第202話 大樹海、炎上Ⅳ
「うおおおおおおおっ!」
「ビャハハハハハハハッ!」
私の炎の角とビャハの槍がぶつかり合う!
「っ……おらぁっ!」
私は炎の角を振り、ビャハを後方へ弾き飛ばす!
「ビャハァッ! 喰らえやぁっ!」
飛ばされながらも、ビャハは私目掛けて槍を投擲する!
私は飛んできた槍を角で弾き、槍は木に突き刺さった。
「《斬撃》、《操炎》!」
私は無防備となったビャハ目掛けて炎の分裂斬撃を撃ち放つ!
「ちぃーっ!」
ビャハは右手を槍にかざすと、槍がひとりでに木から抜け出し、ビャハの元に飛んで行く。
そして槍を手にしたビャハが炎の分裂斬撃を弾いていく。
「くっ……」
「いいねいいねぇ! やっぱり戦いはこうでなくちゃなぁ! もっともっと楽しもうぜ一本角ォォッ!」
ビャハは狂気に満ちた笑い声を上げながら、私に突っ込んでくる!
「ギチュチュチュチュ!」
「《風の大顎》!」
ガタクの左の風の大顎とヒヨケムシの鋏角が激突し、両者とも吹き飛ばされる!
「ぬぅっ! 《鎌鼬》!」
「ギチュチュ!」
ガタクの周囲に鎌鼬が現れ、ヒヨケムシは周囲の地面から土玉を作りだす。
「喰らうで御座る!」
「ギチュチュチュチュ!」
鎌鼬と土玉がぶつかり合い、相殺されていく。
「ギチュチュチュゥゥゥゥゥッ!」
ヒヨケムシが鋏角を地面に突き刺し、土を掘り返してガタク目掛けて投げつけ、土煙を起こした!
「こんなもの!」
風の大顎を振り風邪を発生させ、周囲の土煙を払うが、ガタクの正面に居たヒヨケムシの姿が消えていた。
「何ッ!?」
「ギチュチュチュチュチュチュッッ!!」
ガタクの背後からヒヨケムシが跳び掛かる!
「なんの……これしきぃっ!」
「ギチュチュァァ!?」
ガタクは左の大顎でヒヨケムシの飛び掛かり攻撃を受け流し、ヒヨケムシはそのまま地面に激突した!
「ギ、ギチュ……」
「とどめで御座る!」
「ビャハハハハ、させるかよぉっ!」
私と戦闘中のビャハがガタク目掛けて槍を投擲!
「ガタク、危ない!」
「ぬぅっ!?」
ヒヨケムシに攻撃しようとしていたガタクは即座に左大顎で槍を弾くが、その隙にヒヨケムシがガタクから逃れ、距離を取った。
槍は再びビャハの手元に戻る。
「ギチュチュチュチュ……」
「仕留め損ねたか……しかし勝負はこれからで御座る!」
「《暴風の鎌》!」
「ギチギチギチギチィィィィッ!」
エンプーサが暴風の鎌でウデムシを切り裂こうとするが、ウデムシは長い脚を使い巧みに距離を取り、暴風の鎌を回避、そして触肢を伸ばして中距離から攻撃する!
「……《大鎌鼬》!」
エンプーサの周囲に巨大な風の刃が出現、ウデムシ目掛けて一斉に射出される!
「ギチギチギチ!」
しかしウデムシは跳躍して木に登り、素早い動きで木から木に乗り移りながら大鎌鼬を回避する。
「ギチギチィィィッ!」
そしてまた中距離からの攻撃と、ヒット&アウェイな戦い方をし続けている。
「ええい、ちょこまかと……ヤタイズナ! 死神の暴風刃を使わせろ!」
「駄目だ! こんなに集まった場所でやればガタク達にも被害が及ぶ!」
確かに死神の暴風刃を使えば敵を一掃できる……しかし最悪の場合私やガタク達が巻き添えになる可能性があるため、今は無差別攻撃は使用しない方が良い。
「ええい、命令を聞かねば戦わんと言うし……なんとイラつく戦いだ……」
そう言った後、エンプーサは攻撃を止め、その場で静止する。
「ギチギチ?」
その姿を警戒しながら、ウデムシはエンプーサの後ろに回り込み、触肢を大きく広げ捕獲の態勢を取り、エンプーサをの腹部目掛けて一気に飛び掛かる!
「《暴風》」
「ギチギチュアッ!?」
だがエンプーサはウデムシの真下に突風を発生させ、上空に吹き飛ばした。
「全くイライラする……貴様との戦いはあの植物と同じでつまらん! どこかに吹き飛んでいろ! 《暴風》、《暴風》、《暴風》、《暴風》ッ!!!」
「ギ、ギチギチギチィィィィィィィィィ!?」
エンプーサの連続暴風によって、ウデムシは樹海の何処かへ吹き飛ばされていった。
「《岩の槍》!」
「ぐぎゃあああ!?」
「があああああっ!?」
ゴリアテが両前脚で地面を叩き付けると、地面から大量の尖った岩が飛び出し、白マントの魔人達を突き刺していく!
