第45話 更なる忠義
いつもより早く起きた私は、巣の外に出るとガタクが歩いていた。
「おはようガタク、こんな朝早くにどこ行くんだ?」
「殿、おはようございますで御座る、少し散歩に行こうと思いまして」
「散歩か…ガタク、私も一緒に行ってもいいかな?」
「勿論で御座る! ではどこに行かれるで御座るか?」
「そうだな…ガタクがいつも散歩している場所に行ってみたいな」
「分かったで御座る」
「む? 何じゃお主ら散歩に行くのか? なら儂も連れていくのじゃ!」
私とガタクとミミズさんは森に散歩に向かった。
私達は今、南の森の西側を歩いている。
「そう言えばガタク、確かもう少しでレベル上限に達するんじゃないか?」
「はい! 現在のレベルは38で御座るので、もう少しで進化することが出来るで御座る!」
「おお、もうすぐではないか」
「そうか、ガタクが進化するのを楽しみにしてるよ」
「お任せを! 直ぐに進化し、殿の役に立って見せるで御座るよ!」
「はは、頼もしいな」
その後、散歩を続けていると、ローリングコガネに遭遇した。
前と同じように転がって来たが、ガタクの斬撃によって真っ二つになった。
その後、テールシザーやリトルホッパーなどと戦った。
ちなみにオオカメムシとも遭遇したが、臭かったのでまたスルーした。…何度も言うが本当に臭い。
そのまま西側を散歩し、西の森との境界線近くまで来た。
「ここまでが拙者がいつも散歩している道で御座る」
「ここで終わりか、それじゃあ戻るか…ん?」
「何じゃ?」
巣に戻ろうと思ったその時、後ろから何かの気配を感じた。
私達は警戒しつつ、戦闘態勢を取る。
すると突然地面から魔物が私目掛けて飛びだしてきた!
「ギシャアアアア!」
「うわっ!?」
「ぬおおお!?」
私は飛び出してきた魔物を避ける、魔物は再び地面に潜った。
「今のは…ミミズだな」
「ん? 呼んだか?」
「ミミズさんの事じゃなくて、今の魔物がミミズだって言ったんだよ」
そう、今飛び出してきたのはミミズだった。
しかし、この森に来て初めてミミズさん以外のミミズを見たな…
私がそう考えていると、地面からミミズが出てきた。
「ギシャアア…」
現れたミミズは今見えている部分だけで体長1メートルはあり、頭部には水晶玉のような眼が三つ、口の部分には6本の牙が生えていた。
私はミミズに鑑定を使い、ステータスを確認した。
ステータス
名前:無し
種族:ジャイアントワーム
レベル:5/35
ランク:C
称号:無し
属性:地
スキル:硬質化、脂肪の鎧
エクストラスキル:穴堀の名人
Cランクか…始めて見る魔物だし注意しないとな…
「ギシャアアアア…」
「な、何じゃ!? あ奴儂を凝視しとるぞ!?」
ジャイアントワームがこちらを…というかミミズさんを見て涎を垂らしている。
またミミズさん目当てか。
「ミミズさん、あいつミミズさん目当てらしいから下がってて」
「また儂を食おうとする奴なのか…分かった」
「ギシャアアアア!」
ジャイアントワームがミミズさん目掛けて飛び出してきた!
「《斬撃》!」
私はジャイアントワームに斬撃を繰り出す!
斬撃がジャイアントワームに直撃する!
「ギシャアア!」
しかしそんなに聞いていないのか、そのまま突進してくる。
「それなら、《炎の角》!」
私は炎の角を使いジャイアントワームの腹部を攻撃する!
「おらぁ!」
「ギシャアアアア!?」
今度は聞いたらしく、ジャイアントワームが身体をくねらせ苦しんでいる。
「喰らうで御座る! 《鎌鼬》!」
ジャイアントワームが苦しんでいる隙にガタクが鎌鼬で攻撃する!
