第157話 スティンガーの決意Ⅲ

「ジィィィィィィィッ!」


「《炎の角》!!」





オ・ケラの右前脚と私の炎の角がぶつかり合い、火花を散らす!





「ギシシシシィィィィ!」


「ギチュチュチュ!」





その間に、サソリモドキとヒヨケムシがスティンガーに襲いかかる!





(くらえーっ!)


「ギチュチュチュァァッ!?」





スティンガーは勢いよく尻尾を振り、尻尾に直撃したヒヨケムシが吹き飛ぶ!





「ギシシシィッ!」





サソリモドキがスティンガーに近づき、触肢でスティンガーを攻撃!





(くらわないよっ!)





スティンガーが両前脚の鋏で触肢を掴んだ。





(このままひきちぎってやるー!)


「ギシシシシィィィィッ!?」





スティンガーは挟む力を強め、サソリモドキの触肢が音を立てて挟み潰されていく!





「ギ、ギシシィィッ!」





抜け出せないと判断したサソリモドキは、尾部をスティンガーに向ける!





(させるかー!)


「ギシィィィィィィ!?」





酸液を噴射させる前に、スティンガーは身体を回転させてサソリモドキを振り回し、そのままぶん投げた!





「ギシシシシィィィィィィィィ!」


「ビャハハハハハ!」





ビャハは自らに向かって飛んで来るサソリモドキを見て笑いながらも、横に回避する。





「お前さっきのサソリかぁ……こいつは面白れぇ! 楽しませてもらうぜぇ!」





そう言ってビャハはスティンガー目掛けて走り出した!





(もうさっきみたいにはいかないぞー!)





スティンガーは鋏で地面の砂をビャハの正面に撒き散らせた!





「チィーッ!」





ビャハは舌打ちし、後方に下がりスティンガーの出方を探る。





「砂に紛れて奇襲……それとも正面突破かぁ?」





薪散った砂が収まるのを待ち続けるビャハ。





……しかし、砂が収まったあと、スティンガーの姿が消えていた。





「あぁ? 消えた……いや、下かぁ!」





ビャハが地面を蹴り跳ぶとほぼ同時に、ビャハのいた場所からスティンガーの鋏が飛び出してきた!





(くそー……)


「喰らえぇぇッ!」





ビャハが空中からスティンガー目掛けて槍を投擲!





(ふんっ!)





自分に向かって飛んで来た槍を、スティンガーは右の鋏で掴んだ!





(どんなもんだー!)


「ビャハハハ、やるなぁ!」





ビャハはスティンガーが掴んでいる槍に手を向けると、槍がビャハの元に戻ろうと動き出した。





(うわぁっ!? すごいひっぱられるよー! なにこのやりー!? まるで生きてるみたいだよー)





スティンガーは驚きながらも槍を離さないように掴み続ける。


しばらくすると、槍は動かなくなった。





「ビャハハハハハ! 凄ぇ力だなぁ」





槍を奪われながらも、ビャハは不敵に笑っていた。





……それにしてもスティンガー、本当に強くなったな……嬉しい限りだ。





「ジィィィィィィィィィィィィィッ!」


「ッ!」





今はそんなこと考える暇は無いか!





「《炎の角》、《斬撃》!」





私は飛び掛かってきたオ・ケラの攻撃を避け、近距離で炎の斬撃を放つ!





「ジィィッ!」





しかしオ・ケラは即座に両前脚を盾のようにして炎の斬撃を防ぐ!





「ジィィィィィッ!」


「ぐはぁぁぁっ!?」





そしてそのまま私目掛けて右前脚を振り、私は後方に吹き飛ばされる!





「ジィィィィィィィィィィッ!」





さらなる追撃を行うためにオ・ケラは翅を広げ、私を追って来る。





このままでは……何とか打開策を……





(ごしゅじんー!)





声が聴こえ、飛ばされながら前を見ると、スティンガーの姿が。





そうだ! この手なら!





「スティンガー、尻尾で私を受け止めろ!」


(わかったー!)





私の指示を聞き、スティンガーが私を受け止めるために走り出した。





私は空中で態勢を変え、脚を広げスティンガーの尻尾を掴んだ!





「思いっきり尻尾を振り回すんだ!」


(うん! いくよー!)





スティンガーは尻尾を勢いよく振り回す!





「ジィィィィィィ!」





オ・ケラがどんどん近づいてくる。





まだだ……もっと引き付けて……





「ジィィィィィィィィィィィィィ!」


「よし! 今だぁぁぁぁぁっ!」





ギリギリまでオ・ケラを近づけた私は脚を離し、物凄い速さでオ・ケラへと飛んで行く!





