第28話 綺麗な花には鎌がある

卵から生まれた昆虫は1メートル30センチ程のカマキリだった。


身体は白とピンクの美しい色合いをしておりその姿はまるで一輪の花だ。


「ハナカマキリか!」


ハナカマキリとは北東インド、タイ、スマトラ、マレーシアなどの熱帯雨林に生息するカマキリで擬態昆虫の一種として有名だ。


ハナカマキリはその名の通り花に擬態する昆虫でランの花に擬態している。そのあまりにも見事な擬態ぶりは他の植物の上では役に立たないほどだ。


実はハナカマキリは最初から花と言うわけではない。


孵化したてのハナカマキリは赤と茶色の姿で肉食性のカメムシに擬態していて、脱皮を繰り返すことでランの花そっくりに変身するのだ。


ちなみにハナカマキリの英名はランカマキリと言う。


更にハナカマキリには凄い能力がある。


基本的にミツバチなどの昆虫は紫外線を見ることができ、紫外線を吸収する花を認識するのだが、ハナカマキリの身体は紫外線を吸収することができる、つまり花の性質そのものを真似ているのだ。


しかもミツバチが発するフェロモンを出すことができ、ミツバチをおびき出すことが出来るのだ。


ハナカマキリは私が二番目に好きなカマキリだ、あの美しい色合いと可愛らしい見た目が大好きなのだ。


本当に美しい…見てるだけでうっとりしてくるよ…


「どうしたのヤタイズナさん!? なんかぶつぶついってるけど」

「またか…いい加減慣れてきたぞ…さっさと現実に戻ってこんか!」

「あ痛っ!?」


ミミズさんが尾部で私を引っ叩いた。


「痛いじゃないかミミズさん」

「お主がまたぶつぶつと独り言を言い始めたからいつもと同じ方法で戻しただけじゃ」


またトリップしてたのか…反省しないとな。


「キシャァァァァァァ…」


ハナカマキリが私を見ている。そしてそのまま私の元に歩いてきた。


(初めましてご主人様、私の名前は何で御座いましょうか?)

「名前か、そうだな…よし! お前の名前はカトレヤだ!」


カトレヤとはラン科の植物で洋ランの女王と呼ばれる花だ。


美しいこいつにぴったりの名前だ。


(ありがとうございますご主人様、カトレヤはご主人様のために頑張ります♡)


カトレヤが私に頬擦りをしてきた。名前が気に入ったんだろう。私はカトレヤのステータスを確認した。












ステータス

 名前:カトレヤ

 種族:フラワーマンティス

 レベル:1/45

 ランク:B-

 称号:魔王のしもべ

 属性:風

 スキル:気配遮断、花の香り

 エクストラスキル:花の鎌











B-か、やはり規格外の大きさだったから生まれてくる魔物も強い魔物が生まれたようだな。


「カトレヤ、とりあえずお前は他のしもべに挨拶して来い」

(分かりました)


カトレヤはガタク達の元に向かった。


「ヤタイズナさん、あの卵って何だったの?」

「ああ、あれはね」


私はスキル昆虫召喚の事をウィズに教えた。


「あの卵ヤタイズナさんが召喚したの!? すごーい!」

「そんなに凄いのこのスキル?」

「うん! だって魔物の卵を召喚するスキルなんて見たことがないもん! ヤタイズナさん凄すぎるよ!」

「ふふん、そうじゃろう!」

「何でミミズさんが誇らしげなの?」

「昆虫召喚は元々儂のスキル! つまり昆虫召喚を褒めると言う事は儂を褒めていると言う事なのじゃ!」


ミミズさんが超嬉しそうにエッヘンとしている。


どうやら私に言われた糞スキルと言う言葉をまだ根に持っていたらしい。


「ところでウィズ、さっきの話の続き何だけど…」

「えっと、私の国の名前だっけ? 私の国はアメリア王国って言うの!」

「アメリア王国…」


バノンが教えてくれた国か。


「とりあえず今日はもう遅いし、明日出発の準備をしよう」

「うん!」


夜になったので私達は夕食にすることにした。


今まで私達は倒した昆虫を生で食べていたのだが、私が進化したことにより調理方法が一つ増えた。


そう、炎の角で昆虫を炙ることが可能になったのだ。


今日の夕食はテールシザーの姿焼きだ。大変美味だった。


「私テールシザーは初めて食べるよー」


ウィズも美味しそうに食べている。


「いやーヤタイズナが炎の角を覚えてくれたおかげで美味い食事が食べられるようになったわ!」

「まったくで御座るな」

(美味しい~♪)

(本当ですね)


皆で楽しく食事をしながら夜は更けていった。



















「第2回次回予告の道ー!」

「さぁ今回も作者の思い付きでこのコーナーが始まったわけなのじゃが…」

「何か問題でもあるの?」

「うむ…このコーナーって必要なんかのう」

「いきなり何言ってんの!?」

「いや、このコーナーは結局作者の思い付きじゃろ? 読者はこのコーナーいらないと思っとるのかもしれんと思ってのう…」

「悩んだって何とかなるわけじゃないんだし…気にしないでいいんじゃない?」

「そうじゃのう…いつまでも落ち込んでいても始まらん! 早速次回予告を始めるぞ!」

「今回生まれてきた昆虫はハナカマキリだったね」

「うむ、作者のお気に入り昆虫の一種でのう…というかこの作品の登場昆虫のほとんどが作者の趣味で選ばれとるからのう」

「作者はもっとたくさんの昆虫を出したがってるみたいだしね」

「うむ! これからもどんどん新たな昆虫を召喚していくから楽しみにしているのじゃ!」

「次回はついにアメリア王国に出発だね!」

「その通り、新たなる出会いが儂らを待ち構えているのじゃ! と言うわけで次回『旅立ち』!」

「結局今回も次回予告できてないね…」

「「では次回をお楽しみに!!」」


・注意、このコーナーはマジで作者の思い付きなので次回タイトルが変更される可能性があるのでご了承ください。

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