「よっしゃ! その調子やでゴリアテー!」
「くそっ……全員、あの金色から仕留めろ!」
白マントの魔人達が剣を構え、ゴールデンに襲い掛かろうとする!
「えっ!? ちょっ待ってやぁぁっ!?」
「ぬぅんっ!」
「ごはぁっ!?」
「げぶぁっ!?」
ゴリアテが前脚を振り、魔人達を薙ぎ払う!
「助かったわゴリアテ~」
「調子に乗ってないでお前も戦え!」
「無理やって~……こいつら属性攻撃してこうへんし……」
「だったらさっさと何処かに隠れていろ!」
「今んところゴリアテの傍が一番安全やし……」
「だったら黙ってろ! 《岩の槍》!」
ゴリアテはゴールデンに苦言をしながらも、魔人達を倒して行く。
そしてゴリアテ達から離れた場所で、六色魔将白のゼキアとバロムが対峙していた。
「『白』の将、か……裏切り者である私の色は六色から外されたと言うわけだね」
「……」
「ディオスはどうしているんだい? 彼も六色魔将に?」
「……ディオスは緑の将となりました……しかし先の戦いで……」
「……そうか、ザハクに続いてディオスも亡くなったのか……残念だ」
「先生は知っていたのですか? あの従魔を従える者がゼキアを……」
「ああ、知っている」
「そうですか……分かっていて奴らに与していると……」
「……」
「ならば、私はもう何も聞きません……ここで貴方を始末する!」
「……そうだ、それで良い」
バロムがゼキアが武器を構える。
そして数秒後、バロムとゼキアが同時に動き出した!
「はぁぁっ!」
ゼキアが大剣を大きく振りかぶるが、バロムは足を止め後ろに跳び大剣を回避、そのまま剣でゼキアの胴部を攻撃に行く!
「っ!」
ゼキアは咄嗟に大剣を盾にし、バロムの突き攻撃を防御した。
「私は貴方を倒し、そして従魔使いを殺し二人の友の仇を討つ!」
「ゼキア、ディオスを殺したのは彼等では無い」
「そんな戯言に騙されるものか!」
ゼキアは大剣を振ってバロムを吹き飛ばすが、バロムは空中で態勢を整え、着地する。
「信じなくても構わない……だが、ディオスは別の者に殺されたのだ」
「何故そう言い切れる!」
ゼキアは連続して大剣を振り回すが、バロムは巧みに回避する。
そして一気に懐に入ると、右足での前蹴りでゼキアの胴部を蹴り上げた!
「ごはぁっ!?」
衝撃で後方に吹き飛んだゼキアは大剣を手放し、木に激突した。
その隙にバロムは近づき、ゼキアの喉元に剣の切っ先を突き付けた。
「確証は無い……だが、彼は嘘を付くような者ではないと、私は感じた」
「……」
「勝敗は決した……降伏するんだ、ゼキア」
「――ビャハハハハハ! ゼキアの奴情けねぇの! ……仕方ねぇ、今死なれたら困るし助けてやるかぁ!」
「また!?」
ビャハが今度はバロム目掛けて槍を投擲!
「っ!?」
咄嗟に気付いたバロムは剣で槍を弾く!
だがその瞬間ゼキアが跳び逃げ、大剣を掴みバロムに振りかかろうとする!
「バロムッ!」
「くっ……!」
バロムが避けようとその瞬間、弾いたビャハの槍がバロムの右足に突き刺さった!
「ぐぅっ!?」
「ビャハハハハハ!」
「《炎の角》!」
私は炎の角でビャハを攻撃するが、ビャハは笑いながら炎の角を回避。
くそっ! あれではバロムは避けられない!
私は翅を広げ空を飛んで行くが、間に合わない!
ゼキアはそのまま大剣を振り下ろす――
――その瞬間、突如地響きが起こった!
「な、何だこの揺れは!?」
ゼキアが動揺する中、槍を引き抜き、何とかゼキアから距離を置くバロム。
良かった……だが本当にこの揺れは一体!?
私が辺りを見渡す中、地面に亀裂が入り、何かが地面から現れた!
「キシャアアアアアアアアアアアアアア!!!」
現れたのは全長5メートル以上はある巨大な蟲だった。
細長い身体に胴部に生えた無数の脚、頭部の触覚と巨大な顎肢……そう、この蟲は!
「く、クルーザーっ!!」
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