「ジィィィッ!?」


「もう遅い、《炎の角》! 喰らえぇぇぇっ!!」





オ・ケラは突っ込んでくる私に気付いて防御しようとしたが、間に合わずに私の高速の突進をもろに喰らった!





「ジィィィィィィィィィィィィィ!?」





鋼鉄の首輪がへこみ、オ・ケラは口から体液を吐きながら遥か後方に吹き飛んで行った。





……あの突進でもへこんだだけか……だが本体にもダメージがあったようだな。





(やったー! あいつとんでったー!)


「これでしばらくは戻っては……っ! スティンガー後ろだ!」


「ギシシシシィィィィ!」





スティンガーの背後からサソリモドキが酸液を噴射する!





(こいつー!)





スティンガーは振り返り、鋏で砂を巻き上げて酸液を防ぐ。


そしてそのままサソリモドキに近づき、左の鋏で左触肢を挟み、右の鋏で掴んでいる槍をサソリモドキの右触肢の関節部分に突き刺した!





「ギシシシシィィィィ!?」


(くらえー!)





スティンガーはサソリモドキの頭胸部に尻尾の毒針を突き刺した!





毒針はサソリモドキの外骨格を突き破り、体内に毒液を注入する。





「ギ、ギシィィィィ!?」





毒液を注入されたサソリモドキは痙攣し、口から体液を吐き出した。





「ギシ、ギシシィィ……」


「ギチチチィィィィィィ!」





サソリモドキの声が弱弱しくなる中、ウデムシが大きな触肢を広げ、スティンガーに突進してくる!





(っ! おりゃー!)





スティンガーがサソリモドキをウデムシ目掛けてぶん投げる!





「ギチチチィィィ!」





ウデムシはサソリモドキを触肢で受け止め、そのまま後方に下がって行く。





「ギチチチィィィィィィ……」





ウデムシは痙攣するサソリモドキを地面に置き、まるで心配しているような動きをしており、そこにビャハとヒヨケムシが来る。





「チィーッ、一匹やられちまったか」





そう言うとビャハはサソリモドキに突き刺さっている槍を引き抜いた。





「奴の手に槍が戻ってしまったか……」


(ごめんごしゅじんー……ぼくがあいつごとなげちゃったからー)


「落ち込まなくて良いよ」





私達とビャハ達が睨み合う中、横から声が聴こえてくる。





「大丈夫かヤタイズナー!」


「儂らが来たからにはもう大丈夫じゃ!」


(ご主人様!)


(ご主人!)


(どうやらスティンガーの奴、戦えてる見たいっすね)


「ミミズさん、バノン、それにお前達!」





ミミズさん達とウモウ達がこちらにやって来る。よし、これで数ではこちらが有利だ。





(ドラッヘー、フェネは?)


(流石にあの状態で連れてはいけないっすからね、このミミズに頼んで穴掘ってもらってそこに隠しているッス)


「おい貴様! ちゃんとさん付けで呼ばんか! なんか呼び捨てだとそれはそれで癪に触る!」


「今そこを突っ込んでる場合じゃないだろう……」





私達の数が増えたのを見て、ビャハが愉快そうに笑う。





「ビャハハハハハハハハハハ! こいつはちょっと不利かもしれねぇなぁ……仕方ねぇ、本気出すかぁ……」





ビャハがそう言ったその時、突如地面が揺れ始めた!





「ぬおおおおおおおお!?」


「い、一体何だ!?」





皆が揺れに戸惑う中、地面から巨大生物が飛び出してきた!








「キシャアアアアアアアアアアアアア!!」





「あ、あれは、モンゴリアンデスワーム!?」





そう、地面から現れたのは、以前に私達をバラバラにはぐれさせた巨大ミミズ、モンゴリアンデスワームだった。


















































「第83回次回予告の道ー!」


「と言うわけで、今回も始まったこのコーナー!」


「進化したスティンガーのおかげで戦況も変わり、優勢になり始めたかと思ったら、再び出てきたモンゴリアンデスワーム!」


「どれだけ儂らに迷惑かけるつもりなのじゃろうな……」


「まだ見つかっていない仲間たちの安否も気になる中、更なる乱戦になってしまうのか!?」


「それでは、次回『目覚めし者』!」


「「それでは、次回をお楽しみに!!」」





・注意、このコーナーは作者の思い付きで書いているので次回タイトルが変更される可能性があるのでご注意下さい。

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