯れたりするのが私の日課になっています。
だけど…
私は窓の外を見る。
ザァァァァァァァァ………
外は雨が降っていて庭園に出ることが出来ません。
しかもここ最近天気はずっと雨…
おかげでずっと外には出られないのです。
「はぁ…」
私がまたため息をついていると扉がノックされる。
「誰ですか?」
「私だよーお姉ちゃん」
「あらウィズ、待ってね今開けるから」
私は鍵を開けて扉を開く。
「お邪魔しまーす♪」
「ウィズ、こんな雨の日にどうしたの?」
「実はねーお姉ちゃんにプレゼントがあるんだー!」
「プレゼント?」
「じゃじゃーん!」
「こ、これは!」
ウィズが私に見せたのは大きさ30センチ程のカブトムシさんのぬいぐるみだったのです!
「えへへー、どう?」
「嬉しい…ありがとうウィズ!」
「お姉ちゃんが喜んでくれてとっても嬉しいよー!」
私はウィズからぬいぐるみを受け取る。
ウィズは昔から手先が器用でぬいぐるみや服など何でも自分で作っています。
私の誕生日にはいつも手作りのプレゼントをくれるのです。
「でもどうして急にぬいぐるみを私に?」
今日は誕生日でもない普通の日です。なぜウィズは私にプレゼントをくれたのでしょうか?
「それはねー、お姉ちゃん最近元気がないみたいだったから、お姉ちゃんの大好きなカブトムシのぬいぐるみを作ってあげたら元気になってくれるかなーと思ってねー」
「そうだったの…ありがとうウィズ」
私はぬいぐるみを抱きしめる。
カブトムシさんのぬいぐるみはとてもよくできている。
まるで本物のよう……あの方は今何をしているのでしょうか…
「お姉ちゃん、今ヤタイズナさんの事考えてたでしょー」
「えっ! どうして分かったの?」
「お姉ちゃんはヤタイズナさんの事を考えている時、頬が少し赤くなってるんだよ?」
「そ、そうなの?」
「うん」
私は自分の頬に手を当てる。そうなんだ…私ヤタイズナさんの事考えてるとき頬が赤くなっていたんですね…
「お姉ちゃんは本当にヤタイズナさんの事が大好きなんだねー」
「うん…」
私はヤタイズナさんの事が好き。
初めてあったあの時から…ヤタイズナさんの事が好きになった。
むしろ好きにならないわけがない。だって…あんなに素敵な方なのだから…
あの日、庭園でちょうちょさんと戯れていた時、ウィズがヤタイズナさん達を連れてきてくれた。
あの時は嬉しさのあまり叫んでしまいましたけど…今考えるととても恥ずかしいです。
その後ヤタイズナさんの身体を触らせてもらいました。
カブトムシさんを生で見られて、更にその身体を触らせてもらえてとても幸せでした。
ヤタイズナさんと一緒にいるだけで私はとても幸せで、胸がドキドキしました。
私の頭の中はヤタイズナさんの事でいっぱいになりました。
もっとヤタイズナさんと話したい。
もっとヤタイズナさんに触りたい。
もっとヤタイズナさんの事を知りたい。
もっとヤタイズナさんと一緒に居たい。
そんな事ばかり考えていました。
そして私はヤタイズナさんに自分の思いを伝えました。
ヤタイズナさんの事が大好きだと。
ヤタイズナさんは私の思いを嬉しいと言ってくれました! そして、ずっと好きでいてくださいと言われました!
私はとても嬉しくて、とても幸せでした!
だけど翌日、ヤタイズナさんがこの国から出ていく事を聞きました。
あの時、私はこの世の終わりのような気分になりました。
ヤタイズナさんが私の側から居なくなる。
そう考えただけで私は涙が止まりませんでした。
私の側から居なくならないで、私とずっと一緒にいて。そんな想いが溢れていました。
あの時はウィズに言われて何とか泣き止み、ヤタイズナさんを見送りました。
そしてあれからもう二週間が経ちました…
「はぁ…」
ヤタイズナさんは今何をしているのでしょうか…知りたいです。
私は再び憂鬱な気分になりました。
「第9回次回予告の道―!」
「おいどういう事じゃ! 儂らの出番が一切なかったぞ!? あの小娘何が出番が少ないじゃ!」
「ミミズさん落ち着いて…」
「これが落ち着いてなぞいられるか! 次回は儂の出番はあるのじゃろうな?」
「大丈夫! 次回はミミズさんの出番は多いみたいだよ!」
「それは本当じゃろうな!?」
「と言うわけで次回『魚釣り』! お楽しみに!」
・注意、このコーナーは作者の思い付きで書いているので次回タイトルが変更される可能性があるのでご注意下さい。
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