第84話 黄のザハクⅡ

「オラァ!」

「ハァァッ!」


私の炎の角とザハクの戦斧がぶつかる!


「ぐわああっ!?」

「ぐぬぅ!?」


炎の角と戦斧がぶつかった衝撃で私とザハクは後ろに吹き飛ばされる!


「くっ! 《斬撃》!」


私は直ぐに態勢を整え、ザハクに斬撃を飛ばした!


「ふんっ!」


ザハクは斧を振り斬撃を弾き、そのまま私に向かって突進してくる!


「ハァァァァッ!!」


ザハクは戦斧を私に振り下ろす!


「《炎の角》!」


私は炎の角でザハクの戦斧を受け止めた!


くっ、重い…!


「ぬぅぅぅぅぅぅ…!」


ザハクは力を込めて戦斧を押し進めようとする。


凄い力だ…しかし負けるものかっ!


「オラァァァァァァァッ!」

「ぬぅ!?」


私は全身に力を込め、戦斧を押し返した!


「喰らえっ!」

「ぐぅっ!」


私は炎の角でザハクの甲冑を焼き切る!


「ハァァァァァッ!」


私の攻撃を受けながらもザハクは私に戦斧を振り下ろした!


「ぐぅぅぅっ!?」


戦斧は私の前胸部に直撃した!


ザハクの攻撃を受けた私は後方に飛ばされたが、直ぐに態勢を整えて地面に着地した。


痛ぅ…前胸部が少しへこんだみたいだ…


私は前方のザハクを見る。


「ぬぅぅ…私の鎧に傷を付けるとは…やはり出来る」


私の炎の角はザハクの甲冑に傷を付けたが、ザハク自身にはダメージは無いようだ。


「殿! 大丈夫で御座るか!?」

(ごしゅじんだいじょうぶー!?)

(主殿、大丈夫ですか!?)

(ご主人様ー!)

(俺、ご主人、大丈夫?、言う)

(御主人様、大丈夫ですの!?)

(ご主人、大丈夫ですか?)


ガタク達が私を心配して駆け寄って来る。


「大丈夫だ、それよりもスティンガー、ソイヤー、ハピリオ、テザー、カトレア、ベル、お前達は魔獣王を助けに行ってくれ」

(わかったー!)

(了解しました!)

(分かりましたー!)

(俺、分かった、言う)

(分かりましたわ!)

(了解です!)


スティンガー達が魔獣王の元に向かう。


「よし、行くぞガタク!」

「了解で御座る!」


私とガタクはザハクに向かって突進する!


「《斬撃》!」

「《鎌鼬》!」


私とガタクは斬撃と鎌鼬をザハク目掛けて撃ちだす!


「ハァァァァァ!!」


ザハクは戦斧を振り斬撃と鎌鼬を全て弾いていく!


「喰らうで御座る! 《風の大顎》!!」


ガタクが風の大顎でザハクを攻撃する!


「フンッ!」


ガタクの風の大顎とザハクの戦斧がぶつかる!


「貴様もネームドか…しかし私が戦いたいのはあの一本角の魔物のみ、貴様に用はない!」

「ぐはぁっ!?」


ガタクは力負けして後方に吹き飛ばされる!


「ガタク! くっ…」


斬撃も駄目、真っ向からの攻撃も駄目か…こうなったらアレで行く!


「《昆虫召喚》!」


私の前に80センチ程の昆虫の卵が出現する。


「何だ!?」


突然現れた卵にザハクは警戒している。


「ガタク! 奴の動きを止めてくれ!」

「了解で御座る! 《鎌鼬》!」


ガタクが鎌鼬を撃ちだす!


「無駄だっ! その攻撃は私には効かん!」


ザハクは斧を振り回し斬撃を弾いていく!


「今だっ! 喰らえぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」


私はザハク目掛けて昆虫の卵を打ち出した!


昆虫の卵は高速回転しながら一直線にザハクに向かって飛んで行く!


「そんな物! 打ち返してくれるわっ!」


ザハクが戦斧で昆虫の卵を打ち返そうとするが、昆虫の卵に当たった戦斧にヒビが入る!


