第29話 旅立ち

翌朝、私達はアメリア王国に向かう準備をしていた。


「ヤタイズナよ、王国に向かうメンバーは決めたのか?」

「うん、私とミミズさんにバノン、後はガタクとスティンガーにするよ」

「ガタクはいいとして…スティンガーは大丈夫なのか?」

「うん、私も心配なんだけど、スティンガーがどうしても行きたいって言ってさ」


私が王国行きのメンバーを考えていたら、自分が行きたいとスティンガーがお願いしてきたのだ。


(ぼく、あめりあってところにいってみたい! おねがいごしゅじん! ぼくをつれていって―!)


あんなにお願いされては駄目だなんて言えない、なので私はスティンガーを連れていくことにした。


私の隣でミミズさんがため息をついた。


「お主も甘いのう…」

「まぁ私とガタクがいれば大抵のことは問題ないと思うけど」


私達が話していると、前からウィズが歩いてきた。


「ヤタイズナさん、おはよー!」

「おはよう、朝から元気だね」

「だって今日からアメリア王国に向かうんだよ! お姉ちゃんの喜ぶ顔を考えると嬉しくなるんだー!」

「ウィズは本当にお姉さんが好きなんだね」

「うん! 優しくて綺麗な最高のお姉ちゃんだよ!」

「おーい!」


バノンがこっちに走ってきた。


「バノン、どうしたの?」

「ああ、昨日頼まれたものなんだが、今完成したところだ」

「確か一時間で出来るって言ってなかったっけ?」

「ちょっとドワーフ魂に火が付いちまってな…ほれ、これが完成品だ」


バノンが腕輪を見せてくれた。腕輪にはカブトムシが掘られている。


「これはいい腕輪だね」

「だろ? 特に装飾に手間がかかっていてなー」

「でもこれ、腕輪にしては大きくないか?」

「ああ、途中で角輪に変更したんだ、ほらここが留め具になっていてな」


バノンが角輪の留め具を外して私の角に角輪を取り付けた。


「どうだ?」

「ほう、中々良いではないか」

「ヤタイズナさんいい感じだよー!」

「そう? 自分じゃ分からないからそう言ってもらえると助かるよ、ところでバノン、この角輪は一個しかないの?」

「一応予備にあと2つあるが?」

「ちょうどいいや、それをガタクとスティンガーに付けてくれないか」

「あいつらに? サイズ合うかな…」


バノンがガタク達の所に向かう。


「さて、これで準備は出来たな」

「じゃあ早速出発だね!」


と言うわけで私達は約三日分の食料を持ち、森を出ることにした。


(主殿! いってらっしゃいませ!)

(ご主人様、カトレヤはご主人様の帰りをお待ちしております)

(ご主人、俺、いってらっしゃい言う)

(魔王様! いってらっしゃいであります!)

『ギチチチィィィィィィィィィィィィ!!』


私達の出発をソイヤーたちが盛大に送ってくれた。


「ヤタイズナさんは本当に仲間から慕われているんだね」

「そう見える?」

「うん、だって皆ヤタイズナさんと話していると嬉しそうだったもの、そうでしょガタクさん?」

「当然で御座る!」

(ぼくもごしゅじんとはなすのだいすきだよー!)

「言葉は分からないけどスティンガーちゃんもヤタイズナさんのこと大好き見たいだね」

「そう言われると何か照れるな…」

「珍味さんも本当はヤタイズナさんの事が好きなんだよね?」

「だからミミズさんじゃといっとるじゃろうが! …まぁ、こやつと話すのは嫌いではないが…」

「珍味さん照れてる可愛いー!」

「ミミズさんじゃ! あと照れとらんわ!」


ミミズさんとウィズが言い合っているうちに私達は森を抜け、草原に出た。


「これが森の外か…」

「この草原をまっすぐ進んで行けばアメリアに着くよ」

「よし、じゃあ行くか、ウィズ、ミミズさん、私に乗ってくれ」

「分かった!」

「うむ」

「バノンはガタクに乗ってくれ」

「ああ」


ウィズが私の前胸部に座ると私は翅を広げ空を飛ぶ。


「すごーい!私空飛んでる―!」

「危ないからしっかり掴まっててね」

「うん!」

「お、おい! 俺はどこを掴めばいいんだ!?」

「顎を掴めばよいではないか」

「お前の顎を掴むと手が痛いんだよ!」

(ふたりともうるさいー)


ガタクがバノンを乗せ、脚でスティンガーを掴み空を飛ぶ。


私は空を飛びながら周りを見る。


「綺麗な景色だ…」


あたり一面の草原、そして青い空。


下を見るとグレーウルフの群れが移動している光景や牛の群れなどが見えた。


「お姉ちゃんにもこの光景を見せてあげたいよー!」

「もしお姉さんがいいって言うならお姉さんも乗せてあげるよ」

「ほんとに⁉ 約束だよ―!」


そんな会話をしながら空を飛び、二時間毎に休憩しながら順調に進んでいった。


空を飛んでいると途中で気になる物を見つけた。


「あれは…」


草原を歩く魔物の一団がいた、数にして30匹ほどだ。


「あれはゴブリンだね」


ウィズが魔物の名前を言う、そう、あれはゲームの雑魚キャラで有名なゴブリンと言う魔物だ。


「ウィズ、ゴブリンは草原に住む魔物なの?」

「ううん、最近この辺は魔物が活発化していて本来の生息地から離れている事が多いんだ」

「ほっといて大丈夫なのか?」

「ゴブリンはEランクの魔物だし、問題ないと思うよ」

「そうか、そういうなら放っておいても大丈夫か」


私達はそのままアメリアに向かって進む。


その後も道中は問題なく進み、夜になったので草原に降りて野宿することにした。私は炎の角で持ってきたテールシザーを炙る。


「ヤタイズナさんがいるおかげで火の心配がないよ―!」

「…何か私のスキル便利な火打石みたいになってないか?」

「ないかではなく実質そうじゃろうが」

「あ、やっぱりそうなんだ…」


私はちょっとだけ落ち込む。


「拙者は凄いスキルだと思うで御座る!」

(ぼくもすごいとおもうよ―!)

「うん、ありがとうガタク、スティンガー」


私達はテールシザーを食べてそのまま寝た。











そして二日目。


私達は空の旅を続けていると遠くに城壁が見えた。


「見えてきた!」

「じゃああれが…」

「うん! あれが私の故郷、アメリア王国だよ!」

















「第三回次回予告の道―!」

「今回も作者の思い付きでこのコーナーが始まったぞ!」

「…何かテンション高くない?」

「ふふん、驚くなよ? この作品の累計ポイントが1万を超えたのじゃ!」

「沢山の人が見てくれたんだね…」

「うむ! 儂も嬉しくて今回テンションが上がっているのじゃ! 読者達もこの作品を見てくれてありがとうなのじゃ! では早速次回予告を始めるぞ!」

「今回はついにアメリア王国に着いたね」

「ふふ、ついに私の登場ですね」

「「…誰⁉」」

「私の事は…次回『運命の出会い』を見てくれれば分かりますよ♪」

「おい!何勝手に次回タイトルを言っとるんじゃ! このコーナーの主役は儂」

「では次回をお楽しみに♪」

「無視するなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


・注意、このコーナーは本当に作者の思い付きで作られているので次回のタイトルが変更される可能性があるのでご注意ください。

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