第83話 黄のザハクⅠ

「《炎の角》!」

「ぎゃあああああ!?」


私は炎の角で敵を焼き切る!


「喰らうで御座る! 《鎌鼬》!」

「ぐあああああ!?」

「ぎゃああああ!?」


ガタクの鎌鼬が敵を切り裂く!


「つ、強い!」

「何なんだこの魔物達は!?」

「狼狽えるな! 数では我々が圧倒的に有利だ! 一斉に攻撃するんだ!」


敵が一斉に私達に襲い掛かって来る!


先程まで私達は魔獣王の後を追って雪原を進んでいた。


しばらく進んで行くと、前方に謎の集団が見えた。


魔獣王を山神と言って崇めている村の人間かな? と思い私達は念の為にバノンを先頭にして謎の集団に近づいた。


謎の集団に近づいた私は、謎の集団が村人ではない事が分かった。


謎の集団は黄色のマントで身を包み、槍や剣などを持っていたのだ。


野盗か何かか? 


そう考えた時、私達に気付いた謎の集団が突然襲いかかって来たのだ!




こうして私達は謎の集団と戦う事になったのだ。


一体何者なのか、何故襲って来るのかは分からないが、今は自分達の身を守る事だけを考えよう!


「《斬撃》!」


私は斬撃で敵の首を切り落とす!


「《風の大顎》!」


ガタクが風の大顎で敵の胴体を真っ二つに切断する!


(くらえー!)

(受けるがいい! 《斬撃》!)

(《岩の鋏》! 死ねぇ!)


スティンガー達も次々と敵を倒していく。


(《風の翅》、《鱗粉》! えーい!)

(今日の獲物は不味そうですわね…《花の鎌》!)


花の鎌の匂いと鱗粉が敵を包み込む。


「な、何だ…身体が…!?」

「ひ、ひいいいい!? 俺の足に、足に毒虫の大群がぁぁぁ!?」

「あ、ああああああ…」


鱗粉を浴びた者達は麻痺して動けなくなったり、幻覚を見て叫んだりしている。


そして花の鎌の匂いによってカトレアの元に行った者達は鎌で首を刈られている。


(《氷の牙》!)


リュシルも氷の牙で敵を倒している。


ミミズさんとバノンは地面に穴を掘り、そこで隠れている。


私達は敵を倒しながら前に進んでいった。


すると前方に鎖がついている巨大な六本の柱が宙に浮いている光景が見えた。


「何だあれは…! あれは!?」


六本の柱に囲まれ、鎖で縛られて倒れている魔獣王の姿が!


「一体何があったんだ!? とにかく助けないと…」


私が魔獣王の元に行こうとした時、空から何かが私に向かって落ちてきた!


「っ!?」


私は後ろに跳んで何かを回避した!


「何だ!?」


私は落ちてきた物を見る。


落ちてきたのは、1メートル半程の戦斧だった。


「今の攻撃を回避するとは…やはり出来るな」


前方から体長2メートルはある黄色のプレートアーマーの男が現れた。


兜には、鬼の角のような二本の角の装飾が付いている。


私はこいつが謎の集団のリーダーだろうと確信した。


「お前達は一体何者だ? 何故私達を攻撃してきた?」


私が喋ると、黄色のプレートアーマーの男が少し驚いていた。


「なんと、ネームドだったか…いや、あのサイクロプスを倒した従魔だ、ただの従魔ではない事ぐらい考えれば分かる事か」


サイクロプスだって!?


この男、アメリアの時のサイクロプスと何か関係しているのか⁉


「さっき何者なのかと聞いたな? 教えよう…」


私が考えていると、黄色のプレートアーマーの男が名乗り始めた。


「私はザハク! 魔人軍最高幹部、『六色魔将』が一色! 黄のザハクだ!」


魔人軍? と言う事はこの男は魔人と言う種族なのか…


ん? しかしミミズさんに聞いた話に魔人なんて種族がいるなんて聞いていないぞ、どういう事なんだ?


「魔獣王を封じた今、敵は居ないと思っていたが…ブロストめ、何が絶対に安全な作戦だ…まぁ良い、今は目の前の敵を倒すことに集中するのみ」

「っ!」


私はザハクから距離を取り、戦闘態勢を取った!


ザハクは戦斧を地面から引き抜き、構えを取る。


「六色魔将、黄のザハク…参る!」

「…《炎の角》!」


私とザハクは同時に動き出した!

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