「ギシャアアアア!」
全身に鎌鼬を喰らったジャイアントワームが鳴き声を上げる。
「ガタク、同時に斬撃を使うぞ」
「承知で御座る!」
私とガタクは同時に飛んだ。
「「《斬撃》!!」」
そしてそのままジャイアントワーム目掛けて同時に斬撃を放った!
「ギシャアアアアアアア!?」
同時斬撃がジャイアントワームの身体を切断した!
切断された上半身が地面に落ち、そのまま動かなくなった。
それと同時に頭に声が響く。
《ジャイアントワームを倒した、ヤタイズナはレベル30になった。》
レベルが上がったか、あと20レベル上げれば進化できるな。
そう思っているとガタクが私に嬉しそうに話しかけてきた。
「殿! 今の戦いで拙者のレベルが最大になったで御座る!」
「おお! それじゃあ進化出来るんだな!」
「はい! ではさっそく進化するで御座る!」
その言葉と共にガタクの身体が光りだした。
「どうなるんだろうか…楽しみだな」
わくわくしながら待っていると発光が終わり、ガタクの姿が見えてきた。
「あれ、変わってない?」
進化したガタクはマンディブラリスフタマタクワガタの姿のままだった。
変わったところと言えば大顎が長さ70センチ程になり、大顎を合わせて体長2メートル程になっていて体の色が青黒色に変化していると言う事ぐらいだ。
私は進化したガタクに鑑定を使った。
ステータス
名前:ガタク
種族:ウィンドブレードスタッグビートル
レベル:1/50
ランク:B
称号:魔王のしもべ、昆虫の戦士
属性:風
スキル:斬撃、斬撃耐性、剣技
エクストラスキル:鎌鼬、剛力鋏
ユニークスキル:風の大顎
おお、Bランクになったのか。
ウィンドブレードスタッグビートル…また名前長くなったな…
そしてユニークスキルに風の大顎というスキルがある。
これは恐らく私の炎の角のと同じようなスキルなのだろう。
それにしても…なぜ進化しても見た目はそんなに変わらないのだろうか? 謎だ…
「殿、進化した拙者はどうで御座るか?」
「うん、前の色も良かったけど…今の色も結構似合っていて良いな、それに前よりも強そうに見える」
「ありがとうで御座る! このガタク、殿に更なる忠義をお約束するで御座る!」
「ああ、よろしく頼むよ」
こうしてガタクは進化し、より頼もしくなった。
その後、私達はジャイアントワームを運びながら巣に戻った。
進化したガタクを見て、スティンガー達は驚いていた。
その夜、ジャイアントワームを解体して、白焼きにしてみた。
食べてみたが、ウィズの言っていた通りワームはとても美味しかった。
「おお、美味いではないか!」
「美味いで御座る!」
(おいしい~♪)
(美味です!)
(絶品です~)
(俺、美味い、言う)
(本当に美味しいですわ)
(こんな美味しいもの生まれて初めて食べました)
(美味すぎるであります!)
『ギチチチチィィィィィィ!』
ワームを食べている間、しもべ達の脳裏にある疑問が浮かんでいた。
((((((非常食も本当に美味いのでは…?))))))
「な、何じゃ!? 何やら寒気が…」
何かを感じ取ったのか、ミミズさんは身震いしていた。
「第17回次回予告の道―!」
「と言うわけで今回も始まったこのコーナー!」
「今回進化したのはガタクだったね」
「うむ、このままいけば申し分ない戦力になってくれるじゃろうな、では次回予告を始めるぞ!」
「次回はウィズが私達の元に再び来るみたいだよ」
「あ奴か…なんかまた面倒なことが起こりそうじゃのう」
「それでは次回『ウィズとの再会』! お楽しみに!」
・注意・このコーナーは作者の思い付きで書いているので次回タイトルが変更される可能性があるのでご注意下さい。
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