「な、何だと!? 戦斧が!?」


昆虫の卵は高速回転を続け戦斧のヒビがどんどん広がっていく!


「ま、不味い! ぬぅぅぅぅぅ!」


ザハクは力任せに戦斧を動かし、昆虫の卵の軌道を変更させる!


遂に戦斧は砕け散り、昆虫の卵はザハクの左肩を丸ごと抉り貫通した!


「ぐあああああああああああ!?」


ザハクの左腕が地面に落ちる。


昆虫の卵はそのまま200メートル先の地面に落ちていった。


「ぐ、ぐぅぅぅ…」


ザハクが抉り取られた左肩をおさえている、今がチャンスだ!


「《炎の角・槍》!」


私は炎の角・槍を使ってザハクに突進する!


「ハァァァァァァ!」

「ぐあああああああああ!?」


炎の角・槍がザハクの甲冑を溶断! そのまま身体を貫通する!


「馬鹿な…この私が…」


私が角を抜くと、ザハクは後ろに下がって行く。


「ごはぁっ! まだだっ…まだ終わっていない…!」


ザハクは懐から黄色の珠を取り出した。


何だあの珠は? あれで何をする気なんだ?


「はぁっ…はぁっ…魔人王様…私に勝利を…!」


ザハクは黄色の珠を炎の角・槍で貫かれた傷口に埋め込んだ!


そして次の瞬間、ザハクの身体に異変が起きた!


「…ぐ!? ガアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?」

「な、何だ!?」


ザハクの身体がボコボコと膨れ始めたのだ!


私は後ろに下がり、警戒する。


「ガアアアアア、アアアアアア、ア、アア……」


ザハクの身体はどんどん膨れ上がり、巨大な肉の塊となった。


その大きさは6メートルを超えている。


「殿、これは一体…」

「分からない、だが警戒した方が良いだろう…」


しばらくの静寂の中、肉の塊から何かが聞こえてきた。


ドクン……ドクン……ドクン……ドクン…


肉の塊から鼓動が聞こえる。


何だ…?


ドクン…ドクン…ドクン…ドクン…ドクン…


鼓動は段々と早くなっていく。


これは…まさか!


私はある仮説を立てる。


この肉の塊は昆虫で言う蛹のようなモノで、内部でザハクは何か別のモノに変態しようとしているのではないのか!?


もしそうだとしたら不味い!


「ガタク! この肉の塊を破壊するぞ! 《炎の角》、《斬撃》!」

「了解で御座る! 《鎌鼬》!」


私とガタクは肉の塊を攻撃するが、肉の塊は外面が硬質化しているらしくびくともしない。


ドクンドクンドクンドクンドクンドクン…


肉の塊から聞こえる鼓動が速さを増していく!


そして遂に、肉の塊に亀裂が入る!


ピキピキ、ピキピキピキピキ…


亀裂から赤い液体が漏れ始めた。


肉の塊は崩れ落ち、中から巨大生物が姿を現した。


「あ、あれはまさか!?」


私は中から現れた巨大生物を凝視する。


出てきた生物は3メートル半はある昆虫だ。


頭に生えた角、6本の長い脚、左右斜め前に突出した胸角、全身に生えたビロード状の黄土色の毛、あれは…あの昆虫は!



「エレファスゾウカブト…!」

「ギュオォォォォォォォォォォォォォォォ!!!」



私の言葉に応えるように、エレファスゾウカブトは大きな産声を上げた。


















「第44回次回予告の道ー!」

「と言うわけで今回も始まったこのコーナー!」

「遂に私以外のカブトムシが登場したよミミズさん!」

「そうじゃのう、しかしまさか敵として出てくるとはのう…」

「そこは残念なんだよね…」

「まぁそんなことでくよくよしたって仕方ない! 早速次回予告を始めるぞ!」

「次回は本作初のカブトムシ同士の戦い! 絶対に勝って見せる! 次回『カブトvsエレファスゾウカブト』!!」

「「それでは、次回をお楽しみに!!」」

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